サイド サキュバスさん
私の住んでいる家の隣には私と歳の近い男の子が住んでいる。
「ねぇ、なぁくんあそぼうよ~」
「俺はいい」
「来ないってんならいいじゃん。根暗な名無しなんてほっといて俺らと遊ぼうぜ」
「でも・・・」
なぁくんは種族がわからない男の子だ。私達魔族は基本的に種族名で相手のことを呼ぶから、皆はなぁくんのことを名無しと呼ぶ。
「今日は私達岩山のほうに行くから・・・来れたらきてね!」
私はなぁくんの事が小さいときから好きだった。サキュバスやインキュバスは相手を魅了することが出来て、気になる相手を魅了して伴侶を見つけることが多いらしい。私のお父さんとお母さんもお互いに魅了してそのまま結婚したっていってた。
だから私も好きななぁくんの事を魅了しようとしているのだけど、今まで一回もなぁくんの魅了に成功したことはない。他の男の子たちにはかかるのになんでだろ?
結局今日もなぁくんを遊びに誘うことも出来ず私は他の子達と岩山に遊びに来ていた。
「よっしゃ!俺飛んでる!飛んでるぜー!」
まだ自力で飛ぶことの出来ないグリフォン君が滑空して空を飛んだり・・・
「いー、くー、ぞー」
「おー!全部倒れた!ゴーレムすげぇ!」
皆で立てた岩を斜面を使ってゴーレム君が自分の体で倒したりして遊んでる。
「男の子たちはいいけど私達は岩山でやることってあんまりないのよね~」
「草原のほうがよかったなぁ・・・」
「俺も草原で走り回りたかった!ここだと走りづらいし」
女の子達とケンタウロス君は草原のほうが良かったって話をしてる。今日は岩山だけど明日は草原に遊びに行くのかな?
私も特にやることはなかったから、その子達の話を聞いていたら気になる話題があった。
「このあたりは花はほとんど生えてないもんね~」
「そういえばこの岩山にだけ生える花があるんだって!」
「え?なにそれ?聞いたことないよ~」
「なんでもその花を好きな人に贈ると恋が叶うんだって!」
「え~でも私好きな人居ないからなぁ、素敵だけどそういうのより普通の花飾りとか作りたいかも」
岩山に生える花?しかも恋の叶う!?それをなぁくんに贈ったら好きになってくれるのかな・・・
すごく気になるからその花を探しに行きたいけれど、勝手に皆と離れるわけには行かないから夕方まで遊んで、日がくれる前に村に帰った。
「それじゃまた明日ー」
「明日は草原に行こうね!」
「えー明日も岩山がいいよー」
「今日いっぱいあそんでたじゃない!明日は草原!」
「俺いっぱい走りたい!」
「わかったよ、次の日は岩山だからな!」
明日遊ぶ場所を話してみんなそれぞれの家に帰っていった。
私はお家に入る前に、なぁくんの家で今日あった事を話に行ってから帰ろう。
「今日はね、岩山で遊んだんだ。グリフォン君が空飛んだりしてすごかったんだ!私も飛んでみたいな~、後はね、岩山に恋の叶う花が咲くんだって。女の子達が話してたんだけどね。素敵だよね~」
皆がいると出てきてくれないなぁくんだけど、私だけだと家の前で話を聞いてくれる。それが私は嬉しくて帰る前になぁくんに今日あった事を話すのが日課だった。
「あぁもう、わかったから、あまり遅くなる前に家に帰れよ」
「うん、それじゃあまた明日ね!ばいばーい」
そうやって話をしているとなぁくんに帰るように言われたから、それ以上はなすのはやめてお家に帰った。
「ただいま~」
「お帰りなさい。今日も楽しかった?」
「うん!なぁくんといっぱいお話したよ!」
「そう、そろそろご飯も出来るから、部屋に居るお父さん呼んできてくれる?」
「わかった~」
「他の皆とも遊んでるはずなのに名無し君の事ばかりね・・・ふふ」
お母さんに言われてお父さんを呼びに行く私。後ろからお母さんが何かを言ってた様な気がするけどあまり聞こえなかった。
家族3人でご飯を食べて夜はベッドで眠った。
次の日の朝、まだ他の皆が集まるよりも早い時間になぁくんがやってきた。
「これ・・・昨日話してた花。岩山に咲いてた花はこれだけだったんだけどあってるか?」
「んー他の子の話を聞いてただけだからわかんないや・・・」
「そうか・・・まぁいい。これお前にやる」
「え?だってこの花は好きな人に渡すものって・・・」
「だから!お前にやる!」
そういってなぁくんは私に花を押し付けると自分の家に帰ってしまった。でもこれを私にくれるって事は・・・そういうことだよね?
岩山の花のおかげで、私の恋は叶うみたいです。
サイド なぁくんを18時に予約投稿済みです。




