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SLS  特殊海難救助隊  作者: 月城 響
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第5部 火災 【1】

 夏が近付くに従って、益々強くなる日差しの中、訓練生達は相変わらず厳しい訓練を続けていた。この頃になると日焼けの上に日焼けが重なって、皆真っ黒である。エバは頑張って日焼け止めクリームを塗っていたが、汗ですぐに流れ落ちてしまうので塗るのをやめてしまった。


 ジュードにとっては、大嫌いな夏の到来である。寒さの厳しいオレゴンがとても懐かしくなる季節だが、ここは年中夏のようなものなので、彼はもう諦めていた。




 今日最後の機動の訓練は、匍匐前進で浜辺を50メートルほど進んだ後、すぐに立ち上がって元の位置に走って戻るというもので、他の授業で充分疲れ切っていた彼等には、正に地獄の特訓だった。


 頭から砂を被り、倒れそうになる寸前に、ロビーが手を叩いて授業の終了を告げたが、訓練生達は暫く浜辺に座り込んで喋る事も出来なかった。




 やっとシャワーを浴びてホッと一息つき食堂に行くと、入り口の右側にある連絡ボードにチームごとのミーティングの知らせが張ってあった。Aチームはいつも使っている2階の小さなミーティングルームだ。


 そこは15名全員が入ると丁度一杯になる。他のミーティングルームも似たような広さで、クリスはそこが嫌いなのか、いつもBチームは300人ほどが入れる大講堂で行い、ロビーは談話室だ。


 ロビーは普段は厳しいのだが、こういう時は軽食や飲み物を持ち込める談話室で雑談を交えて行なう。結局の所、ロビーは自分のチームには甘いのだ。




 クーラーのきいた部屋の中で皆と雑談をしながら待っていると、いつものように時間通りにシェランが現れた。彼女は真っ黒に日焼けした生徒の間を抜けて真ん中に割って入ってきたので、彼等は椅子を動かしてシェランの周りをぐるりと円陣になって取り囲んだ。


 相変わらず陶器のように白い肌をした彼女を真ん中にして日焼け顔の生徒が周りを囲むと、まるで太陽を中心に15個の惑星が回っているようだとジュードは思った。



「みんな暑いのに毎日ご苦労様。みんなが一生懸命頑張っているので、SLSでは今度1年生全員を遠足に連れて行ってあげようという話になったのよ」


 楽しそうに話すシェランとは逆に、大半の訓練生は、そんなものに行くくらいならマイアミにでも遊びに行かせてくれればいいのにと考えていた。


「教官。遠足って何処に行くんですかぁ?ケネディ宇宙センターにでも行くんですかぁ?」


 ノースが小学生のように手を上げて、からかうように言った。


「まさか・・・」


 シェランはニヤッと笑うと両の手の平を上に向けた。


「あなた達は海難救助隊なのよ。ライフセーバーの遠足は海に決まっているじゃないの」


 その言葉にライフセーバーの卵達の目は急に輝いた。つまりそれはライフシップに乗って海に出るという意味だ。


 ライフシップによる実地訓練は2年生にならないとさせてもらえない決まりになっているので、訓練生達は急にざわめき歓声を上げた。


「遠足はあさっての土曜日よ。食堂で人数分のお弁当を作ってもらうから、それを持ってみんなで海に出ましょう。もちろん、ライフシップに乗ってね」







 土曜の朝、1年生達は実地訓練の時に着るオレンジ色のツナギを着て、食堂に朝食と昼の弁当を取りに行った。浮き足立っている彼等を見て、訓練の時何度か会った機動の先輩が「今日は一日中いい天気だぞ。良かったな」と教えてくれたりして、又それがとても嬉しかった。


 何事にも関心を示さないアズも今日はいつもより早く起きて準備を整えていたので、顔は相変わらず仏頂面だが、心の中はとても嬉しいのだろう。




 SLSの港に9時に集合だったが、皆は8時半には集合していて、自分達の乗るライフシップはどれだろうと話し合っていた。9時10分前に3人の教官が揃って現れると、それぞれのチームごとに海に出る際の注意や海上での行動の仕方について話があった後、1年生達は用意されたライフシップに乗り込んだ。普段の訓練で使う、少し小さめのライフシップだ。




 Bチームが全員乗船した後、クリスは隣の船に乗り込もうとしているシェランの名を呼んで、片目を閉じながらニヤッと笑った。シェランもそれに答えて笑いながら小首をちょっと傾げると、Aチームの後ろから船に乗り込んだ。そんな彼等の姿を見て、ピートが隣のエバに話しかけた。


「ふうん、随分と仲がいいんだな、あの2人」


「そりゃそうでしょ。2人とも去年まで同じフロリダ本部のライフセーバーだったのよ。チームは別々だったらしいけど。クリスは教官を追って、この訓練校の教官になったんじゃないかって噂もあるくらいよ」


 それを聞いていたショーンは、思わずジュードの方を振り向いた。ジュードは普段通りの顔をしてショーンに笑い返したが、内心それは有り得る話だろうと思っていた。




 時々談話室で、シェランとクリスがコーヒーを飲みながら話をしているのを見かける事がある。話の内容は、殆ど授業や教官としての実務に関する事なのだろうが、きっとシェランが仕事上の悩みを相談するのも、ここではクリスしか居ないだろうと思っていた。


 それにクリスはいつも生徒の前でふざけたり、遊び人のような態度を取ったりするが、決してそんな軽い男では無い事を、この一年、彼と過ごして来た生徒達は知っている。彼はいつだって授業には真面目に取り組んでいたし、救急救命に関する知識や経験は、どのベテラン教官より勝っていた。

 

 小麦色の肌に淡い空の色を湛える瞳、少しくせのある長い金髪は、女性を一度は振り向かせるのに充分だし、26歳の彼が4つ年下のシェランと並んでマイアミのダウンタウンでも歩いていたら、誰もがうらやむカップルに見えるだろう。考えてみれば2人が付き合っていない方が不思議かもしれない。




 ジュードは苦笑いをすると、ショーンと一緒にデッキの上に出てきた。キラキラと朝日を受けて輝く水面を、滑るように船が走り抜け、いつの間にか港は遠く、小さくなっていた。海の上を吹く風は、熱せられた浜辺で吹いているよりも、ずっと冷たくさわやかに感じられた。



 港が見えなくなって暫く進むと、ライフシップは周りに一隻の船も浮かんでいない場所で停泊した。シェランは全員にウェットスーツを着用させると「昼までは潜りましょう」と言って、さっさと海に入ってしまった。


 まるで当然のように潜水課の訓練生も海の中に消えてしまったので、後に残った機動と一般の訓練生達はどうしたものかと顔を見合わせた。


 つまり、潜水士の教官を持ったチームはこうなる運命のようだ。ではCチームのロビーは機動なのに海で何をしているのだろう。体力作りの為に甲板掃除でもしているのだろうか。


 いや、多分BチームもCチームも久しぶりにのんびりしているに違いない。クリスもロビーも結局の所、自分のチームには甘いのだ。うちの鬼教官くらいなもんさ。遠足に来て潜水の訓練をさせるなんて・・・・。




 ごちゃごちゃ考えていても仕方がないので、残った訓練生は全員デッキの縁に座ると、一斉に『GO!』と叫んで海に飛び込んだ。10人の体の回りから巻き起こった空気の泡が水中に差し込んでくる光に反射して、キラキラと光を放ちながら舞い上がって行く。


 下の方を見るとシェランが潜水課に囲まれて、こっちへ来いと手を振っていた。隣に居たショーンが、近頃少し覚えたSLSの隊員だけが使う水中手話でサインを送っている。


― 潜水課・・・・聞く・・・・大佐・・・・足を引っ張る・・・・出られない ―


 ジュードは少し考えた後に右手の拳で左の手の平を叩いた。つまり彼は『潜水課の奴に聞いたけど、大佐は海から出ようとすると足を引っ張って出られないようにする』と言っているらしい。


 “本当かな・・・?” と思ったが、あの人ならやりかねないだろうとも思った。何と言っても彼女はマナティなのだから・・・・。


 シェランは近くにやって来た生徒の中で最初に音を上げそうなエバとショーンの手首を掴むと、あっという間に潜って行ってしまった。


― わぁぁぁぁっ!助けてくれぇっ、ジュードォォォッ! ―


 ショーンがサインを送っていたが、とても付いていける速さではなかった。





 どうやらここはシェランのお気に入りのダイビングポイントらしく、沢山の色とりどりの魚が彼女を出迎えた。実際に出迎えているわけでは無いのだろうが、そう見えてしまうのが不思議だった。

 

 魚の群れをぬって更に潜ると、やっと海底が見えてきた。少し薄暗い海の底の岩の間を抜けていくと、シェランは全員に止まるように合図した。



 彼女は口の前で人差し指を縦にして静かにするよう指示すると、岩の向こうを指差した。ジュード達がそっと岩の陰から覗き込むと、3頭のイルカがゆっくりと旋回しながら頭の上にある噴気孔から空気を噴き出しているのが見えた。


 彼等が頭を上下に動かすと鈍く銀色に輝く冠の様なリングが現れ、それは60センチ以上もあり、不思議な事に水面に向かって上がっては行かなかった。


 これはバブルリングと呼ばれ、イルカはこのリングをくぐり抜けたり噛み砕いたりして遊ぶのだが、こんなシーンは滅多に見られるものでは無い。野生のイルカは警戒心が強いので、初めて会った人間の前でこんな風に遊んだりはしないのだ。




 シェランは生徒達にここで待っているように伝えると、さあっと水を切って彼等の元へ泳いで行き、一緒にバブルリングをくぐり始めた。イルカの方はいつもの人が来た、遊んでもらえるとでも思っているのか、彼女を取り囲んでぐるぐる回り始めた。


 シェランは彼等の中心に立ち、ゆっくりと上昇しながら口からレギュレターをはずすと、背負っていたアクアラングを海底へ放した。イルカを傷付けるのを防ぐ為である。


 シェランがまるで調教師のように一頭ずつくちばしに触る。彼等はぴたっと動きを止めたかと思うと、彼女の合図と共に素早く下降し始めた。そして海底まで一気に潜った後、反転してシェランの元へ向かって上昇する。


 そして物凄い勢いで自分の横を通り過ぎていくイルカのうちの一頭の背びれを掴んでそのまま海上へ向かい、そしてその状態のまま海底に戻って来た。


 ジュード達は覆いかぶさって来る水圧も忘れて、その幻想的なシーンに見とれていたが、頭の中で思う事は皆同じ “やっぱり俺達の教官は、人間じゃなかったんだなぁ・・・・” であった。






 昼はデッキの上でシェランを囲み、みんなで弁当を食べた。いつもと同じ食堂のメニューが詰め込まれているだけだったが、船の上で、しかも散々潜った後に食べる食事は、何故かとてもおいしく感じられた。


 午後からは又何をやらされるのだろうかと思っていたが、意外にもシェランは自由行動を取っていいと許可を出したので、生徒達は思い思いの場所で気の合う仲間と過ごした。


 エバとキャシーは、ブレードとレクターと共にシェランの側に居て、ダイビングの話しに花を咲かせている。


 ハーディとノースは技術装備課の授業に役立てる為、船の中を見て回っていた。それ以外の者達は適当に座り込んで雑談に花を咲かせていたが、アズはデッキの隅で大の字になって眠っていた。


 そんなアズの姿を見てジュードは、彼は意外と大物かも知れないと思いつつ微笑んだ。





 そんな彼等のまどろんだ午後を打ち破るように、急に船の中から激しい警告音が鳴り響き、全員その場で跳ねるように立ち上がった。シェランがブリッジの方へ訓練生を伴ってやって来ると、ハーディとノースが「救難信号です、大佐!」と叫んだ。


「場所は?」

「すぐ近くです。ここから西に1.7マイル」


 船の乗組員が答えた。


「行きましょう。みんな、いいわね」

「はい!」





 全員がライフジャケットを着込んだり、ライフプレサーバーの点検に追われている間、マックスの頭の中は今こそ最高、最大のチャンスだ、という期待が膨れ上がっていた。


 8月にある一ヶ月のサマーバケーションの後、9月になると彼等はいよいよ2年になり、実際に海に出ての実地訓練が始まる。だがその前にそれぞれのチームのチームリーダーとそれを補佐する副リーダーを決めなければならない。


 リーダーはそれぞれのチームの教官が決定するようだから、ここでうまくやれば大佐は間違いなく俺をリーダーに選ぶだろう。マックスは彼の後ろでショーンとライフライン(救命索)の準備をしているジュードをチラッと見た後、フンと鼻で笑った。




 しかし、ライフシップが救助を求めている船の近くまでやってくると、マックスはまるで凍りついたようにその場に立ち尽くした。


 要救助船は中型の漁船であったが、後部エンジンからもうもうと黒煙を巻き上げ、船の三分の一は既に炎上していた。勢いの激しい炎から逃れる為、乗組員は既に海の中に飛び込んで助けを求めている。


 その炎を見た途端、マックスの脳裏に彼がファイヤー・ファイターとして最後に臨んだ火災現場がありありと浮かんできた。







 5階建てのアパートだった。レスキュー隊が到着した時には既にアパートのほとんどが炎に包まれており、それでもまだたくさんの人々が建物内部に取り残され、窓から救助を求めていた。すぐに放水が開始され、隊長であるランディの指示で、熱気を逃れる人々が窓から飛び降りる危険性があるので、下に救助マットが広げられた。


「行くぞ!」


 ランディの声にマックスと2人の隊員が、燃え盛るビルの中に飛び込んで行った。窓にも辿り着けず、建物の中で取り残されている人々を助ける為だ。ランディは2人の隊員に2階を探させ、マックスと共に3階へ上がって行った。


「俺からはぐれるなよ、マックス!」


 ランディは叫んだが、返事は返さなかった。別にこんな奴と居なくても俺は大丈夫だ。今までだってそうだった。


 だからというわけでは無いが、炎の中で要救助者を探して走り回っているうち、彼の背中を見失ってしまった。


 3階の奥の部屋から子供の泣き声が聞こえてきた。熱さでぼうっとなるのを必死に保ちながらドアを開けた瞬間、低くうなるような音と共に、まるで生きているような炎が渦を巻いてマックスにぶつかってきた。叫び声も上げられずに彼は後ろに吹き飛ばされ、廊下の壁に叩きつけられた。


― 駄目だ。こんな所で気を失ったら・・・ ―


 マックスはしびれる腕を前方に伸ばした。死にたくないと初めて思った。遠のいていく意識の中、彼はさっきの子供の声が聞こえなくなっているのを知った。





 気が付いた時、彼は病院のベッドの上に居た。きっと生意気な自分の事を嫌っているだろうと思っていたランディの顔を、目覚めて最初に見るとは思わなかった。


「良かった、マックス。みんな心配しているぞ」


 ランディは優しく語りかけた。


「・・・子供は・・・?」


 彼は悲しそうに首を振ると「俺が行った時は、もう駄目だった」と溜息を付いた。マックスの中にどうしようもないやるせなさと、怒りが込み上がってきて、それは自分に対する怒りにも関わらず、ランディに向けられた。


「俺があの時、失神しなけりゃ助かったって言いたいんだろ?ランディ!俺がちゃんとあんたの後ろを付いて行ってたら、その子は死なずに済んだんだろ?」

「マックス、違う!」


 ランディは半身を起こして叫んでいるマックスの腕を掴んだ。


「どんなに助けたくたって、助けられなかった事は今迄だってあっただろう?お前が自分を責めることは無いんだ」

「いいや、違う!」


 マックスは、自分が興奮して涙をぼろぼろこぼしているのにも気付かずにランディに訴えた。


「あの時俺は自分が死ぬことを恐れたんだ。ここで意識を失ったら必ず死ぬって分かっていたから・・・。子供の命より自分が助かる事を望んだんだ。俺は・・・俺はあの時、ファイヤー・ファイターじゃなくなったんだ!」





 それからは転落するだけだった。復帰して消防レスキューに戻っても、いざ火災現場に行くと、あの生きているように渦巻く炎を思い出して、目の前が真っ暗になる。一歩も足が動かない。何度もう一度炎と向き合おうとしても、それは同じだった。


 もうマックス・アレンはファイヤー・ファイターではなくなったのである。





 ライフシップが停まると、シェランはすぐに訓練生に指示を出した。


「潜水は海上の要救助者を救助。一般は潜水の補佐。いい?あなた達。やるべき事は分かっているわね」

「はい!」


潜水と一般の生徒が答えると、シェランはジュード達の方を向いた。


「機動は私と共に炎上している船に入る。中にはまだ要救助者が居るかもしれない。防火ジャケットを着用して付いて来い」

「はい!」




 5人の機動の中で唯1人、返事の出来ない者が居た。マックスはただ青ざめて、目の前で燃え盛る船を見ていた。シェランの後ろに居る銀色の防火服を着た4人の仲間達が、遠ざかっていく背中がかすんで見えた。


 そんなマックスの様子を、丁度潜水の準備を手伝っていたエバが気付いた。ガクガクと足を震わせ、顔色の無い顔に冷や汗を流しながら、じっと炎を見つめている姿をエバは以前見た事があった。最終試験の日、アルガロンの燃え盛る炎を見て、彼は同じように立ちすくんで居なかったか?


「マックス!どうしたのよ。みんな行っちゃったわよ。あんた機動でしょ?」


 それでも彼は、肩を揺らして浅い息を繰り返しながら首を振った。


「嫌だ。行きたくない・・・嫌だ!」

「マックス?」


 船の上の騒ぎに気が付いてシェランが振り返ると、マックスは一般の生徒が止めようとしているのを振り払いながら暴れていた。シェランは一瞬眉をひそめたが、落ち着いた声でジュードに言った。


「ジュード、行って。止めてきなさい」


 ジュードは驚いた顔でシェランを見たが、すぐに「はい」と答えて渡り板を戻って行った。


 体の大きなマックスを止めるのに四苦八苦している一般の仲間を後ろに下げると、ジュードは彼の前に立った。自分を見失っているマックスは、目の前に居るジュードに向かって叫び声を上げると飛び掛って行き、勢いでジュードの体は簡単に後ろになぎ倒された。


「ジュード!」



 倒れた彼を心配して、エバやサムが回りに駆けつけた。ジュードは片手でぎゅっとマックスの頭を抱きかかえ、もう片方の手で彼の背中をゆっくりと叩いていた。マックスの息は荒れていたが、やっと少し自分を取り戻したようで、ジュードが自分の名を呼ぶ声を聞いて、目が覚めたように彼の上から起き上がった。


「大丈夫か?マックス。少し中に入って休もう」


 ジュードはその場に座り込んでいる彼の肩に手を置いて静かに語りかけると、エバに彼を救護室まで連れて行ってくれるよう頼んだ。





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