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〈六の刀〉

「リューン!!!。急げ!!!。」左右から…放たれた小刀を叩き落としながら…カーンの怒号が響く。緑柱石の瞳のミリリアの手首を掴み、半ば…引き摺るように…血のように…赤い瞳をしたエイナが、カーンの後に続く。左右には、身の丈を越える麦畑が広がり、道は、石がごろごろの悪路。その先には、海に続く広場。昨日の…上陸地点に…程近い。


出立して、すぐの〈刀〉の奇襲。先頭を警戒態勢を取りながら…虹石〖ダイヤモンド〗の双剣を持つカーン。背中の大剣を抜く事が出来ず…護身用に…慣れぬ…虹石の中剣を左手に持ち、続くエイナ。その後を…小走りを何度かしながら…続くミリリア。最後に…大荷物を両肩に…背負いながら…遅ればせながら続くリューン。


怒号と共に…両肩の荷物を放ーり捨てて…慣れぬ手付きで、左腰に差した…鉄製の少剣を…ぎこちなく両手で持つと、慌てふためき…脚を絡ませながら…エイナ達の後を全速力で続くリューン。


左右…四方向から…カーンめがけて、飛び込んで来る〈刀〉達。左腕に…嵌められた腕輪の貴石は、緑柱石。-〈六の刀〉である。

双剣を操り、三人を吹き飛ばし、一人を足蹴を喰らわすカーン。エイナが、ミリリアを引き連れ…抜けようとする。前方から…二人ー現れるや否や…小刀を飛ばし、行く手を阻む。エイナが、何とか…応戦し、跳ね返す。後ろから…一人ーリューンに襲い掛かろうとするも…カーンの跳躍と小刀二本を放り投げられ、姿を消す。

〔七人………九人…か。〕感知能力を最大値…張り巡らせ、オーラを探知するカーン。〔稚拙だな…。〕指揮は、〈六の副官〉が、執っている筈だ!。普通は、オーラを同化させ…数人しか分からないようにする。

〔傭兵だと…甘く見ているのか…。〕カーン一人に焦点を置き、左右から…間断無く現れては、襲って来る。右剣を口にくわえて…太腿とふくらはぎに仕込んだ…小刀七本を放り投げる。消耗品とは言え…〈傭兵〉の身では、懐が痛い。


二十歳になる〈六の副官〉ネイサは、焦っていた。強敵とは言え…足手まといが、居る以上…〈刀〉が、負ける筈はない。〈六の剣〉の命は、足止め。先輩は、三人。彼らに…合わせて、攻撃を組み立てている。

道が、開けて来た。〔不味い!!!〕カーンとネイサは、同時に心の声を上げた。

〔やる…しか…ないか………〕不満気な顔をするも…直ぐに…先輩の一人、レノアールが、側に寄って来ると「やる…のか?!。」

「あぁ……!!。」真顔で答える。と、同時に…カーンの遙か前方から躍り出るように…飛び出すと、一気にオーラを上げた。〔中技を放つつもりか!!。〕カーンが、内心で、大声を上げる。ネイサを支援するべく、間断無く続く〈刀〉達の攻撃。一人、孤軍奮闘しながら「エイナ!!!」

「わかった!!!。」ミリリアの腕を強く…握り締めると、カーンが、ネイサめがけて、攻撃を繰り出す。その隙に抜ける。ネイサの方は、〈刀〉達が、躍り出ては、カーンの動きを阻止するのに…必死である。

エイナは、抜けるや否や…ミリリアを突き飛ばすように…離すと、中剣を捨て、背中のオリハ=ルコス製の大剣を抜くと、此方も…一気にオーラを上げる。だが、〈大技〉を繰り出すには、時間が、係る。カーンの動きに…注視する。その間に、リューンが、転がるように…エイナ達の横に躍り出た。ミリリアは、エイナの後ろ…少し…離れて、片膝を付き、臨戦体制を取っている。四度目の攻撃を…力任せで、弾き返し、〈刀〉達を吹き飛ばす。刃こぼれが、酷い。後、二、三度が、限界だろう。〈刀〉の剣は、オリハ=ルコス製。市場で、一番の強度と値段がする。カーンが、ネイサを通り越し、エイナ達の前で仁王立ちになると、両の剣を交わらすと、オーラを上げた。

「遅い!!。」ネイサが、大声を上げた。と、同時に…〈中技〉を放つ。カーンが、一気に上げたオーラで、〈結界〉を展開する。ばちばちとカーンのオーラは、音を立てている。左右に…綺麗に放物線を引いて…土埃を上げながら…海へと、消えていく。剣は、ぼろぼろに…崩れた。

「そ…そんな……馬鹿な……。」へなへなと倒れ込むネイサ。`カーンは、片膝を付くも…よろよろと立ち上がると、臨戦体制を取る。

«リーン…リーン…»ー耳に心地よい鈴の音が、響く。と、同時に…ばらばらと…〈刀〉達か゛、姿を表す。皆、若い…二十代前半から…半ばまで…位だろうか?。現れるや否や、片膝を付き…順序よく並び…左右に…分かれ…頭を垂れる。傷心のネイサも合流する。

「エイナ!!。」強張った顔のミリリアが、エイナにしがみつく。エイナもミリリアを抱き締めるように…抱く。

「来る…のか?!。」腰に…右手を置く。オリハ=ルコスの小剣が、一本ある。

「ほっへぇー。」両足の裏をくっつけた…だらしのない格好のリューンは、一人…事態が飲み込めていない。

ゆっくりとした…歩調で現れたのは、〈六の剣〉。青銀の鎧を身に纏っている。兜を放り投げると、カーン目掛けて走り込む。兜は、一歩…踏み出した、ネイサの腕の中にすっぽり…収まる。臨戦体制を解くカーン。

淡い…金茶の長い髪に…深緑の瞳…。カーンより少し…低い…235地。悪戯っ子の目をしながら…飛び込んで来ると、カーンの首に腕を回し…小付く。 

「やめろ!!。〈深緑の剣〉様!!。」

「〈六の剣〉だ!!。〈六〉でもいいぞ!!。」

「〈六の剣〉……。」疲れた…声を出すカーンを離す。

「カーンと知り合いなんだ!。」素っ頓狂な声を出すリューン。へなへなと座り込むエイナとミリリア。

「そうだぞ!…少年!!。」カーチン…地団駄を踏みながら

「俺は、十八だ!!!。」

「へぇ…?!。」頷くカーン。

「こっちが、エイナで、こっちがミラ…ミリリア。」二人を紹介するリューン。

「ふーん…エイナに…ミラちゃんか…。」二人を一瞥する。特に…エイナは、念入りに…見ている。かちこちに固まるミリリア。紅潮するエイナ。ふいー顔を背けると、

「カーン…。」崖の方を見る。

「あぁ…。」

「好きにしろ!。」〈六の刀〉達に命を出すと、カーンと共に…離れて行く。代わりに…〈六の刀〉達が、三人を取り囲む。

「大丈夫…ですか?。」

「けがは、ありませんか?。」ネイサが、大事に持つ兜と共にリューンの側に来ると、じろり…睨むように…一瞥する。


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