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恋の食感  作者: 紫雨蒼
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第5話 前夜の男女部屋

たまきの迷子事件も無事おわり、なんとか四人が合流。しかしいつのまにたまきと東庄が別れていたの!?坂田と華岡の戸惑いは隠せない。

そして、高3最後の夏休みの旅行での最後の遊び、その前夜がやってくる…

たまきのスマホに着信が入った。

「…華岡?うん、うん。大丈夫、みなとも東庄もいる。ごめんね、あ、切らないで待ってて」

「…別れたって……」

「そのままの意味だよ、2週間前くらいに、別れた」

別に俺が突っ込むところじゃない。そんなのわかってるのに。

「なんで…」

「え、東庄にフられたから」

思わず東庄を睨んでしまった。

「坂田には見えない溝が自分等にあったってことだよ」

ふっと笑う東庄。

「そうかよ、…まあ、お疲れ様?」

「でもこれからも普通に親友ではあるからさ!なんも気とか使わないでよね!」

…そっか。きっとさっき、たまきはずっと考えてたんだ。だからずっとぼんやりしてたんだ。二人を見ればわかる。二人はまた良き親友となったんだね。ならこっちだって。

「ははっ誰が気にするかよ!」

「ありがと」

「ふむ。ありがとう坂田」

「待てよ」

…!?

後ろを振り向くと華岡君がいた。

「東庄、お前」

「あ、これで四人合流したね」

「なんでそんな平気な顔して!綾瀬フっといて!…あぁ、そういうことだったんだ。綾瀬、すげぇ気にしてたのに、お前は、なにも変わらず」

「ちょっと華岡…?」

「なにを勘違いしてるのかわからないけど。別に自分がたまきをふったのは君が思ってるような理由じゃない。自分とたまきにしかわからない」

「……っ。ごめん。ちょっとでしゃばりすぎた」

華岡君は東庄から少し離れた。

…珍しいな。そんな感情的になる華岡君なんて見たことない。

「と!とりあえず!二人とも気にしないでね!?ほら!いるかショーあるっぽいしみにいこー!」

たまきが勝手に走ってく。

俺たちはまた見失っちゃいけない、と急いで追いかけた。



その夜のことだ。

「花火したい!」とたまきがのたまうもんだから俺たちはコンビニで花火をかって、浜辺に来た。

花火振り回して、きゃっきゃとはしゃいで。もう高3なのにね。

そして最後に残るはもちろん線香花火。

「みなと」

「なんだよ」

「ちょっと二人で勝負しよ」

「はいはい、どうせお前負けるよ」

「ひどーい!」

とか言うけど、昔からたまきは不器用なのだ。こういうのは俺が勝つ。

火をつけると、ぱちぱち、とはねる。

「…華岡にコクらないの?」

「ぶふっ」

突然そんなこと言われるから吹いてしまったではないか。

「はーぁ?」

「…みなとは内部進学するでしょ?」

「あぁ」

そこそこ優秀な大学だから、問題はないだろう。学びたいことも学べる。

「華岡ね」

「「あ」」

たまきが何か言おうとしたが、その前にお互いの線香花火がおっこちて、声が重なる。

「もう一回!」

「はいはい」

パチパチ。真っ暗になった場所がまた照らされる。

「あいつ、外部行っちゃうんだって」

「えっ」

ぽと。

あ、負けた。たまきに負けた。俺の線香花火が先に落ちた。

たまきのはまだパチパチいってる。

「○○大学受けるんだって」

「めっちゃ頭いいとこじゃん…そっか、だから旅行も八月末は嫌だって、真っ先に」

でもテスト勉強、といったのは俺たちに気を使わせないためだろう。

「あっ、落ちた。…だからさ、みなと」

真っ暗で、たまきの顔を窺うことはできない。

「コクりなよ。いいの?華岡ともう、今までみたいに会えなくなっちゃうよ。みなとに後悔、してほしくないから、華岡のこと、話した」

言いたいことだけ言うとさっさと華岡君たちのところへ行ってしまうたまき。俺はその様子をただ呆然と見て、見てられなくて、真っ暗の海のほうをみる。

ざざーん、という波の音。

わずかに見える波しぶき。

いや別にだからなんだって話だが。

なんなんだよ、あいつ。人の恋沙汰にいちいち口出ししてさ。別にコクろうがコクらなかろうが俺の勝手……

「…っ」

違う。

そうじゃない。

あいつは前とは違う、野次馬みたいに囃し立てはしない。失恋してそんなことやるほどあいつのメンタルは図太くない。

後悔、してほしくない、と。

後悔、するのだろうか。

なんだか、答えなんてもう一つしかないように思えた。



花火も終わり、それぞれの部屋へと戻っていく。

「なぁ」

「んー?ごろごろーん、ごろごろーん」

「いてぇよごろごろしてないで俺の話を聞け」

「はーい」

たまきは正座をして俺の方を見た。俺も正座をしてたまきを見る。

友達なのに、幼馴染みなのに、正座をして向き合う、不思議。

「俺さ、多分後悔するんだ」

「だから後悔しないように」

「してもしなくても、だ」

「うん?」

「だから」

「うん」

「コクろうと、思う」

「いつ!?!?!?」

「昼飯の…あと……ってちけぇ!」

たまき、頼むから俺の太ももの上から降りてくれ。


そう、俺はコクろうと決めたのだ。別にたまきに言われたからとかではない。

俺はやっぱり、嫌な後悔はしたくないのだ。華岡君が同じ大学なら、きっとこんな馬鹿な真似、しない。今まで通り友達でいればいい。でも現実は違った。華岡君は遠くへ行ってしまう。大学が違えば自然と友達関係も薄くなる。所詮その程度の関係しか、俺は作れなかったのだ、それはのろのろしてた俺に原因がある。

ずっと変わらずこのままで、なんて甘い考えしてたからだ。

だから、俺は嫌な後悔はしたくない。


そんなような話を寝る前にたまきにしてやった。真剣に聞いてるなとか思ったら途中で寝てたけどさ。

でも俺は一つ、あいつには言わなかったことがある。

別に嫌な後悔はしたくないだけで、後悔したくないなんて言ってない、ってことを。でも、どちらが嫌な後悔で、どちらがいい後悔なのかなんて正直わからない。だから想像する。

今の幸せな関係が崩れてしまっても構わない。俺はそう思ったのだ。仮にそれが後悔に繋がっても。



―一方男子部屋

「なぁ東庄」

「なんだい?あと3分まって、あと一問」

華岡は明らかにテスト勉強とはレベルの違う参考書を開いていた。まあ自分もなんだけど。

「…はい、なに?」

「なんで綾瀬をフったの?」

「またその話か。華岡もしつこいね」

「お前そんな言い方ないだろう」

華岡、そんなイライラしてたらストレスたまっちゃうよ~とか思う。

自分がたまきをフった理由、か。たまきにも言ってないんだよね。言ったところで納得してもらえないと思ったからさ。

「さっきもいったよ、華岡が思ってるような理由じゃない。少なくとも自分は、まだ好きだよ」

「じゃあ、勉強に専念したいから?」

いいや、と首をふる。

「そんな両立、難しくないよ」

「じゃあなんで…?」

「自分等はお互いを知らなすぎた。自分等はまだ未熟だった」

キョトンとする華岡。だよなぁ、普通の反応だよ。たまきなら「意味わかんないっ!ばかっ!」とか言うんだろうな。

「自分はこの関係の先には破滅しか見えなかった。たまきが自分に依存し、そのまま彼女までもが壊れてしまう…そんな風に思えて」

ま、少し坂田にたまきの過去の恋愛事情を聞いて導きだした答えなのだけど。

「…でも結果的に綾瀬は傷ついて今にも壊れそうだ」

「そんなことはないよ。よくみてごらん。…自分であるこだわりは、彼女にはないはずだよ」

「?」

「お互い、依存できるなら誰でも良かったってことさ」

なんて残酷なこと言ってるんだろう。

でもそれが真実。

「…でも、綾瀬のこともちゃんと考えてるってわかったから良かった」

「そこさえわかってくれれば良かったよ。…さて、明日は海だよ。きっとたまきが騒いで自分等は振り回されるから、早く寝よう」

ぱちっと電気を消し、布団に入る。

「…ねぇ」

「ん?」

「もし俺がお前のこと裏切ったら、お前は友達でいてくれる?」

「場合によりけりかな」

「はは、親友なのに辛辣だな」

「流石にお金とかで裏切られたら困るから」

「流石にしないよ」

「だろうと思うよ」

「「おやすみ」」

…なんでこんなこと聞くのか、まあなんとなく予想はつくなぁ。

「東庄」

おや、まだ寝てなかったのか。

「なんだい?」

「まだ綾瀬のこと好きなんだ…よな」

「好きだってさっきから言ってるよ。そんなあっさり嫌いになれないから」

「…そうかよ」

それ以降、明らかに華岡は起きているのに、お互いなにも話すことはなかった。



間空きすぎたwwwwwwwwwwwwよし!クライマックスといこう。ここに早くもってくのに苦労したんだ。

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