降り積もる。
「寂しい」って思えるのは、
寂しくなかった時があったから。
「悲しい」って思えるのは、
悲しくなかった時があったから。
「楽しくなかった」と思えるのは、
楽しかった日々があったから。
「辛い」って思えるのは。
いつもの日常が平穏だから。
「一人は嫌だ」と言えるのは、
遠い昔に誰かの温かさに触れたから。
ほら、
上を見て。
白い何かが降ってくる。
それは、
「思い出」と言う名の雪のカケラたち。
触れようとすると、
溶けていってしまうけれど。
溶けるとちょっと切ない。
そんな私のキオク達。
覚えていますか?
アナタハオボエテイマスカ?
楽しかったこと。
悲しかったこと。
嬉しかったこと。
つらかったこと。
寂しかったこと。
泣きたかったこと。
きっと、きっと。
それはカケラとなって、
あなたのココロに降り積もってゆく。
ほら、
また降ってくる。
一つのカケラが、
手のひらに乗って、
溶けて行った。
カケラは冷たかった。
私の手は暖かかった。