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恋人同士

 身に覚えのある白い空間。

「成功したようだな。えっと、あそこにレオンとカノンさんがいて、レ……“光の神”がいて、ちょっとカノンさん達がぼろぼろだから……なるほど」

 そう呟いてルカは立ち上がる。

 そして、“光の神”の方をじっと見て、それからそちらに向かって歩き出した。

 けれどそれに、“光の神”は怯む。

「く、来るな……」

 一歩後づさりながら、そう弱々しく“光の神”は叫ぶ。

 “光の神”はこの、今はまだ生まれる事は無く、そしていつの日にか自分の恋人になるらしいこの魔王が苦手なのだ。

 見た目も含めて、“闇の神”そっくりだし、それでいて本当に愛してくれているようなそれが……怖いのだ。

 今まで拒まれて、嫌がられて、それが許せなくて、でもだからといって優しくする方法も、どうすれば好きになってくれるのかも考え付かなくて……いや、好きになってもらおうなんて思っていなくて、ただつついたら面白そうだなとかカノンカースには思って、ようやく許してもらえたかなと思って……ようやく私の事を見てくれたかなと思って……自分でも自分の気持ちが分らなくなる。

 期待するのが怖い。

 その期待が形となって、今まさに近づいてきているのだから、“光の神”には恐ろしいに違いなかった。

「く、来るなと言っているだろう!」

 間合いを詰められつつある“光の神”はそうルカに叫んだ。

 けれど、ルカはその問いかけに首をかしげて、

「? 何故逃げるのだ?」

「お前は苦手だ!」 

 そう必死で逃げ回る“光の神”をルカが追いかけ、声をかけた。

「今、我は一切魔法が使えぬぞ?」

 力でどうこう出来るわけでもないのに、何で逃げるんだろうなとルカは思った。

 一方、“光の神”はルカに追いかけられて精神的に追い詰められていた。

「そういう問題じゃない! あ、そ、そうか……お前にもあの呪いを強くしてやる!」

「へ? ぁああ!」

 ルカが少し震えた。

 よし、これで少しは大人しくしているだろう、確か発情の呪いになっているはずだと“光の神”は安堵して立ち止まって振り返った。

 すぐ傍にルカがいた。

 冷や汗がどっと吹き出て、血の気が引く“光の神”。

 そんな“光の神”にルカがにっこりと微笑んで、

「レンヤ、好き!」

「うわあああああ」

 そのまま“光の神”を押し倒した。

「好き、大好き~」

 ルカは、“光の神”に抱きついて、顔をすりすりとこすり付けてくる。

 “光の神”の中で何かが変わってしまいそうで、“光の神”は必死で抵抗した。

「止めろ! 放せ! 私は好きじゃ……」

「我の事が嫌いなのか?」

 ルカが目を潤ませて悲しそうに“光の神”を見た。

 それに、“光の神”は嫌いだと言えなくなる。

 そう、“光の神”は嫌いでないから困るのだ。

 しかも嫌われているわけでもなく純粋な好意を寄せられているのである。

 それもずっと欲していた相手に。

 だから、どうしたら良いのか分らず、気がつけば“光の神”は助けを求めていた。

「おい、そこの人形! レオン! このルカという魔王を私から引き剥がせ!」

 助けを求める割には偉そうな口調だが、“光の神”は切羽詰っていた。

 そんな状況を見ていたレオンは少し考えて、

「どうする? カノン」

「ルカが幸せそうだから良いんじゃないかな」

「そうだな。それにあいつら将来恋人同士になるし」

「気に入らないけれど、恋人同士の痴情の縺れには余り口出しをすべきじゃないからね」

「そうそう……と、いうわけだから」

 そうレオンは答えて再びカノンといちゃつき始める。

「ふ、ふざけるな。放せ、放すんだ!」

 そう強くルカの肩を“光の神”が掴む。と、

「痛い!」

「あ、ご、ごめん……では無くて、放し……んんっ」

 そこでルカの唇が、“光の神”の唇と重ねられたのだった。


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