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"また"振られるぞ

 ミランを支配している光の神が何か魔法を使おうと手を振り上げた。

 その時、

「あ、ごめんなさい」

 唐突に、ミランの頭上にルカとホーリィロウが現れて、ミランを下敷きにする。

 一応ルカはそれに気づいて慌てて体を軽くする魔法を使ったのだが、それが少し遅くミランは踏まれて床に倒れた。

 慌てて退くと、大した影響もないようだったが、ホーリィロウはふらふらと再び立ち上がるミランに手を貸す。

「ミラン様、大丈夫ですか?」

「……ホーリィロウ、それにルカか……助かった」

 安堵した表情のミラン。

 酷く憔悴しているミランは、立ち上がろうとするがふらつく。

 それをホーリィロウは支えようとする。

 同時に周りの状況をホーリィロウは確認する。

 倒れているレオンとカノン。

 レオンは何故かカノンの傍までいっている。

 それを見てルカもすっと目を細める。

 激情で怒るのではなく静かに怒るタイプらしく、その無表情さが逆に恐ろしさをホーリィロウは覚えた。

 そこで、ミランの表情が変わる。

 ホーリィロウを振り払い、その目は、冷たく、けれど面白そうにルカを見る。

「……魔法が使えないのでは?」

「……我はレンヤの事を愛している。それでは……だめか?」

 ホーリィロウはあの力を封じる首飾りを、レンヤが望むから付けていたのだと言っているのだと思った。

 けれど、その言葉を聞いた途端、ミランが……正確には"光の神"だが、戸惑ったように見える。  

 それに少し黙ってから、"光の神"が口を開いた。

「……お前が、本当に未来の魔王だという保証もない」

「……レンヤを見て、お前は何も分らないのか?」

「……そんな事……ありえない。今まで……」

 酷く焦るような、狼狽する“光の神”の珍しい様子にホーリィロウは驚く。

 確実にルカが優勢に見える。言葉だけで、"光の神"が動揺し、何も出来なくなっている。

 力以外で倒せるかも知れないとホーリィロウが思った次の瞬間、

「……この私をこれ以上惑わすな! もういい、そこにいるレオンを殺してやる! そうすればお前が本当にそうなのかが分るだろう!」

 そう、癇癪を起こした子供のように"光の神"が叫ぶ。

 その瞬間、ルカがミランに向かって、恋する愛おしい相手に向ける柔らかくて、温かくて、輝くばかりの微笑を浮かべた。

 そして一言。

「大好き」

 ミランの中の"光の神"がそのルカの表情と言葉に釘づけになり、微動だに出来ない。

 ルカは、その瞳の色も、本来の"闇の神"と同じで、だから……。

 そこで幾つもの雷が落ちて、魔法装置の特定部分を破壊する。

 ふっと魔法陣の効力が消え去る。

 ルカが、"光の神"が固まっている間に魔法を使ったのだ。

 ホーリィロウが慌てたようにカノンとレオンに近づいて様子を見る。

「二人とも気を失っているだけです!]

「そうか、良かった……」

 ほっとしたようなルカ。

 けれどそれが気に入らない者が居る。

 “光の神”はどこか憎々しげにルカを見て、

「……よくもやってくれたな。それに、レンヤの事を愛しているんじゃないのか?」

 下手に壊せばレンヤの命に危険が及ぶことを、ルカも気付いているだろうことは“光の神”も分かっていた。

 魔族達の魔法技術レベルであれば、その程度の事は分かるはずだった。

 だから、ルカが嘘をついているのでは無いかと、ルカ達を未だに信じられずに疑心暗鬼になっている“光の神”は笑いながらも、何処か諦めたように問いかける。

 けれどそんな“光の神”にルカは、少し悲しげに顔を伏せて、

「我はレンヤと話したり笑ったり、共に生きていたいのだ。それに、何処が壊せば良いのかも、この装置がどういう構造なのかも元々知っている」

「……お前は魔族だ。魔法の知識には詳しい。それで壊したとも考えられる……。そうだな、それならば……」

「……あまり酷い事をすると、後で後悔するぞ?」

 まっすぐに“光の神”を見据えて、心配そうにルカは見つめる。

 けれど、その言葉と表情に"光の神"は鼻で笑う。

「別に高々人間という動く人形が……」

 そこでルカが"光の神"の乗り移ったミランの唇に、そっと手を触れた。

 思わず黙ってしまう"光の神"にルカは諭すように告げる。

「……あまりそういう事を言うものではない」

「……うるさい。どの道、そんなもの無くとも今だってレオンをこ……」

「あまり酷い事をすると、"また"振られるぞ?」

 "光の神"が凍りついた。

 思いの他、"光の神"の心をえぐったらしく、顔を蒼白にさせたまま唇を震わせて何かを言おうとして言い返せずにいる。

 しばし二人が無言になる。

 そしてそのまま、ミランがふらりと倒れこむ。

 どうやら"光の神"は逃げていってしまったようだった。

 こうして、危機はすぎ去ったのだった。


お気に入り、評価ありがとうございます。とても励みになります。


こういう展開にしようと思ったのだけれど、いざ書いてみたら……自分の文章の限界を感じましたorz。シリアスと説明回なので、一気にストーリーを更新しようかと思って五話です。これから少し穏やかなコメディ話が続きます。

ゲームは、たち絵を描き終わって、頑張って描いたけれど女の子キャラに見えるってことは、百合ゲーか乙女ゲーなんじゃないだろうかということに気づいたorz。とりあえずは完成させて次に活かそう……。大した事やっているわけじゃないのに進まない……。


次回の更新は近日中に。よろしくお願いします。

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