着替えた後は
レオンの部屋に、カノンは連れてこられていた。
レオンの部屋だ、わーい、と思う部分もあるのだが、カノンはそれ以上に今は別の事が気になっている。
今カノンはとてもどきどきしていた。
何故かというとレオンがとても可愛かったからだ。
――前に女装した時も可愛かったけれど、今回はもう……。
青い空色のドレスに、白いレースがふんだんにあしらわれて、しかもレオンはカノンよりも背が高い。
すらっとしたその体には、そのドレスはとても似合っている。
正直言ってカノンのとても好みだ。
そんなカノンにレオンが微笑みながら、
「……カノン、綺麗だな」
「そ、そうかな」
「うん、白いドレスがすごく似合っている」
そう言って抱きしめられて、カノンはふにゃ、と幸せな気持ちになる。
レオンの体温が伝わってくるのもとても気持ちが良くて幸せで……けれど今は。
「……なんだか女の子に抱きしめられている感じがする」
レオンのカノンを抱きしめる手が動きを止めた。
あれっと思ってカノンがレオンを見上げると、レオンが複雑そうな顔をしている。
「……俺が、女の子みたいに感じられるのか? カノンには」
「うん! すっごく好みの女の子!」
目を輝かせるカノンに、レオンはふうと溜息をついた。
「……着替えてくる」
「嫌ぁー、着替えちゃやだ」
「……そんなに良いのか?」
「うん、これなら僕でも押し倒せそうって思えるくらい可愛い!」
「……着替えてくる」
「いやぁぁ、駄目駄目ぇ」
カノンから体を離して着替えてこようとするレオンを、カノンは着替えちゃいやいやとレオンをぎゅっと抱きしめて顔をこすり付けてくる。
カノンが可愛い。
すごく可愛い。
レオンは今、着替えるべきかどうかを考えてしまっていた。が、
「いっその事、レオンが僕の"お嫁さん"にならない?」
「……着替えてくる」
「いやぁぁぁ」
「大体俺はずっとカノンの事をお嫁さんにしたいと思っていたのに、それなのにカノンはそんな事を言うのか?」
「う、それは……」
「ずっと好きで堪らなくて、俺、頑張ってたのに……」
「あう……う……ごめん。レオンがそんなに傷つくなんて思わなかった。ごめんなさい」
しょぼんと下を向くカノン。
こういった素直なところもレオンはカノンが好きだった。
けれどそれは言わずにぎゅっとレオンはカノンを抱きしめると、カノンはふにゃと幸せそうな顔をする。
レオンは自分の腕の中でカノンが幸せそうな顔をするの見て、レオンも幸せを感じてしまう。
愛し愛されるのはとても幸せな事。
そこでカノンが少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「……あのね、その……レオンに喜んでもらおうと思って、その下着を……」
「ああ、そういえばさっき、母様にぺちぺちやられていたな」
「うん、あれではないんだけれど……何色だと思う?」
カノンは、できれば黒と答えて欲しかった。
カノンの、魔王としての象徴の色だし、それに、レオンの母親が挑発的だと称していたし。
そんな色々な事を考えていたのだが、レオンがサラッと言った。
「んー、黒はないな」
カノンの頭が冷や水を浴びたようになる。
「! な、なんで!」
「ビッ○ぽいというか、遊んでいるような……」
「い、色気とかそういうのは?」
「健康的な感じがしないから……カノン、まさか……」
「……黒」
ショックを受けたようにカノンが俯いた。
レオンに黒は無いと言われて、いや、それよりも……。
「……僕の象徴の色が、○ッチって言われた」
「え! いや、黒もいいって思うぞ、俺は」
「……着替えてくる」
「待て、せっかく可愛いのに……」
「こんな屈辱耐えられない。……やっぱり僕たち別れようか」
「どうしてそうなった! 待って、考え直して、カノン!」
慌てるレオンがカノンをなだめ、その後気づけばお互いの何処がどれだけ好きなのかを言い始めて、またいちゃいちゃしだすという、元の鞘に収まるのはそれから十分後の事だった。
お気に入り、評価ありがとうございます。とても励みになります。
ゲームの立ち絵がようやく完成した……。あと、女の子みたいになったけれど、もう無理ぽ。次はイベントイラストと内容の追加だわ……。
次回更新は不明ですが、よろしくお願いします。