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機会の逃げ足は速い

おぎゃー、おぎゃーと泣く赤ん坊。そしてなんか大きい鳥。

「えっと、レオン?」

 次の瞬間、カノンはレオンに押し倒された。

 呆然と見上げるカノンに、レオンは真剣な表情で、

「……責任持つから、最後までやらせてくれ」

 そのままレオンはカノンに覆いかぶさろうとして、ドアが勢いよく開いた。

 恰幅の良い女性が入ってきて赤ちゃんを抱き上げる。

「私の赤ちゃん!」

 何が何だか分からない。


 その女性の話によると、その大きな鳥は"コモチコウノトリ"といって、赤ん坊と一緒に育てると、赤ん坊が攫われた時取り戻してくれるらしい。

「ただこの子方向音痴でね。本当にご迷惑をおかけしました」

 そう言って、赤ん坊は彼女に連れて行かれたわけだが。

「……焦った。俺、本当に……」

「僕もだよ……」

 未だに衝撃が抜けきらないらしく、ぼんやりとしているレオンとカノン。それを見ていたイオがカノンの隣に座って面白そうに問いかける。

「どう、カノンちゃん、レオンとなるって思ったら……」

 カノンは顔を赤くしてふるふると首を振った。

「無い、無いから。そんなの……レオンの事は"幼馴染"で仲間だとしか思っていないから!」

「うむ、仲間という好感度アップと……こんな面白い事メモしておかなくちゃ」

 そう、青色の手帳を取り出して書き記すイオに、カノンはさっとその手帳を取り上げようとして失敗し、床に顔面からぶつかりそうになり寸での所でレオンに引っ張られた。

「大丈夫か? 少し休もう」

「うん、大丈夫だよ……それよりレオン、一つ聞いていい?」

「何だ?」

 そこでカノンが本当ににっこりと自愛に満ちた表情で、

「最後までってどういう意味?」

「………………………………………………」

「……何か言え」

 レオンは黙ったまま、ふっと笑った。

「……合体するんだ」

「合体?」

 合体ってアレだよな、魔物とかを融合させて別の魔物にしたりとかの、後は金属と融合させたりとか?。

「そう、手に様々な文様を描き出す事により、魔法を使うための呪文を短縮でき、時に目からビームを……」

「レオン、本当は違う意味だろ?」

 レオンの瞳を覗き込んで、カノンは囁く。

 それが予想外でレオンは目をぱちぱち瞬かせる。

「……どうしてそう思った?」

「ずっと見ていたから、レオンがどんな時に嘘をつくのか分かるんだ」

 意外に、カノンはレオンの挙動を見ていたらしい。でも、そういった事が分かるのは、ずっと目で追いかけないと気付かない。

 そして、逆にそう言うという事は、カノンはいつもレオンの事を見ていますよという事で、とりあえず外野から見ていたイオは面白い事になってきたと状況を見守る。

「そうだな、だったら最後にまでの意味、カノンに教えてやるよ。……実技を通して」

 レオンの真剣な表情。イオは邪魔したら悪いかなと、空気を呼んで席をはずそうとする。

 そしてレオンがカノンの手を引っ張り引き寄せようとした途端、再びドアが開かれた。

「すみません! 先ほどは失礼しました。これはほんのお礼で……」

 先ほど恰幅の良いおばさんが入ってきて、何処か不思議そうにレオン達を見たのだった。


 機会を失うとそれ以上何も出来なかったり。

 そして、そういった本を買う気も失せたレオンは、カノンに付き添いで依頼料を貰いにいった。

「これが、今回の成功報酬です」

「ありがとうございます! これでしばらく食い繋げる……」

 後光が差すんじゃないかという位嬉しそうに笑うカノンに、レオンは何故かがんばらなきゃいけない気がした。

 そこで、白い服を着た僧侶らしい少年がレオンに向って走ってくる。

「レオン様!」

 彼はそのままレオンに抱きついた。けれど、レオンは慌ててその少年を引き剥がして、カノンの方を見る。

 案の定、先ほどと同じにこやかだが背負っている何かが違う。

 すぐさま、オラオラされてしまいそうなそんな怖い雰囲気。まずい、これは危険だ。

「……レオン、彼は?」

「いや、知らない。少なくとも俺が声をかけた人間なら、覚えているはずなんだが……」

「酷いですレオン様! 昨日会ったじゃないですか」

「昨日……」

 確か、ホーリィロウと戦ったはずだが……レオンは首をかしげる。記憶に無い。と、

「ああ、あの時居た僧侶か。で、敵が僕達に何の用?」

 そうカノンが、その僧侶を上から下まで見て、酷薄な笑みを浮かべた。

 ちなみに背が少し低めのカノンよりも彼はもっと低い。

 だが彼はカノンを逆に見上げて、馬鹿にしたように笑った。

「貴方はレオン様の一体なんですか? 聞いた話によるとただの幼馴染だそうですが」

「そうだ。それがどうかしたか?」

「ふーん、へー、それを信じろと?」

「そこまでにしろ。カノンに酷い事を言うのは許さない」

 そうレオンが割り込んできて、僧侶は大人しくなる。面倒な事になる気配を感じて、レオンはカノンの手を引いて足早にその場を立ち去ろうとすると、後ろから僧侶が声をかけた。

「その人、本当に魔物との混血ですか?」

お気に入り、評価ありがとうございます。とても励みになります。


ここのところかせが治ったと思ったらまたかぜの繰り返しです。

皆様もおきよつけ下さい。

ちょっと更新が遅くなるかもです。

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