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着せ替え人形

 宿に着いたのはいいのだが、

「無事カノンちゃん奪還パーティ、開催!」

「……たまに思うのだけれど、イオってお酒が飲みたいだけなんじゃないかなって」

「酷い。僕のことカノンちゃんはそんな風に見ていたんだね……」

「イ、イオ……そんなつもり僕はなくて……だから、あの、これお財布。これで好きなだけ……」

「よし、カノンちゃんのお財布だー! これで沢山……って、こんなにある!」

「……いつ何があるか分らないじゃないか。それに強くなって欲しいから、そういった武器防具の費用貯めていたんだ……」

「カノンちゃん……きっとレオンのいい奥さんになるよ!」

「な! ……その、なれるかな?」

「うんうん。特にこの服を着れば完璧!」

「いやぁぁぁぁぁぁ」

 満面の笑みを浮かべて何処からともなく可愛い服を取り出したイオに、身の危険を感じて逃げ出そうとしたカノンは捕まった。

 それを見ていたルカは、空気を読んで逃げ出した。

「はっはっは、何処へ行こうというのかね」

 だが俊敏な動作でイオに回りこまれてしまった!。

「や、いやぁぁぁぁぁ」

 ルカもカノンと同じ悲鳴を上げて、イオに捕まりずるずると引きずられていく。

 そしてイオはカノンの財布をトランに投げて、トランとレオン、レンヤは部屋の外にでて、そっと部屋の扉を閉めた。

 部屋の外にまで、なにやら色々聞こえるのだが……やめてー、とか、そんなとこ触っちゃ、とか、脱がしちゃ駄目ーとか、やぁんとか……多分、普通に着替えさせられているだけのはずなのだが、酷く想像をかきたてるというか。

「……買い物に行こう」

 あまり長くいると色々な意味でもたないと、レオンは呟くと他の二人も同意して歩き出したのだった。

 

 腰の所までスリットの入ったふりふりの服を着せられて、二人は恥ずかしそうにスリットの部分を押さえて、太ももの部分を隠している。

 その初々しい様子も可愛いといえば可愛いのだが……そんなカノンが恨めしそうにイオに言う。

「……何でこんな破廉恥な格好の服があるんだ!」

「だってスリット入っていた方が、動きやすいでしょ?」

「動きやすいって! だったらズボンとか……」

「そうなの? だったらこういうのとかどうかな?」

 そう言って取り出したイオの手には、どう考えても足が丸出しの……。

「下着じゃん!」

「今都市の女の子達がはいてるらしいよ?」

「そんなに足を出すのよくないよ! もっとこう……」

「古いなもう、カノンちゃんは。例えばこの丈のミニスカートとか?」

「短い! やっぱりスカートは膝下までないと駄目だよ!」

「……よし、カノンちゃんにはミニスカートの良さを分ってもらうために、こっちに着替えてもらおうか」

「いやぁぁぁぁぁ」

 墓穴を掘ったカノンは、じたばた抵抗するもミニスカートに着替えさせられた。

 もちろんニーソもセットで。

「うん、やっぱり素材が良いとやりがいがあるな。スタイルもいいし……」

「……イオも着ればいいのに」

 恨めしそうに着せ替え人形のように遊ばれているカノンは呟く。

 そうすればこの辱めの一部を味あわせてやれるのにとカノンとルカは心の中で思った。しかし、

「あ、久しぶりにそれもいいかな。どーれーにーしーよー♪」

 イオはノリノリだった。

 恥ずかしいと思わなければ全然平気なんだと、カノンはその時人生の奥深さを新たに学んだ。

「……でも、どうせ見るのはレオン達だけだし。そうだ、それくらいなら、こんな格好で出歩くわけじゃないし、ましなんだ」

 そうカノンは必死になって自分に言い聞かせていると、ふとルカが思い出したように、

「そういえば子供の頃、四天王の皆に女装とか着飾らせられたりしたような……」

「なん、だと?」

「あ、いえ、子供の頃ですよ? さすがに我も今は大人ですし、少しは男っぽくなっている……いますよね?」

 カノンは答えられなった。

 目の前のルカは何処からどう見ても、とても綺麗で可愛い……と考えて自分にそっくりな事をカノンは思い出して、考えたら負けかなって思った。

 だが、今の会話で聞き捨てなら無い言葉が、

「四天王だと? やっぱり恋人や伴侶として作られたと、ルカは知っていたか?」

「実は、我もその話を知りませんでした。でも、好きな相手は作るものではなくて、育む物だと思います」

「そうか……。では、お前の父親の時はどうだったんだ? 四天王達は」

「……そういえば、父様の伴侶については揉めたと聞きました。何でも四天王達は、あれだけは嫌だと彼らの父達に泣きついたそうですから……」

「上手く調教されているな……一体何をやればそうなるのか僕は聞きたいな。ルカは知っているか?」

 ルカは答えなかった。

 それほど恐ろしい事をしているのかと思ってルカをよくよく見ると、ルカの顔が真っ青な事に気づく。

 その視線の先を恐る恐るカノンが見ると、穴というか隙間の開きまくっている服と猫耳と尻尾を持ったイオがいた。

「やっぱり、もっと露出の多い服にしよっか☆」

「「ひいっ」」

 小さく悲鳴を上げて震えるルカとカノンに、笑うイオの黒い影が覆いかぶさったのだった。

お気に入り、評価ありがとうございます。とても励みになります。


次回更新は、近日中に。よろしくお願いします。

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