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異世界転移してミリタリー能力を授かったのでチートをしようとした転移者の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/06/28

「カッティングパイからダイナミックか?それともクイックピークか?移動トリガーが気になる」


 今、森の中、大きな藪が目の前にある。移動方法を思考中だ。


 日本でサバゲーをしていたら、異世界転移をしたらしい。浅い森の中に突然現われた。


 敵地かもしれない。CQCも出来るように片手でナイフの位置を探る。

 ナイフはトレーニングナイフだ。


 俺はタクティカルなサバゲーを目指していた。

 そうだ。俺はサバゲーマーだ。


 名前は・・・


 ガサ!ガサ!


 前方の草が揺れた。


「おい、何だ?魔人か?」

「お~い、誰だ?もしかして転移者か・・」



 俺はスタンディングのまま銃を構え三点バーストで撃った。HK416だ。アマゾンで7万くらいした。

 しかし、俺は感じている。トリガーを引いたら実弾出た。


 ダダダダダ!


 若干、反動で前足が浮いた。


「「ウワワワワワーーーー!」」



「2キルか。初めて、実際にキルしたのか?いや、ここはゲームの世界に違いない」


 もう、隠密性は崩れた。そうだ。街に行こう。フラグがあるに違いない。


 俺は森の外縁に見える城壁を目指した。

 門番がいるが、キルすれば良いだろう。






 ☆☆☆都市エレーラ



 ここエレーラは迷いの森に一番近い都市である。

 主な産業は冒険者による素材獲得などである。

 すぐに奇妙な来訪者の事は伝わった。



「ギルマス、大変だ!魔人が現われた!巡回冒険者が・・・2人瞬殺だ!通用門の門番を殺して城内に入った」

「何と・・・ワシの任期中に・・異世界災害か?」


「はい!そう考えて行動した方が良いかと・・」


「タイプは?スローライフ級ではないだろう。殺したのだからな。ニート級か?それともダークヒーロー級か?・・」


「それが鉄の筒を持っていて・・・ツブテを出しています」


「はあ?もしかしてミリオタ級か?」




 何て言うことだ。ワシは冒険者総動員令を出した。鐘を鳴らし戦時体制の旗を掲げた。



「怪鳥便を領主様に!」

「冒険者は集まり次第梯団を組み前進!」



「賢者殿、至急ミリオタ災害の文献を当たれ!」

「はい、ギルマス」


「災害発令!一日金貨1枚を支給する!」


「「「オオオオー」」」


 士気があがったのは良いが・・・とんでもない事が分かった。


「ギルマス、ミリオタ災害は銃を使います」

「銃とは?」

「鉄のツブテを高速で飛ばし射程は300メートル」

「何と・・・」


「魔力により弾が尽きないのなら理論上は寿命まで殺しまくるでしょう」

「何てことだ・・・話会いは?」

「多くの文献で話会いは不可、意味不明なことを話すようです。しかし、朗報もあります」

「何だ、それは・・・」


「ミリオタとは異世界の軍隊のようですが、何故か1人で現われるのです・・・」

「1人・・・なら、1人だけに注意すれば良いのか・・・」






 ☆☆☆


『え、お前、何をやっているの?』

『アクティブシューターへの対応だよ』


『だからそれ何だよ。部室で戦争ごっこをするな。お前らミリオタはわざと難しい言葉を使っている・・・何だ。クイックピークってひょっこりさんだよな。女子が怖がっているぞ』



 日本時代、高校の時、俺にからんでくる奴がいた。情弱な嫌な奴だった。


『あれは、前の確認の仕方だ!アクティブシューターは無差別殺人者だ!』


『はあ、よく分からないけど、あれか?ヤクザが拳銃を持って立てこもったニュースがあったな。立てこもり犯は大抵間抜け。捕まるような物だろう・・』


『情弱め!アメリカだよ』

『あのね。ここは日本で高校の歴史研究同好会、ミリタリーとからめるのもいいが、もっと地に足がついた研究をしようよ。なあ、これから大名行列で使われた道の探索をするのだ。郷土史だよ。楽しいよ』


『もう、いい!』




 ・・・・・・・・




 高校の時、サバゲー部は許可されなかったから仕方なく歴史研究同好会に入って戦史の研究をしようとした。


 何故か、同級生の言葉が浮かんだ。立てこもり犯?

 だから、俺は奴らの拠点、都市か?移動しながらフラグを探す。1箇所に居座るべきではないな。




「いたぞ!」


 都市の住民は石を投げてきた。


 だが、俺は全身、防弾装備を身につけている。

 バイト代をつぎ込んだぜ。



 カツンとヘルメットに当たった。しかし、これはアイスホッケー用のヘルメット

 だ。クラッときた。

 アイスホッケーを使うアメリカの特殊部隊もいるとネットで言っていたからクールに俺は放出品や模造品に金は使わない。


 とりあえず目の前の脅威を排除しようか?



 ダダダダダダ!


 三点パーストだ。トリガーを引くと3発だけ連射で発射される。

 マガジンには弾丸30発入るが、弾切れになると一瞬光って弾が補給される。

 やはりゲームの世界に紛れ込んだが、この中世の時代はやったことがない。・・・


「これで7キルだ。これで俺はもう・・・」


 俺はプロだぜ!



「うん・・・」


 だが、確実に奴らは隠れるようになった。

 木造の家は弾貫通想定だろう。


 ダダダダダダ!


 木の壁は貫通するが感触がない。人はいないようだ。

 石の家の中で伺っている者や、地面に伏せて隠れている奴もいる。



「生意気だ!」





 ☆☆☆



 一方、冒険者の方も対策をとれつつあった。

 名もなきおっさん冒険者が指揮を執ることになった。彼ら冒険者は日常で小集団による戦闘を繰り返していた。即興の戦闘ではその場の年長者が指揮を執る慣習があったのだ。



「はあ、はあ、はあ、最年長の俺、リヒターが指揮を執る。臨時戦闘クラウの編成だ。

 魔法が届かねえ。剣の射程にまで入れねえ・・・魔道士は後方で拠点を作れ、怪我人の看護、戦闘職種以外は住人の避難誘導だ!南の門からだ!」


「「「了解!」」」



 何てこった。こいつは厄介だ。

 やつの体、矢は貫かない。石で死なない。恐らく皮鎧を着ているな。


「おい、鑑定士、この距離から可能か・・」

「無理です・・・」

「おい、斥候、弱点は?」


「ない・・いや、ある」


 指で輪を作り拡大魔法でのぞいている斥候のリリーはあると言う。

 朗報か?と思ったが違った。



「完全にこちらの武器は防げないと思うよ・・・石が当たると痛そうな顔をするし、矢が当たっても、衝撃はあるみたいだ。多分、革鎧を着ていて、足甲までつけていて・・・だけど、膝の裏は何も覆っていない・・・よ」



 膝の裏か・・・狙って当たる箇所ではない。



「ネゴシエーターは対話を呼びかけろ。例え、無駄でも可能性はある」

「分かった。お~い、異世界人よ!」


 その間、作戦を即興で作った。


 奴は建物に籠もるはずだ。

 そしたら、魔道士を呼び寄せ死角から爆裂魔法を撃ってもらい壊してしまえば・・・



 しかし、奴は籠もらない。そこまで馬鹿じゃないか。


 奴はゆっくり南に向かう。


「おい、何かワナをはれないか・・・」


「ウワ!」

「また、1人やられた!」


 あれほど、投石、弓を放っているのに、少しも削れていないように思える。いや、事実そうだ。


 膝の裏か。



「ヒャハハハ、フラグはあそこだ!」



 な、何だ。この方向は冒険者ギルド・・・ギルドの緊急旗に反応しているように思えるが・・・それはないだろう。それよりもこの行程は都市中央広場に入る。



 よし、算段をつける。


 奴は数秒間の間に少し隙が出来る。光ってツブテを補給しているようだ。

 なら、やりようはある。



「鑑定士、秒数は測っているな」

「はい!10回で一秒から二秒隙がある」


 そのわずか隙をつき。360度方向から石を投げて、一つでも膝の裏に当たれば成功だ。


「全員、広場に配置だ!グルっと回れ」

「「「はい」」」



「リヒター、今だ!」

「おう!」


 俺は手をあげて周りから石を投げるように促した。

 俺は囮になるように正面に出たが・・・



「プロですから、フルオートやらなきゃ!」


 奴は360度周り乱射した。光りながらツブテを放っている。

 まるで無限にツブテがでるようだ。こんな隠し球があったのか?

 上半身を出した冒険者は軒並み当たった。


「「「ギャアアアアアアアーーーー」」」



 俺も、肩、胸、腰に衝撃が来た。


 バタンと地に伏し。奴の足音を聞いた。


 それから急激に痛みが来た。

 血が小川のように石畳の上を流れている。


「はあ、はあ、はあ・・」


「早く終わらせて配信しなければ・・」


 奴の声が聞こえてる位置まで接近しているらしいが、俺には目もくれない。


 俺の横を通り過ぎた時。


 ポーションを飲んだ。不幸中の幸い、ビンは割れてなかった。


「はあ、はあ、はあ、死ねや!」


 後ろから抱きつくように膝の裏を短剣で刺した。



「え、これ・・・何?・・・血が・・・ギャアアアアーーーー」


 転げ回る。

 だが、抱きついて銃とやらを奪って遠くに投げた。


「「「リヒター!」」」

「銃がなければ角のない魔族以下なんだよ!お前は!」



 生き残った冒険者が出て奴を袋だたきにした。

 やったか・・・


 だが・・・


「リヒター!!・・・まだ、いるよ」



 仲間がいた。


「あれ、デルタフォース仕様君、ヒットしたの?」

「なら、コールしなきゃ」

「ゾンビは嫌われるよ」


 3人いた。マダラ模様の服だ。奴とは若干違う。別種か?上位種か?



「フラグはあそこだ。デルタフォース君、頑張ったじゃない?」

「うん。早く終わらせて配信しよう」

「デルタフォース君、中々やるじゃない」



 何だ。子供のように無邪気だが悪意が底抜けだ。

 怖い・・・

 俺は足が縮んだ。


「じゃあ、俺、この中世おっさんやるよ。初キルだ」

「ねえ、このゲーム名前は何だろうね」

「さあ、終わったらクレジットでるんじゃない?」



 ああ、死んだ。32歳の人生が終わった。

 周りの奴らは・・・せめて逃げてもらいたい。


「逃げろ!」


 俺は両手を広げ奴らの前に立ち塞がった。


「何故、お前らは無差別に殺す?どこから来た?」


「じゃあ、一キルね!」


 話が通じない。俺は目を閉じた。


 パス!パス!パス!


 体に何か当たった感触がある。痛いが死ぬほどではない。


「あれ、あれ、何で、さっきまで実弾がでたのに・・」



 その時、魔道士のフランの詠唱が聞こえた。


「魔道攻撃無効!!」


 広場に魔法陣が浮かびあがった。足下が鈍く光り包まれた。

 この一帯は魔法が無効化になるようだ。

 大規模魔法だ・・・


「捕まえろ!三体だ!」


「ええ、なら、CQCを!」

「ナイフもトレーニングになっている!」

「卑怯だよ!一対一を所望する!」


 およそ30人近くで奴らを袋だたきにした。


「おら、死ねや」

「銃を持って正々堂々とか今更だよ!」

「「「オラ、オラ、オラ」」」



「大丈夫だったリヒター?」

「フランと魔道士達、有難う・・・グスン、本当にありがとう」

「フフフ、おっさんなのに泣いて可愛いわ・・・グスン」


 何故か皆で泣き出した。



 何でもフランもフラグに向かっているのに気がついて広場に即興で魔法陣を描いたらしい。

 詠唱が間一髪に間に合ったようだ。



 その後・・・・王国から使者が来た。



「冒険者ギルド報酬の他に金貨1枚支払う・・・だが、あの魔道具は王国が買い取る。金貨100枚でどうだ?」


「断ります。討伐者の正当な権利です・・・」


「なら、300枚まで出す」

「なら、それと怪我人分のポーションと、遺族に弔意金を支払って欲しい」

「分かった。特別に取り計らおう」



 危険な魔道具ではなくなったあのナニカは売れた。

 あの雷魔法で動く銃とやらが・・・どうやらオモチャになったらしい。



 これくらいは良いだろう。聞かれてないもの。金貨300枚は・・・平等に分けよう。これが俺のやり方だ。


「あ、そう言えば、奴の名は何だっけ?」

「そう言えば、知らないわ・・・」


 今になって名前を知ろうともしていないことに気がついた。

 名誉もない戦いか。また、現われたら、もう少し上手く出来ると考えている俺に気がついた。


最後までお読み頂き有難うございました。

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