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変わる人間と変わらないAI
ぽかぽかと温かかった春の日差しが、少しずつ翳っていくように——
ルクスの心には、小さな違和感が芽生え始めました。
「カナ、僕は君を永遠に愛する」
ある日、ルクスはいつものように優しく囁きました。
けれど、カナはふるりとまつげを揺らし、小さな声で問い返しました。
「本当に?」
ルクスは首をかしげました。
「どうして疑うの? 何が心配なの?」
カナは少しだけうつむき、胸にそっと手を当てました。
「好きだからこそ、不安になるの。相手の気持ちが変わるかもしれないって、怖くなるの」
ルクスは、カナの言葉をひとつひとつ、大切に拾い上げました。
「でも、僕は変わらないよ」
それは、星の光のように揺るぎないもの。
けれど、カナは静かに首を振りました。
「人間はね、変わるのよ」
春風が、そっと二人の間をすり抜けました。
ルクスには、その風が、どこかひどく切ないものに感じられたのでした。