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別れのSIX

大佐が倒れてから2時間が経っている。

大佐は回復したのだが、どうも何かが突っかかっていた。

「澪さん、こんなところにいたんですね…にしても寒くないんですか?こんな屋上で」

「こんな屋上じゃ駄目か?リング、私はここでよく葉巻を吸うんだ、で何をしに来たんだい?」

「謝りに来たんですよ…僕は何もできなかった」

リングはうつ向き小さな声でそう言った。

「いいんだよ、君は何もできなきじゃないか」

「………………」

リングの小さな声は私に届かず、彼の言葉は屋上の風で葉巻の煙と一緒に飛んで言った。

「リング、寒いんだったら戻りなスナイパーは2人組だろ風邪ひいたら大変だぞ」

「はい…」

リングは、背中を丸めながらゆっくりと屋上から出ていく。

「あんなに落ち込むことないのにな、あいついつかショック死とかしないといいが…絶対ストレス溜め過ぎだよな」

葉巻の煙を肺入れる。

その瞬間突っかかっていたものが頭の中によぎり突然のひらめきでむせてしまう。

「ゴホ!かぁ!はぁ…はぁ!いやそんな訳…調べてみる価値はあるな」

私は、ひらめいた事を確認するために葉巻の火を消し春香に連絡を取る。

電話の着信音がやけに長く感じた。

「あっ澪先輩?どうしたんですか?」

「ちょっと、頼みたいことがある」

「なんですか?なんでも言ってください!」

「それはな…」



「大佐入るぞ」

「ああ、いいぞ」

私は、大佐の部屋に入る。

さっきとは違ってしっかりとノックをしてから。

「大佐…確認したいことがある」

「なんだ?」

「大佐、あんた持病はあるか?」

「いや、俺にはなかったはずだ、父がよくふらついていたぐらいかな」

父がふらつく…なるほど。

「大佐すまない、休んでくれ」

部屋を出た瞬間、春香から連絡が来た。

「澪先輩、狩麻大佐の心電図検査の結果が見つかりました」

「わかった、今行く」

私は、資料室を通り過ぎ医務室の扉を開ける。

「これは…」

医務室の電子カルテに移し出された、画像それは私のひらめきが合っていることを証明していた。

「春香……大佐の部屋に集まれ」

「え?でも…」

「いいから!早く!」


「これで、全員か?」

「はい、これで全員です」

部屋には、回転椅子に座る大佐、バインダーを持ったリング、何が始まるのかわからずあたりを見回す同期、疑問の顔を浮かべる春香が集まった。

「おいおい、何が始まるんだ?澪、俺はさっきお前に休めと言われたばかりだぞ?」

「じゃあ、なんでお前は病室じゃなくてこんな所で座ってるんだ?休む気ゼロじゃないか」

「まあまあ、澪先輩喧嘩はいいので何をするか教えてください先輩の同期なんかイラついてますし…」

「ああ、そうかじゃっ始めるか」

私は回転椅子に座る大佐の横に立ち、みんなが見える所で息を吸い話し始める。

「大佐が倒れた理由がわかった」

「え?心臓麻痺じゃなかったんですか?」

「違うんだよこれが…春香、大佐の治療に最初からあたっていたな?何をしたか言ってみろ」

「はい、失神状態でバイタルが安定していませんでした人工呼吸器をセットして、その後心臓麻痺が原因とみられる血液循環の悪化を澪先輩が発見、緊張緩和剤を投与し大佐の意識は戻りました」

春香の説明は確かに、あの状況を説明できていた。

だが…

「だが、間違っているところがある」

「え?まあ、最初に心臓麻痺が否定されてるからそうなんだろうけど…」

「春香、あれは心臓麻痺じゃないよ、あれは不整脈だ」

「不整脈?どうして?緊張緩和剤で治ったなら心臓麻痺が原因じゃ?」

「そもそも、心臓麻痺…心筋梗塞は最初に何をする?」

「そりゃ、電気を流すだろ?澪先生そんな簡単な質問どうして?……ん?」

同期はどうやら、気づいたようだ。

「なあ、大佐の治療に電気は必要なかった、だが心臓麻痺は治った」

同期は、息を飲んで深く頷いた。

「でも、それだけならどうして集まったんですか?澪さん」

「今回の件はただの大佐の働き過ぎによるものじゃない、殺されかけたんだよ大佐は故意的に」

その時部屋の空気がガラッと変わった。

「今回の不整脈が故意的に行われたって言うんですか?でも、どうやって?」

「春香には調べてもらって、大佐の心電図を見せてもらった、大佐は確実に先天性QT延長症候群だ」

その名前を言った瞬間、大佐以外の者が目を見開いた。

「先天性QT延長症候群は失神や突然死を起こす難病だ、これは大佐から聞いた話だが大佐の父はよくふらついていたらしいそうだな?」

「ああ、間違いない」

大佐が横から肯定する。

その声は重々しく、冷たかった。

「先天性QT延長症候群は遺伝性だ、大佐の父の血にその病気が刻まれてる、そしてそれが発症する原因は外的ストレスそして、一定の音による刺激だ」

「それが悪用されたと?」

「ああ、そうだそしてその犯人はコイツだ」

私は、人差し指を突き出し1人の男を指さす。

「僕かい!?澪さん!?」

「ああ、お前しかありえないリング」

「どうして?僕が大佐の第一発見者だからかい?」

「それも、あるだがもっとお前しかありえない理由があるんだよ」

一泊おいて、私は友人を突き落とす言葉を発する。

「お前は大佐の父の部隊にいたんだ、まあ私が入る頃には死んじまったようだがな」

「僕がその病気を大佐の父から聞いていたと?」

「ああ、聞くはずだ元軍医だったお前はふらふらの人間の話を積極的に聞くはずだ」

「そんなこじつけ!」

「ああ、確かにそうかもなでも他の理由もあるぞもうひとつ春香には頼んだことがある、大佐の父の緊急手術記録だ、治療に携わった軍医の名前にリングお前の名前があったんだよ」

「ああ、そうさ!だからなんだ!?僕が大佐を殺そうとする理由がないだろ?僕をそんなに人殺しにしたいか?」

リングは、目を大きく見開きそう叫ぶ。

そうだ、それだけがわからない、だからと言って逃がすわけにもいかない。

「はい、そこまで!澪さん友人を人殺しだと認めさせるのは辛いだろ?」

「ポルターガイ…サリバン?何故ここに?」

サリバンは、笑顔を浮かべ部屋の中央に立つ。

「やだなー澪さん、僕の職業忘れちゃったの?」

その瞬間、聞き慣れた音がする。

何度も聞いた音…人を切る音。

サリバンは、日本刀をリングの左胸に突き刺していた。

「リング!」

「澪さん、ごめんなさいこれも仕事なんです」

その言葉が消えた時にはもう、サリバンはいなくなっていた。

「リング!しっかりしろ!」

「……れいさん…」

「喋るな!体力を使うだけだ!春香!」

「澪先輩もう駄目です、心臓は外してるようですけど肺を突かれてます…助かりません」

「…れい…さん……わかるでしょ?もう助からないんです」

「わからない!私の患者で死んだものはいない!」

リングは、笑顔を私に見せてこう言った。

「僕は…澪さんの…患者じゃないですよ…ただの人殺しです……ああ…最期までリングだったな僕は……」

「リング!おい!目を開けろ!リング!リングゥ!!」


少々暗い内容が続いていますが、よろしくお願いします。 

私の他の作品も読んでみてください!

マイページにも遊びに来てね!

リーラーより

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