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記憶のーONE

「よーし、飲もうか君たち!」

「俺が買って来たんだが?」

「まあ、いいじゃないですか〜狩麻かりま大佐、今は飲みましょ?」

大佐はそれぞれのグラスに、バーボン、ウイスキー、ハイボールを作り春香に渡す。

「ああ、ありがとうございます…澪先輩バーボンロックで呑むんですか?」

「いや、私はソーダで割るよ、おっわかってるね?」

私がそう言うとすぐに、大佐はソーダで割ったバーボンを渡してきた。

「俺はロックで飲むよ」

「聞いてないよ大佐、さってみんな今日もお疲れさんせーの」

「かんぱーい!」

カランという、グラスが当たる音が部屋中に響く。

私はグラスに入ったフレンチハイボールを一気に煽る。

甘い刺激が喉を通った、グラスを置き、時計を見る。

時間は8時15分だった。

「澪そう言えば、お前治療するときは一人らしいな?

 助手ぐらいつけたらどうだ?」

「うっさいな、私はね治療中には部屋に誰かいてほしくないんだよ、それに私の異能は刃物を操るもの、怪我させて患者が増えるのは嫌なんだよ」

少しグラスに残った、フレンチハイボールを飲み下すと、

白猫のハクがドアの方へ向かってにゃーんとないた。

「教えてくれてありがとハク」

私は、部屋のドアを開ける。

「やあ、澪さん…全く出前感覚で僕を呼ばないでくれない?」

「実際出前じゃないか」

「いや、ちがくてここどこだと思ってるんです?

 陸軍と空軍の混合基地ですよ?入るの大変なんですからね?」

「身分書を見せればいいことだろ、それとも何か外でだめなことでもしてんのか?」

そう言うと、透明の男が姿をあらわした。

「はぁ〜、殺し屋をワインの配達に使うのはあなたぐらいですよ?それに、僕はワインの配達員じゃなくて死の配達員なんです」

「お前のところのワインが一番うまいんだからいいだろ?もうそれで食っていけよ」

「れーいせんぱーい!…あれ?その人だれですか?

 もしかして彼氏?ひっどーい!澪先輩は私のものなのに〜」

もう、酔ってないか?春香ってこんなに酒に弱かったけ?

「いいや、彼氏じゃないですよ、僕はサリバン、ワインの配達員ですよ…ただのね」

サリバンは、黒い手袋を付け直しフードをおろした。

長いきつね色の髪がマフラーのようにたなびいた。

「はい、春香さんでしたよねあなたのものから白ワインが届いています」

「え!あっ!やったー!澪先輩いただきます!」

春香は、サリバンから白ワインをひったくり椅子に戻って行った。

「かなり酔ってません?あれ」

「ああ、でもあれはしゃぐ割には最後まで潰れずにあのテンションなんだよ」

後ろから、大佐と春香が騒ぐ声が聞こえる。

「お前もどうだ?中にいるのは大佐だから正体がバレても大丈夫だぞ」

「いいや、僕は遠慮しておきます、まだ勤務中なんで」

「また、74時間労働か?」

「いいや、80時間労働です」

「いくら、堕天使だからって働きすぎだろもっと休めよ?」

「誰のせいで堕天使になったと思ってるんですか?

 はぁ、まあもう昔のことですね…じゃまた今度休日にでもアジト来てくださいよ」

「ああ、そのうち行くよ」

サリバンは、黒いフードをまたかぶり透明になっていなくなった。

「さて、戻るか…」



「あら、もうこんな時間…」

「寝てないけどおはよう」

「この三人とも酒に強すぎだな」

この三人で呑むと何がいいか、それは誰一人として潰れず何なら最後まで、テンションが高いまま楽しい時間が過ぎることだ。

それに、だいたい飲みの費用は大佐が持ってくれる。

「んー、よく飲んだ」

「何本開けたよ?えーと、いち、にー、さー」

「ざっと、9本は開けてるな」

「毎回見るとすげー量だな…さて、今日は休日だしどうするか、寝てないから体だるいんだよなー」

「その棒読みやめてくれます?澪先輩、もー全くわかりましたよやればいいんでしょ?」

春香は、ベットに横になり私と大佐に手を差し伸べる。

私と大佐は春香の手を握り、目をつぶる。

目の疲労や日頃の疲れが、握った手に全て流れ込んでいく。

目を開けると春香は眠りについた。

「本当に大丈夫なのか?」

「ああ、春香の異能は疲労や眠気を相手に移したり吸収したりする能力だあれを使ったあとは、ゆっくり眠らせて私が食事管理するから大丈夫だよ、さて私はサリバンのとこ行こうかな」

「おう、いってら、俺は資料室でひまつぶしてるわ」

大佐と私は部屋を出て、白い手袋をつける。

「その手袋新しいの発注しとこうか?」

「いいや、後でサリバンからもらう」

私は指先を部屋の鍵に変形させ、鍵を締めた。

「こいつ便利なんだよな、鉄が使われてるんだってさ」

「それ多分、全く別の用途で作られたもんだぞ?」

手袋をもとに戻し、医務室から外に出る。

「じゃ、大佐また今度〜」

私は階段を上がり、屋上へ飛び出す。

「さーて、サリバンのところに行きますか」

サリバンとの連絡手段は特殊だ、一様電話は持っているのだが、80時間勤務してるもんだから、対応中なことが多くほとんど役に立たない。

私はスマホを取り出し、カフェの公式サイトを開く。

ログイン画面に移動し、1121の番号を押しエラー画面を表示させる。

そうすると、右端に8btの当たり判定が生まれる。

そこをタップするとサリバンの緊急連絡先につながるのだ。

めんどくさい方法だがこれが一番早い。

電話画面に繋がり、コールを飛ばす。

「はいはいー」

「私だよサリバン、アジト戻りたいから奴らよこして」

「ほーい」

電話が切れる。

足元に黒い奴らが現れ、私を引きずり込んでいった。


「うぅーうぃー」

「ありがと、奴ら」

奴らは、言葉を喋らない喋るのはうめき声に近い奇声だけだ。

「おっ来たね」

「ここに来るのも久々だな」

「まあ君は軍の仕事があるから仕方ないんだけどね」

私はカウンターに座る。

サリバンがコーヒーを淹れてカウンターに置く。

「堕天使の仕事はどうだ?」

「神の使いやってた時よりは楽かな、まあでも、その代わり僕が死を届ける相手がどんどん世の中にとって大きな得になる人になってるから一つ一つの仕事が大変になってるんだけどね」

もう人を殺すことに抵抗はないようだ。

サリバンには死という概念がない、天使として生まれたのだからそもそも死ぬ必要がないのだ。

「君がここを出てからもう7年か早いな、せっかくここに来たんだからそこの記憶のピアノで思い出してみたらどうだい?」

「久々に弾いてみるか…」

私は七年間弾かれてこなかったピアノに向かい合う。

手入れはされているようだ。

「その子血縁者じゃないと弾かれたくないらしいんだ」

「そうね…主人が帰ってきたよ」

ゆっくりと、目を閉じピアノと私が1つになる。

頭に昔の記憶が蘇ってきた。


「澪、今日お母さん出かけるけどちゃんとピアノとか勉強とかやるのよ」

「ああ…いってらっしゃい」

このときからだった、ピアノが化け物に見えてきたのは…

そして、怖くなって全てを置いて家から出た。

「…みんな何であんなに平気なの?化け物が近くにいるのに、もうこんな世界嫌だ…」

十字路の角に座り込む。

どれだけ時間がたっただろう?

無限にも感じた、あの人が来るまで。

「どんな顔してるんだよ…大丈夫かいお嬢さん?

 そんな、この世の終わりみたいな顔すんなよ」

このときの佐倉さんはいつもみたいに穏やかな顔ではなかった。

ボロボロの人形を見るような目だった。

でも、佐倉さんは私をそのままにはしなかった。

「お嬢さん名前は?…そうか、言いたくないなら言わなくていい、その感じ…大体わかった、俺もそんな時があったよ、何も信じられず何も考えたくない時が、でもな自分を信じることだけは忘れちゃいけない」

自分を信じること、佐倉さんが一番大切にしていたものだ。

そして、この瞬間から私達が一番大切にするものになった。

「私…澪、天川 澪」

「天川…そうかありがとう、澪うちに来ないか?

 うちはカフェをやっててな、落ち着けるとは思う」

私は、頷いて佐倉さんの後ろについた。

「ほら、ここだよ」

路地裏に入口があるタイプの喫茶店、今私がいるところだ。

入ると、意外と広く30人近く入れそうなスペースがある。

「ほら座りな」

カウンターの奥にはもう佐倉さんがいた。

カウンターに座ると、コーヒーとシュガードーナッツが置かれていた。

「コーヒーは好きか?」

「うん、よく飲む」

このときの豆は確か。

私は一口コーヒーを飲む。

記憶だから味や香りはしないが確かに覚えてる。

苦みが奥深く、酸味のあまりない柔らかな風味のコーヒー。

そう、この豆は

「キリマンジャロ」

キリマンジャロ

「え?」

「これ、キリマンジャロでしょ?」

「ああ、そうだがよくわかったな、澪お前何歳だ?」

「16歳だけど?」

「高校は?」

「行ってない、義務じゃないしそれに私はもう東大生より偏差値が高い」

このとき佐倉さんは驚かなかった、ただ優しく笑っていた。

「結構服も汚れてるな、風呂沸かしておくから部屋に案内しよう、金や飯のことは気にしなくていい、おそらく警察などの調査も来るとは思うが、安心しろ俺がお前を守ってやる」

今でも何で佐倉さんが赤の他人である私にここまでしてくれるのかはわからなかった。

地下に降りると、診療所のようなところが広がっていた。

「この前まで、診療内科だったんだが家賃やらが払えなくて夜逃げしちまった女がいんのさ、まっ探す気もさらさらないし逆に部屋やら実験器具やらも

置いていったからラッキーだったんだけどな」

「その器具使っていいの?」

「ああ、いいよ俺は器具の使い方も価値もわからん

 まあ、危険な事や火のもとに気をつけろ、あと掃除はやっておけ」

そう言って佐倉さんは鍵だけ置いて喫茶戻っていった。

「掃除しますか」

診療所跡を見るだけで、掃除は何もなかったはずだ

「よし終わった」

ここからの記憶はよく思い出せない。

きっと疲れて寝ていたのだろう。

その時、いきなり現実に戻された。

「おや?どうしたんだい?」

「いや、いきなりピアノの記憶から現実に引き戻された」

「おかしいね?君以外弾けないはずなのにピアノが君を拒むなんて…」

サリバンはピアノに近づき、鍵盤を見つめる。

その瞬間蓋が落ち、サリバンの首が丸ごと挟まれる。

「ちょっと澪さん助けて…」

ドクターZEROの続きです。

とても友人に脅され、書いています。

ワイデルがせっかく旅をしているというのに…

この小説もバトル系になるんでしょうか?

友人によるとサリバンのワイン配達設定が好きだそうです。


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