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愛のSIXTEEN

澪?言っただろ?少しの工夫で変わるって…」

「佐倉さん?待てよ!どこにいくんだよ!」

「みんなが待ってるよ、澪、行ってきなさい」

……………………………………


「澪先輩!起きてください!」

「春香さん!澪さんのバイタルは正常値、そのまま呼びかけ続けてください!」

「…?希愛?」

目を開けたとき、眩しくてよくわからなかったが。

ただ、鳴き声が聞こえた。

「澪先輩起きたんですね!急に倒れたから…」

「私そんなに急に倒れたのか?全く痛くないんだが」

「私が治しました!」

ああ、また使わせてしまったのか…あの破滅の力を。

『澪さん、しばらく休んだら。春香さんに話したらどうだい?』

「……!」

こいつ!頭の中に直接!

『堕天しても、天使は天使…力が弱った今でもこの距離ならテレパシーは使えるんだよ』

「希愛、私を部屋に連れていってくれないか?」

「はい!」

『サリバン、そろそろ腹を決めて話すよ』

サリバンは、頷いて部屋から出ていった。

希愛は私をお姫様抱っこして、部屋に近づいていく。

私は、手袋を鍵の形に変え鍵穴に差し込む。

扉を開けると、私の猫たちが希愛の足元でこちらを見る。

「こらこら、澪先輩なら私がいる限り大丈夫だから」

希愛は私を机に座らせた。

私は、あの本を手にとって深呼吸をする。

「希愛、お前に伝えなければいけないことがある」

「なんですか?急に改まって?」

希愛は、横髪をいじり始める。

私は、異能の説明の欄を開き内容を読み上げる。

「ある一定のものが激しい刺激を受け目覚める能力…」

「え?」

「この本は、佐倉さんが遺した異能の本だ。おそらく世界中にある異能が全て載っている」

「じゃあ、澪先輩や私のも?」

「ああ、当然だ。そしてこれが、希愛お前の異能の説明だ」

私は、希愛のページを開く。

希愛は私の後ろに周り、抱きつくように本を覗き込んだ。

「これは?」

「お前の力の説明だ…簡単に言おう、お前力は確かに人やものを癒す力だ。だが同時に破滅の力でもある」

横にいる希愛の息遣いが一瞬荒くなる。

「でも、自分の体力を使わなければ」

「違う、破滅を導くのは異能の使い方じゃない。異能の進化だ」

「進化…」

「異能は、目覚めた時に起こったことが再び起こると進化する。その条件が簡単過ぎるが故、破滅を起こす」

そう、今のような状態じゃなければ。

私は希愛を払いのけ、椅子から立ち、希愛と向かい合う。

「なあ?」

「え?なんですか?」

「お前の進化が止まらない理由、私…わかった気がするよ」

私は後退りする希愛に擦り寄り壁まで追い込んだ。

顔が熱いしかし、これしかおそらく今の希愛の進化を止められる方法はない。

「澪…先輩?」

私は希愛の首元に腕を回し、抱きつく。

「!!」

少し驚いたのか、しばらく希愛は私の腕の中で蠢いていたが状況を理解したのか、希愛も私の腹に腕を回す。

「……」

「……」

しばらく無言の時がすぎる、その時間は無限に感じた。

だが確かに、幸せだった。

「希愛?…これからは先輩じゃなくて…こういう関係でもいいか?互いに支えていこうだから…」

「この時代だったら認めてくれるはずですよ…私たち、支えていきましょう…澪さん、もう異能には頼りません」

「ニャーン?」

「ニャ!」

私たちを見ていたのか、なぜかハクとナイトも近づいてハグをし始めた。

「ダブルデートみたいですね?」

「異種族とか?まあ、今日は休もう。疲れただろ?」

「まだちょっと、このままでいたいです」

希愛は、私に抱きついたまま離さなかった。

これで、希愛の進化が止まればいいのだが…

そして、部屋には2人と二匹の幸せな時間が流れていった。


「私たちが紡ぐ物語、ハッピーエンドはほど遠く。何が正解だったかなんてわからない。それでも、諦めずにやってきた。」

詩は永遠に続いている。

私が死ぬその時まで完結することはない。

自作の詩集をめくりながら、夜の街を窓から見渡す。

「今日もぴったりな天気ね、あなたを今日こそ私のモノにして見せるんだから」

輝く私の詩集には、たくさんの星空の下に宝物の絵が描かれてあった。


買ったばかりの、ローファーの靴音が夜中の少し寒い校舎内に反響する。

「はぁ……また迷っちゃった。ここ案内もないし不親切よね…」

しばらく長い廊下を1人孤独に歩いていると、一つの教室に明かりが灯っているのが見えた。

そうだ、中に誰かいるなら出口を教えてもらおう。

そう思い、ドアを3回叩き返事を待つ。

しかし、いつまで経っても返事は返ってこなかった。

「あのー!どちら様かいらっしゃいますか!」

ドアの前で叫んでも、ガラスの奥の灯りが揺れるだけで何も返ってこなかった。

「はぁ、仕方ない他を当たろう」

私は諦めて、再び暗い廊下を歩こうとする。

しかし、なぜか体が動かなかった。

不思議で仕方なかった、そして私は無意識のうちにドアの前に戻り、再びドアを3回ノックする。

「…なんで、なんで私はここに戻ってきたんだろう?おかしくなっちゃったのかな私」

ここには、一度きた覚えがある。

なぜだろう、今日が初めての登校だというのに。

手が震える……息が苦しい、立てない…

私の意識は、ドアの先の光に吸い込まれていくように消えていった。

…………………

「まだ起きない…低血糖で間違い無いんだが………」

誰かが喋っている、女性の声?よかった、私はまだ生きているんだ。

胸の辺りが、少しほんわかした。

今までの疲れや不安が全て地面に流れ落ちていくような感覚がする。

ずっとこのままでいたかった。

しかし私は目覚めた、きっとあの灯りの先で。

「あっ起きたな?ちょっと待ってろ、動くなよ今ブドウ糖静注してるから」

ぼやけた視界の中で、人影が優しくそう囁いた。

「私の部屋の前で倒れてるから、どうしたかと思ったがやっぱり低血糖だったか、気をつけろよ?」

だんだん、視界が元に戻っていく、私の目の前には、綺麗に輝く笑顔の女医さんが映し出されていた。


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