救いのFOURTEEN
「希愛、戻ったぞ……ってなんだその体勢」
「澪先輩…もうどこが痛いんだか分かりません…いろいろ痛すぎて…」
希愛の横に回転椅子が倒れている。
きっとこの椅子から転げ落ちたのだろう。
「希愛、これ」
私は、痛み止めを春香に手渡した。
「澪先輩、私の異能使ったら何とかなりますって…そこの観葉植物取ってください」
「いいから飲め」
「はい!」
春香は水も含まずに薬を飲み干した。
「とりあえず、患者さん来ないだろうからベットで寝ておけ」
私は、春香を持ち上げてベットの上に転がせた。
「はぁ、やっぱり私ってトラブルメーカーなのかな?」
私は、回転椅子を元に戻し座り込もうとした瞬間内線が部屋に鳴り響いた。
春香はベットから起きあがろうとしたため、私は急いで内線をとった。
「はい、こちら…」
「澪!澪はいるか!」
「澪は私だ。今休み取ってるんだけど?」
この口調、どうやら急ぎらしい。そして私を呼び捨てにする人なんて1人しかいないだろう。
「基地内に侵入者が入った!」
「侵入者?ここどこだと思ってんだ?陸軍と空軍の混合基地だぞ?」
「そんなことはわかってる!奴は異能力者だ!」
異能力者か…一体何のために?
「わかった、捜索に出る」
私は通話を切って、春香の方を見る。
「鍵かけて行くから、お前はここにいろ」
「でも…」
「いいから!もう誰も失いたくないんだ!」
私は、春香を部屋に置いて鍵を閉めた。
「ああ!たく、何でこんな時に!」
それにしても、一体何のために異能力者はここへ?今回はサリバンも来ていない…完全なるイレギュラー。
「そもそも、何で大佐が侵入者情報を知っているんだ?……基地にもサイレンなってねぇ!大佐じゃないな!!」
私は、大佐の部屋に向かって走り出す。
「大佐ぁ!!!」
私は、大佐の部屋の扉を蹴り飛ばす。
「はぁ…はぁ、あんた誰だ!」
窓には見慣れない人影があった。
月光に照らされて黒いフードが青く光っている。
「……」
「ほう?無視かよ」
人影はこちらにゆっくりと振り返る。
反射的に一発メスを投げつける。しかし、パーカーが切れただけでダメージは与えられなかった。
「いいこと教えてやるよ、私はな黙ってるやつが一番ムカつくんだよ!」
指を曲げて、さっき投げたメスをクナイ型に変形させて人影の腹に突き刺す。
「私も異能力者なんだよ、お前はどうだか知らないけどな」
「…僕だよ、澪さん」
人影は、腹を抑えながらフードをおろす。
そこには何とも懐かしく、そしてここに存在してはいけない者がいた。
「…黙るのは辞めたか、だけどな。お前は楽羽じゃない」
私は刺さったクナイで体を引き裂く。
「またコピー能力か?それにしても故人に変装してどうする。私が思い止まるとでも?」
私はすっかりと動かなくなった、人影に近づいて頭を鷲掴みにする。
「死人を再び殺すのは楽しかったか?」
後ろを振り返るとまた、さっきと同じような人影が壁に寄りかかっていた。
「今度は本物か、誰だお前?」
「俺か?俺は時間軸を操る異能の持ち主さ、さっきのリング君はこの時間軸のまだ死ぬ前のリング君をここに呼んだんだよ。君は何も知らずにまたリング君を殺したみたいだね?」
「………何のためにそんなことをした?」
胸の中で煮えたぎる闘志を抑え込んで、私は男から話を聞き出す。
「君にちょっとしたサプライズだ。さて、君にはもう死んでもらおう。君がいると未来で世界が大変なことになってしまうのでね。もちろんその後に春香君にも同じ道を歩んでもらうことになる」
私は、息を吐いて目の前の男を睨む。
「そんなに…そんなに人の命を弄んで何が楽しいんだよ!」
「何を言う!君たちのような人間は人を大量に殺すための兵器じゃないか!それに比べて俺は小人数の犠牲で世界を救える道を選んでやってんだ!それの何がいけない!」
私は隠しナイフを投げつけて、その場から逃げ出す。
相手が興奮状態になってきた。
今すぐここで殺したいがこいつには勝てない。
サリバンを呼ばないと…
その瞬間私が走っていた廊下の景色が大佐の部屋に変わった。
「俺から逃げれるとでも?君が逃げたら俺は何度でもこの部屋に戻してやるよ」
「クソ!やるしかないか!」




