繋がるTWELVE
「澪先輩〜?」
「どうかしたか?希愛」
「なんか暇じゃないですかぁ?」
「飯食ってるのに暇ってなんだよ」
私のもらった休暇の最終日だ。
私がトラブルメーカーなのかよくわからないが、私がいなくなった瞬間あんまり負傷者がいなくなったのだ。
「にしても、奇妙だな?私がいなくなった瞬間にこんなに暇になるなんて」
「まあ、それがいいんじゃないですか?」
「確かにそうだが…私の印象が悪くなるだろ…」
皿やトレーを全て片して、希愛と一緒に医務室に向かう。
そうすると、部屋の前に既視感を覚える人影を発見した。
「?あいつは」
「はーい、どうかしましたか?」
男は希愛に話しかけられ、こちらに気づいた瞬間頭を下げて謝罪のポーズを取り始めた。
「え?あのーどういうご要件で?」
「ごめんなさい!僕が彼女を!」
彼女?いったい誰のことだ、こいつは一体何をやったんだ?
「もう、そんなに謝らなくていいよ」
気の弱い男の背後からまた見たことのある女性が現れた。
「おう、久しぶりだな紗良」
「え?お二人とも知り合いですか?」
「だから何度もそう言ってるでしょ宇佐美くん」
宇佐美?まさか宇佐美なのか?
私はこの男の顔を凝視する。
異常なほど気が弱そうな目に眼鏡、手には謎の資料が数枚…私はこの男を凝視する、やはり何から何まで似ていた。
「え?なんですか?…ごめんなさい!」
「リング……」
「え?」
「いや、何でもない私は天川澪だよろしくな、こんなところで立ち話もあれだろ入りな」
私は半ば強引に医務室に全員を連れ込み座らせた。
「えーと、紗良は腕の傷か?」
「ああ、はいナイフの訓練をしていたら結構深く切っちゃったみたいで」
それで、よく普通に話せるな…
「わかった、春香消毒して縫合してやってくれ一部だがかなり深い…血管を切ってないのが奇跡だな」
「わかりました」
希愛は恐ろしいほど素早い手つきで全ての工程を終わらせた。
「さすがだな」
「まっこのくらい当然です」
紗良の隣の男はあまりに早い手つきに見惚れて固まっていた。
「ありがとうございました、ほら宇佐美くんいくよ」
「あっ!はい!」
二人は急ぎ足で医務室から出ていった。
「あの人リングさんに似てましたね」
「リングの双子の弟だ…紗良がまたパートナーに選んだのがあいつなんだろう」
ここでは、二人一組のペアで行動することが基本とされている。
「なるほど、私と澪先輩みたいな感じですね」
「感じじゃなくてそうだな」
私と希愛はペアを組む必要はないが何故か強制的に組まされていた…これも希愛の仕業なのか?
「さて、とりあえず客も去ったところだし何する?」
「確かに暇ですけど今私一応勤務中なんで…」
希愛は回転式の椅子でぐるぐる回りながら暇そうにしていた。
「私葉巻吸ってくる」
「あっ私も…」
「勤務中だろ?それに希愛…君葉巻吸わないよね?」
そうツッコミを入れると希愛はまた回転椅子で回り始めた。
これ、そのうち事故るな…
私は、医務室を出て屋上へ向かう階段を登る。
そうすると入り口に見覚えのある人影が、カラスの逆光に照らされていた。
「……リング?」
「あっ!いや!僕…リングじゃないです!えーと、宇佐美美 巳月です!」
「巳月?お前女だったのか?」
「ああ、はい…兄さんから聞かなかったんですか?」
「あいつから何かを話すことはあまりなかったからな、下がいることだけは知っていたさ…とりあえずこんなところで話すのもあれだな、屋上出るぞ」
「え?でもここ鍵かかってて…」
「ああそうだったな」
私は手袋を鍵の形に変形させて、鍵穴に差し込む。
「え?えぇぇ!?」
「ああ、自己紹介してなかったな、私は刃物を操る異能者…天才女医の天川 澪だよ」
巳月は驚きすぎて過呼吸になっていたが、私はそれも気にせずに屋上の扉を開いた。




