罪のELEVEN
「澪せんぱーい?…やっぱりいない?流石に寝過ぎじゃないですか?」
今日の業務を全て終え私はまた朝のように澪先輩の様子を見に来たのだ。
「鍵持ってないし…流石に一度も会わず泊まるわけにも…」
そう言って扉から離れようとした瞬間扉が開き私を中に連れ込んだ。
「え?」
そんな声しか喉からは漏れてこなかった。
「よう、おつかれさん春香」
ソファに私を撓らせた澪先輩は向かいの席に座りゆっくりとあくびをした。
「私どれくらい寝てたんだ?」
「ざっと1日ですかね、朝伺いましたけどまだ寝てました」
寝起きにしては髪が整いすぎてる?
「どうした春香?」
「いえ、何でもそれより澪先輩窓こんなに開けてて寒くないんですか?」
「あーいや、起きたばっかりだから丁度いい」
「そんなもんですかね」
私は澪先輩の手元に置かれている青い本が目に入った。
「なんですかその本?」
「ああ、これか…サリバンが置き配していった謎の本だ」
また、サリバン……
「そう言えば春香、お前が異能に目覚めた時の話聞かせてくれないか?」
私がこの力を使えるようになったのは…
「澪先輩だから恥ずかしいんです」
「…そうか」
きっかけは目の前にいる澪先輩なのだから、私は何が何でも澪先輩に近づくためにいろんな手段を使った。
それでも私は無力だった。
こんなんじゃ澪先輩は私のことなど気にもとめないだろう、そんな敗北感が胸に募った時私は窓から澪先輩の姿が見えたのだ。
そのとき彼女を私の愛で幸せにしたいと心から思った。
「……私はかっこいい澪先輩が好きです、これからも」
「!そっそうか、なんだ?いきなり」
私が異能を使う理由…それは大切な人を守るためそして澪先輩を愛すためた。
「お休みなさい、澪先輩って言っても1日寝たならもう寝れませんね」
私はそう、言い残し部屋から出る。
医務室の冷たい空気が肺を一気に冷やしてくれた。
「春香また話してくれなかったな…これじゃあ根本的な解決にならない、私が全ての異能を使えるとしても春香を助けれるかどうかわからない」
だとすればなおさら春香の異能をこれ以上進化させるわけには…
その時サリバンからスマホに連絡があった。
澪さん、春香さんから話は聞けたかい?
「聞けてるわけないだろ…」
私は佐倉さんの本を開く。
春香のページには大地を舞うハート型の羽を持った蝶々と白衣を羽織った傷だらけの少女の絵があり、隣のページには春香の異能の解説が載っていた。
「大地の生命力は無限大であり蝶は少女を癒すものである…所有者はエネルギーを必要としいつもお腹をすかせている」
きっと私が空腹にならないのは本の力を使っているだけだからだろう。
そんな事を考えていると小見出しに覚醒と書かれているところに目が止まった。
「何だこの欄は?覚醒…天川澪に過度な恋愛感情を抱きその感情を制御できなくなり覚醒した。例えるなら‹色欲›である…なるほどなら引き離しても意味はないな、明るく振る舞おう」
それが、春香の進化を止める唯一の方法だ。
「春香さーん、春香 希愛さーん医務室から連絡が来てますよ」
「はーい、なんだろう澪先輩の同僚かな?」
私は受話器を受け取り、耳にあてる。
「よう春香いま暇か?私の部屋で朝飯食わないか?」
「え?はい!今行きます!」
私は今まで出したことのないスピードで医務室に向かい
扉を開けた。
「……まだ、電話切ってないんだけど?」
「あ!受話器持ってきちゃった返してきますね」
「全く希愛ったら…」
え?いま澪先輩私のこと…
これを続けたらおそらく進化は止まってくれる。
春香…いや希愛が力を多用することも少なくなり、あの未来を避けれる。
もし避けれないのなら、佐倉さん私は…
肺いっぱいに12月の冷たい空気を吸い込み深呼吸をする。
空は曇りひとつない綺麗な青空だった。
久々の投稿です!
楽しんでください!




