プロローグ
「パスポート出しな」
少しがたいのいい男の職員にそういわれ、私はカバンから自分のパスポートを職員の人に渡す。
「ルナ・スコープです、この町の司祭様に会いに来ました」
「滞在期間は」
「7日間の予定です」
目の前の職員がこの先を指さしながら言う
「さっき預かった鞄はこの先で受け取れるから」
私は、その職員にお辞儀をして先を急ぎ空港を出た。
今日、この町の司祭様に手紙を渡すように自分の村の神父様に言われ初めて村から出た。
恐らく手紙の内容は私の親でもあったシスターが亡くなったものだと思う。
昔私の母はこの町の教会にいたらしい、その時何かがあったみたいでここから離れた村の教会で暮らすことになった。
恐らく、そのあともつながりはあったのだろう。
「手紙の内容を気にしている場合じゃないんでした」
そう言って私は手に持っていたカバンからこのあたりの地図を取り出す。
私にいた村と比べるとこの辺りは賑わっていた、見回すとどこにでもいろんな店があり、どれも初めて見るものばかりであれやこれやと見ているうちに迷いそうになる。
なので、先に目的地を決めることにした。
「先にホテルのチェックインを済ませておかないとですよね」
見慣れない土地、知らない道というのは楽しさもあるけど18歳にもなると不安が勝ってしまう。
そんなことを思いながら、地図を見て進んでいると地図にない小道を発見してしまった。
こんな町中に小道というのは変だけど、整備のされていないその場所を通路とは言えなかった。
だけどその道の先には何かがあるような気がして、恐る恐るその小道に入った。
新発見だろうか、私が第一発見者になって新聞にでも載るのだろうかとそんなことを考えながら、地図の端っこに目を移す、『最新8046年版』と書かれていた。
「あれ、これ2年前のものですね」
2年前のものなら多少道が変わっていてもおかしくはない。
それにしても、ここに来る前に一番新しい地図をかったと思っていたけど、間違えて古いものを買ってしまったのだろうか、それとも最近はもう全て電子端末で見れる地図しか更新されていないのだろうか。
「ン”ン”ッ、やぁお嬢さんそんなところで何をしているんだい」
そんなまるでナンパのように話かけられたのが私と彼女の出会いだった。