第九話「情熱的に愛し合ったらば、次は身を清めるが作法なれば……」
パルティータ・ピローペインとは一体どのような人物なのか?
そして二人は遂に脱衣所へ!
日々本作『つい☆ブイ!』を閲読して下さいます読者の皆様方、
毎度大変お世話になっております。
「――ってワケでまあ、
今のあたしは政府公認の地上げ屋をやってるってワケ」
「……政府公認であれば態々地上げ屋などと言い表さなくてもよい気がしますが」
自分めの名は、七都巳大竜。
「実際それはそうなんだよ。あたし自身そう思ったんだけどね、
他ならぬクライアントの女王陛下が
『あのクソどもの掃き溜めを地上げして来い。お前は政府公認の地上げ屋だ』
なんて仰有るもんだからさー」
「それはまた……
『良くも悪くも王族らしからぬ王』の名に偽り無し、と言った所でしょうか」
フリーランスの美しき便利屋にして腕の立つ魔術師でもあらせられるパルティータ・ピローペイン殿と、甘美かつ情熱的、かつ激しくも愛に溢れし至福のひと時を過ごした後……
件の施設内にある大浴場を貸し切り混浴と洒落込ませて頂いております、本作の主人公に御座います。
(◎甘◎)<はい読者様、何で御座いましょう?
……『君たちの過ごした
"甘美で情熱的かつ激しくも愛に溢れた至福のひと時"を
具体的に描いた場面がないのは何故だ?』
『あの終わり方だったらこの話はその
"至福のひと時"について重点的に描く回でないとおかしい』と?
(=甘=)<……
(=甘=)<読者様。確かにそのご意見はこの七都巳大竜も理解しております。
ましてなろう様にはノクターンノベルスという、
ハーメルン様よりは複雑な手順を踏まねばならぬものの、
成人向けコンテンツの展開に特化した仕様が備わっておりますし……
あの作者めがその気になったならば、
本作の"アダルト版"もご用意できなくはないでしょう……
(=甘=)<そして実際、当方の作者に確認を取りますれば、
奴めもそういった回の執筆そのものには意欲的なようで、
『可能な限り読者の皆様方の期待にもお応えしたい』
との意向を示してはいたので御座いますが……
(=甘=)<とはいえあの男、他にも連載を抱えておりましてな……
加えて奴めは
『ノクターンで連載するならアダルト描写に特化していなければならないが、
では実際問題、本作をノクターンの読者様のお眼鏡に叶う程に迄
アダルト描写特化の作品にできるのかと考えたが、
総合的に不可能と判断せざるを得ない』
などと吐かす始末……
(=甘=)<よほど要望の声が強くもない限り、
ほぼ実現しないものと思われます故、
何卒ご了承頂く他無いのが現状に御座いまして……
(T甘T)<"そういった展開"に期待を寄せて下さる読者の皆様方には、謹んでお詫び申し上げます……
大変に、申し訳御座いませぬ……
さて、気を取り直して参りましょう。
手始めには幾らか時を遡りまして、
改めて読者の皆様方にもご理解頂けるよう、諸々の仔細
――かの建造物の実態や、あの婢どもの正体から、
パル殿ご自身と彼女に課せられた"地上げ"の使命、
更には未だ読者の皆様方が御存知ない"自分自身の今に至る迄"――
等の事柄についてを、回想形式にてご覧頂ければ幸いに御座います。
「ぃやはー……♥
ダイちゃんさぁ~、予想外にとんでもなかったねぇ♥
見た感じからしてパワーとかスタミナ、あと容量もスゴいんだろーなってのは予想してたけど、まさか技術まで完璧なんてさぁ~♥
いやあ、お姉さん驚いちゃったよ♥」
「お褒めに預かり恐悦至極に御座います。
自分としましては、それほどでもなかろうとの認識でしたが……」
あれより暫し後……
パル殿との"至福のひと時"を過ごし終えた自分めは、
彼女に案内されるまま身を清めるべく浴室を目指し進んでおりました。
「なにさ、卑屈になっちゃってぇ。少なくともあたしは大満足だったよぉ~♥
今まで経験したことないくらい……
もしかして、お互いカラダとココロの相性が抜群に良かったりして♥」
「もしそうであれば、天にも昇る心地な程にも光栄に御座いますなァ。
パル殿のような大変にお美しく、あらゆる点に於いて素晴らしいご婦人と相性が好いなどと……
雄たる者にしてみれば他に類を見ぬほど至高にして極上の栄誉に御座いましょう」
「ぬぇっへへへぇ~♪
嬉しいこと言ってくれちゃってもぉ~♥
その言葉、そっくりそのまま返しちゃうゾ♥
ダイちゃんみたいな最高にカッコよくてセクシーな男前と相性抜群とか、
雌にしてみれば金メダル通り越してレアアース鉱床丸ごと贈呈みたいなもんじゃんねぇ~♥」
傲慢かもしれませぬが、
我々二人は出会って間もないにも拘らず、
あたかも十余年来相思相愛の恋人同士が如く
急速かつ濃密な関係へ至ったので御座います。
さてそんな我々が施設内を談笑しつつ進むこと十数分、
辿り着きましたるは嘗てあの婢どもが利用していたであろう大浴場……
その内部は広大にして清潔そのもの、
徹底した機械化と一部への魔術機構実装による多機能ぶりには目を見張るものがあり、
建造に膨大なコストが掛かった事実は最早疑う余地も御座いません。
「さ、入ろう入ろうっ」
「ええ、入りま――~~っと、パル殿。一旦お待ちを」
「ん? どったのダイちゃん?」
「いえその……この浴場、男女の区別は……」
「え? ないよ? ここ実質女しか居なかったもん」
「とすると即ち、我々は……」
「混浴ってコトに、なるねぇ~♥」
なんたることか……
薄々予想はしていたものの、よもや現実になろうとは……
「何何? もしかして恥ずかしいとかじゃないよねぇ~?
何せあたしら、お互い裸体よりよっぽどとんでもないもん見せ合ってるワケだし、
今更躊躇う余地とかなくない?」
「いえ、自分も今更そのような世迷言を吐かす積りは無かったのですがね……
ただパル殿のようなお方と混浴……所謂“裸の御付き合い”ができる自分は、何と幸せ者であろうかとっ」
「ぬへへっ♥ そりゃこっちの台詞だって♥
ま、あたしら既に裸の付き合いどころか"裸の突き愛"までしちゃってる超絶親密な仲ではあるけどさぁ~♥」
「ほうほう……文字でしか伝わらぬとは言え、お上手に御座いますなァ~」
他愛も無い雑談に花を咲かせつつ施設の備品を拝借した我々は、浴場へ足を踏み入れます。
次回、いよいよ混浴!