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第八十八話「因みに描写されていないだけで実際は六人全員かなり"羽目を外して"いたのはここだけの話である」

ルシャンテ共和国首都レッドカーネルに建つ高級ホテル"緑眼の金髪美人グリーンアイド・ブロンドビューティ"に存在する衝撃的な浴場の存在が明らかに!

 読者の皆様方、毎度大変お世話になっております。

 前回に引き続き、冒険者の財王龍ツァイ・ワンロンこと七都巳大竜が、ルシャンテ共和国に建つ高級ホテル"グリーンアイド・ブロンドビューティ"よりお送り致します。


「さぁ~て……思いっ切り羽根伸ばしつつ、羽目を外してハメまくっちゃおうかねぇ~♥」

「ルールブック見比べてみたけどホントにここだけルールゆるゆるなのねっ☆ これは色々と楽しめそうだわぁ~♪」

「うわぁ、すっごい……こんなに広くて色んなお風呂があるなんて……!」

「パル殿、確かにここは"羽目を外してハメがちなカップルの入浴を想定した浴場"に御座いますが、さりとて全く何の規則も存在しないワケでは御座いませんのであまり出過ぎた行動はしない方が……」

「な、撫子さん……? あの、僕が言えたことじゃないかもしれませんけど、そうは言っても公共の場なのは忘れないで下さいね……?」

「いやぁ~、部屋が豪華なら風呂も豪華なんだなぁ! しっかしまさかあのクソどもにパシられてた俺がこんな高そうな風呂に入れる日が来るなんてよぉ~! なんかミョーに感動しちまうぜっ!」


 場面はホテル内に四種ある大浴場の一つ"特殊婚浴場"。

 カップルや夫婦の入浴に特化した設計がなされた混浴場であり、他の浴場に引けを取らない設備の充実ぶりも相俟ってかなりの人気を誇るのだそうです。


 手始めに我々は、身体を洗う為のシャワースペースへ立ち入ります。

 成人複数人でも広々使える程のスペースが確保された完全個室たるそこに、愛し合う二人が入ろうものなら必然、何も起こらぬハズはなく……


「ぁんっ♥ ひゃぁっ♥ ちょっ、ダイちゃんっ♥

 なっ♥ なんかっ♥ 手付きが、ヤらしくっ♥」

「何を仰有います……自分はただ、愛する女性の玉体を真心込めて丁寧に洗わせて頂いているだけに御座いますればァ……」

「いやいやっ♥ あたしの腰辺りにっ♥ なんかガチガチのご立派でエロいのが当たってるしっ♥

 その言い訳は苦しくないかなぁっ♥」

「それは大変申し訳御座いません。昂る愛と滾る欲が、どうにも抑え切れませんものでェ……」

「いやぁ〜♥ 別に謝んないでもイイんだけどさぁ♥ ただ、半端に真面目ぶってるぐらいなら♥

 いっそ派手にはっちゃけちゃった方が♥ お互い楽しいと思うんだよねぇ♥」

「それは勿論、そうで御座いましょうが……歯止めが利かんようになっても知りませんぞ……♥」


「ぅっ、ぁぅぅ……♥」

「あぁ~らセイくんてばぁ♪ ココもこんなにしちゃって……♥

 ほーんと、年齢重ねて出世してもこういうトコはあの頃のまんまよねっ☆」

「いや、それはっっ……そう、ですケド……撫子さんも、あの頃から変わらず……いえ、あの頃よりずっとお綺麗でっ……

 だから僕も、夢中になっちゃうワケであって……」

「あぁん♥ セイくんたらもぉ、嬉しいこと言ってくれるじゃないのっ☆ そんな風に言われたらぁ♪ もっとも~っとサービスしちゃいたくなっちゃうわぁ~♥」

「……ふ、はぁ……♥ 望む、所ですっ……今回こそは、負けないっ……♥」


「……♥」

「――なっ、どーしたんだよフミちゃんっ? 何時もは照れてばっかなのに、今回ヤケに積極的じゃ~んっ♥」

「ん……その……これまでは、受け身っていうか、ハヤトちゃんに任せてばっかりだったけどっ……

 それじゃダメだなって、私の方からもしっかり『愛してる』って伝えなきゃって思って……

 そうしないといつか、取り返しのつかないことになりそうだしっ……

 それに……」

「それに、なんだい?」

「それにっ……そうやってた方がきっと、幸せに、なれるかなって♥」

「……フミちゃぁん♥ ああ、そうだなぁ♥ 二人で一緒に、もっと気持ち良く幸せになろうなぁ♥」

「うんっ♥ これから先は長いんだし、悔いのないように生きなきゃだもんねっ♥」

「そうだなぁ♥ 悔いのないように生きなきゃなぁーっへへへへ♥」


 とまあ斯様な具合に、個室内の前座段階で既に我々の気分はフルスロットル……湯に浸からずして情熱的かつ濃厚な一時を過ごしたので御座います。


 無論、それで終わりなワケもなく、入念に身を清め終えほぼ同時に個室を出た我々は、そのまま各々好みの湯船へ向かいます。

 様々な効能の期待できる薬湯や打たせ湯、ジェットバスに露天風呂……広大な浴場内に所狭しと並ぶ様々な湯船は我々の好奇心を存分に刺激し、ある種の非日常的な体験を齎します。


(複数の全く異なる湯船を梯子するとは、最早王侯貴族や権力者が如き豪遊か……しかもこの感覚、あの頃を思い出す……)


 湯に浸かり乍ら自分めが思い出しましたのは、嘗て新真玉グループ施設内の浴場内でパル殿と混浴をさせて頂いた思い出に御座いました。


(思えばあれから相当な月日が流れ今に至るのだな……

 配信の切り忘れが切っ掛けで命を狙われ、ヴァルスメイト神議会様の手助けでエニカヴァーに拾われ命拾いし、

 江夏の元で働き、追放され、新真玉グループの連中を殺し尽くしていた所をパル殿に拾って頂き……)


 ここ数ヶ月――或いは、転移前より考えれば数年以上――の間に、自分を取り巻く環境は大きく様変わりしました。

 己を裏切りし元妻との離別、そして程なく知らされた訃報……

 相次ぐ悲劇に心身を病み休職、その後の入院生活……

 入院中の出来事に端を発す配信者への転身と、大手事務所への所属……

 配信者としての躍進、惨劇と激闘を経ての退所、個人勢に転身以後の暗躍……


 そしてエニカヴァーに転移してからの、波乱万丈かつ危険と隣り合わせではあるものの、紛れもなく確かに充実した日々……


(辛い出来事も、苦しい出来事も、腹立たしい出来事も数多あった。

 だがそれらがあったからこそ、今の自分があるならば……艱難辛苦や敵どもを愛せはしないまでも、それらを僅かに許し、肯定できそうな……

 或いは、その点でだけは感謝してやろうという気がせんでもない……)


 無論、困難や問題が立ちはだかれば乗り越え解決するのに変わりはなく、敵に関しても同じく排除・撃退を試みる姿勢も変えるつもりは御座いません。

 ただ、それでも己の生涯を構成する要素の一つではあるのなら、安易に否定してはならんだろうと、そのように思うので御座います。


(……何としても全ての魂絆証を集めきり、オメガの儀を完遂せねば……)


 露天風呂の浴槽内……星空を見上げ乍ら、自分は改めて決意します。


(我が故郷、母なる地球へ戻る為にも!)

次回……マジでネタが決まってません!

誰か助けて下さい!

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