第六十九話「唯一の心残りは持病で激しい運動NGな隈川代表が参戦できなかったことくらい」
ネタ仕込むのに必死になり過ぎ&昼間殆ど寝てた所為であんま書けなかったな……
まあ、とりあえず全力で書き上げたので宜しくお願いします。
「行くわよパルちゃんっ! てぇーいっ!」
「おっと危なぁ!? ――解除っ!」
「なっ!? 潜られたっ! 外野動いてーっ!」
「ピローペインさんが潜ったぞ! 撃て撃てーっ!」
「どぉわぁぁぁっ! 危なぁーっ!? クッ、これでも喰らいなっ!」
「ぎゃああああ!? 冷たぁぁぁぁ!?」
「あっ、阿古屋代表取締役会長ーっ!」
「チクショウ、会長が外野送りに……!」
「うおおおおお! 会長の仇じゃあああああっ!」
読者のみんな、御機嫌よう。いつも本作『追放Vtuber』を読んでくれてありがとねー。
(まあ、最近は閲覧数下降気味だし相変わらず感想来ないしで、作者も大概ヘコみがちみたいなんだけど)
さて、なんかいきなり意味不明かつ無駄に騒がしい導入で正直混乱してるだろうけど、
今回も前回に引き続きこのあたし、便利屋魔女のパルティータ・ピローペインが主人公兼ナレーターを務めさせて頂くよ。
「どりゃああああっ!」
「むううううっ!?」
「うおおおお! 気張れよ一条っ! 負けんじゃねェぞ八代ォォッ!」
「あんた、応援するならせめてどっちか片方にしないかい?」
「しょーがねぇだろっ! どっちもウチの社員なんだぜェ!?
持病で動けねえ俺に代わって頑張ってくれてんだ、せめて応援ぐらいしてやんなきゃだろうがっ!」
「パパ? 気持ちはわかるけどあんまり声張り上げるのもよくないからね!? 応援するのはいいけどほどほどにしようね!?」
場面は会員制トレーニングジム"Bloom Cat"内部の多目的屋内プール。
北方レディクロウズのプロレス団体『ブリガンディン・プロレスリング』を率いるウェアグリズリーの隈川代表からのある頼みを聞き入れたあたし達は、その対価として彼らにプール内での遊び相手になって貰っていた。
順番に説明していくと、隈川代表の頼みってのは『近くレディクロウズで開催される企業対抗のプロモーションムービーコンテストで優勝しなければならないので、力を貸して欲しい』って内容だった。
詳しい事情は聞いてないけど、色々あってコンテストで優勝しないと団体所属の選手や社員、果てはその親類縁者迄もがとんでもない目に遭うそうで……
団体を守る為には、昔から名作と名高い映像作品を手掛けて来た株式会社マスターキャッツ――撫子さんが友達と共同で経営してる老舗総合広告代理店――の助力が必要不可欠で、
加えてその作品に新進気鋭の敏腕冒険者として名を馳せるうちの財王龍が出てくれればより優勝に近付けると考え、あたし達に接触してきたのだそう。
話を聞いたあたし達は隈川代表の頼み事を聞き入れ、その代わりにプール内での遊びに付き合って貰うことにしたんだ。
幾ら仲良しとは言え女二人じゃ物足りないし、頭数の必要なアクティビティもできないからね。
その点ブリガンディン・プロレスリングの面々は軒並み身体能力が高くて、しかも体格のいい男前やら可愛い女の子やら、水着とプールサイドの似合う楽しそうな子が多かったから丁度良かったんだ。
「ピローペインさん強いねー……」
「本当、この中で一番強いもんな。魔術師だって聞いたから身体能力それほどでもないのかと思ったらメチャクチャ動くし」
「いやまー魔術師で身体能力そこまで高くないのは研究者タイプとか後衛支援タイプとかだから……」
「けどだからこそ、僕らも負けてられませんね。『手を貸して欲しかったら全力で来い』って言われましたし!」
「そりゃねー。こういう時こそウチら『ブリガンディン』の本気を見せ付けてやる時よっ!」
そんなこんなであたし達は、結構深めの25メートルプール丸々一面を貸し切ってアクティビティに興じていた。
その名も『アクアドッジガン』……要するにプールを舞台にした、ボールの代わりに水鉄砲と水風船を使うドッジボール風のサバゲー(?)みたいなものだ。
色々と独自のルールはあるけれど、専用装備で水上を歩けるようにした上で水上を駆け回ったり水中に潜ったりしながら撃ち合うのが最大の特徴なんじゃないかな。
「いやー、優勢っスねぇ便利屋さんっ!」
「このまま行けばアチシらのチーム勝ち確じゃないですかー?」
「それもこれも便利屋の姉さんのお陰ッス!」
「いやいや、油断はできないよ〜? こっちが優勢ってことは、向こうの外野が増えてるってコトでもあるからね。
外野は水上と水中両方から内野に攻撃可能だし、水風船のストックも時間経過で補充されていく。
何よりそもそも内野と距離が近いワケだから、油断してるとあっという間に巻き返されるよ」
「そ、そうか……」
「そう考えると、逆になんだろう、『勝てども鎧を脱ぐべからず』的なー?」
「うおお、プレッシャーが半端ねぇ……!」
「そもそもここまで来れたのだって、決してあたし一人だけの功績じゃないよ。
舞戸くんが周囲警戒してくれたり、彩樫ちゃんとヴィリッドちゃんがサイド固めてくれたり、松坂くんがみんなを守ってくれたり、奄美くんが作戦立ててくれたり……
他のみんなも全力で、それぞれにできることを頑張ってくれて、そうやってこの最高の試合ができたんだと思うしさ」
「便利屋さんっ……!」
試合は四つのチームに分けて行われ、あたし達の属するチームは他の追随を許さない活躍ができていた。
他のチームメンバーはそれをひとえにあたしがいるお陰だと言ったけど、あたし自身はそう思っちゃいなかった。
何せここまであたし一人で戦ってきたワケじゃないんだ。他のどのチームメンバーが欠けてもここまで最高の試合はできなかっただろう。
そこは忘れちゃいけないと思ってた。
「特に衙門ちゃんと山田野くん、君らの存在は案外結構デカかったんだよ?」
「えっ? そうなんですか? 私がぁ~?」
「そんな……僕なんてそこまで役に立ってないような……」
気弱な台詞を吐くのは、スレンダーかつ巨乳なスズメガ型バグフォークの衙門ちゃんと華奢な少年っぽい見た目に反して実年齢二十六歳のハーフフェアリーで事務員の山田野くん。
確かにこの二人、身体能力そのものはそこまで高くもないけど、だからってチームの勝利に貢献してないかというとそんなことはまるでなかったんだ。
「いやいや、二人が居てくれたお陰で今戦ってる撫子さんトコの紅獅子くんと、さっき戦ってた隈川代表の娘さんトコのアロウちゃん、二チームの最高戦力をメタれてるからね~。
特にあの紅獅子くん。何やらせても完璧な万能っぷりでどうしようもなかったのが、衙門ちゃんのおっぱいと色仕掛けでどーにか攻略できたんだから!
アレはマジでデカかったよ~衙門ちゃんのおっぱいが、デカいだけにね! ねぇ奄美くん?」
「そうですね。私も紅獅子先輩の無敵ぶりには頭を抱えましたよ。正直、衙門さん渾身のセクシーダンスが我がチームを救ったと言っても過言ではないでしょう。あれは実に大きかったッ……紅獅子先輩の剛直のようにッ!」
「うぅ……やめて下さいよ二人ともぉ~……あんなの、思い出すだけでも恥ずかしいんですからっ……!
しかも私ったら、レオ君に向かってあんないやらしい台詞をっっ……!」
「いやぁ、あの程度は別に普通の台詞だと思うけどねぇ? とは言え衙門ちゃんが役に立ってるのは間違いないから。
紅獅子くんもあんなことになった以上暫くは身動き取れないだろうし、畳みかけるなら今っきゃない。
とは言え勿論向こうのチームだって紅獅子くん以外も精鋭揃い……油断せずに戦って、悔いのない試合にしよう!」
「「「「「「ハイッ!」」」」」」
といった感じで、あたし達はプールで最高のひと時を過ごせたのさ。
次回、ブリガンディン・プロレスリングの面々と別れた二人を待つものとは?