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第六十七話「彼氏持ちの女と美人爆乳人妻、更衣室、二人きり……別段何も起こらない」

水着回の予定のハズが、

想定外に長引き過ぎて結局下着回というか更衣室回(?)になってしまった……

次回こそは……次回こそは二人のビューティフルでセクシーな水着姿を披露したい……

「――といった感じでね。あたしと出会う前のあの子は大陸の方でギャングに雇われて殺し屋をやってたのさ」

「……壮絶ね。裏切られて尚幸せを願っていた奥様を喪い、新しい生き甲斐になるハズだったダンジョン探索配信の仕事も辞めざるを得ず、挙句辿り着いた先がギャングの殺し屋だなんて……」

「まあ、雇い主のギャングは奇跡的に人格者だったんだけど、問題だったのはその息子でさぁ~。

 護衛のザイちゃんに無理難題吹っ掛けまくった挙句、助けて貰った恩も忘れて飛行帆船の看板から海に突き落としやがったのよ~」

「酷いわね……」


 読者のみんな、御機嫌よう。いつも『追放Vtuber』もとい『ついブイ』を読んでくれてありがとね~。

 できれば感想とかも貰えると作者が落ち着くのでこっちとしては有り難いゾ☆

 ってなもんで、今回も前回に引き続きこのあたし、便利屋魔女のパルティータ・ピローペインが東方の大国"陽元"北東部の主要都市"森翠"からお送りするよ~。


「で、なんやかんやであたしと出会って意気投合、結婚前提で付き合い始めて今に至るってワケ」

「そうだったのね~。じゃあ財クンにとってパルちゃんは救いの女神だったってコトね☆」

「かもね~。どっちかっていうとあたしの方が救われてる感あるけどさっ」


 場面は森翠の温泉街を少し外れた山奥にあるトレーニングジム"Bloom Cat"の更衣室へ続く通路。

 このBloom Catはそもそも権力者や富裕層なんかの上流階級(ロイヤリティ)、若しくはそういった人々に認められた特権階級の傑物だけが利用できる紹介制・会員制の施設で、

 大規模な空間系魔術で拡大された敷地内では凡そこの世に伝わるスポーツの類いをいつでも自由に楽しむことができる。

 例えば冬でも真夏の海を再現した広大なプールで泳げるし、真夏だろうと雪まで振ってる屋内施設で本格的なスキーが楽しめたりもする。

 加えて防犯や個人情報保護の観点からセキュリティ面もしっかりしているから、運動場に入る迄は気心の知れた同行者だけと心置きなく、実質貸し切り同然に過ごすことができるんだ。


「さ、着いたわ。ここが今回私たちの使う更衣室よ」

「おおー、デザインそのものはわりかし普通なのにどことなく高級感が……」


 今回あたし達がBloom Catで利用させて貰うのは"多目的屋内プール"……つまりは軽く泳いだり、或いは水遊びなんかを楽しむのを想定された施設だ。

 というワケで、あたし達も水着に着替える運びとなったワケだけど……


「然し撫子さん、大丈夫なの? あたし水着とか持参してないし、道中でも結局買いそびれたんだけど」

「ああ、心配しないで。ここ、運動着含めスポーツ用品のレンタルとか販売もやってくれるから☆」

「……マジで?」


 幾らなんでもそこまで至れり尽くせりとは予想外過ぎるけど、だからこそ完全会員制で上流階級やその親類縁者御用達で、かつ会員制・紹介制なんだろうなぁとも思う。


 そんなこんなでするりするりと脱衣は進み……程なくあたし達は二人揃って下着姿になった。


(相変わらず、でかっ……! てか、下着のデザイン過激(エグ)っっ……!)


 曝け出された撫子さんの下着姿は、乳首や股間が隠れてるからなのか下品過ぎない美しさで……旅館の浴室で見た裸体とはまた違った美しさと色香を纏っていた。


(……高そうなランジェリーだなぁ。やっぱ男の子ってああいうのが好きなんだろーか……)


 ダイちゃんへの愛やあたし自身の性嗜好、あとは重ね契りの術の効果なんかもあるんだろうけど、彼女の"それ"に対して性的興奮を覚えることはなくて……

 ただ、如何にも高級そうな所謂"エロ下着"に引き立てられたその気高さと美しさに、同性として純粋に尊敬の念や憧れを抱いてしまうんだ。

 言葉で言い表すなら"あたし自身も、彼女のように在れたならいいなあ"とか、概ねそんな感じ――"大きな胸"だけにね。


「~~んもぅ、パルちゃんったらぁ~♪ そんなにマジマジと見つめられたら恥ずかしいわっ☆」

「ああ、ゴメンゴメン。……なんかこう、純粋に、下心とか抜きに見惚れちゃったよ」


 無意識にガン見し過ぎたからだろう、撫子さんからやんわりツッコまれる。

 旦那さんいるのに悪い事しちゃったかなーとか、若干罪悪感を覚えないでもない。


「尊敬っていうか、憧れっていうか……あたしも撫子さんみたいに(こう)在りたいな、みたいな……

 同性として純粋に、リスペクトの気持ちさ。変な気とかないよ。安心して……」

「いいのよ~気にしないでっ♪ 産まれてこの方百八十七年間、ジロジロ見られるぐらい慣れっこだもの☆

 むしろ『私ってそれだけ魅力的で、誰もが注目せざるを得ないくらいイイ女なのね』って思えば苦じゃないわよぉ~♪

 っていうか、尊敬したいとか憧れるとか、パルちゃんみたいな美人さんからそんな風に言われると照れちゃうわ~☆」

「いやあ、でもお世辞抜きに綺麗だからさ……。風呂場で会った時はお互い裸で、脱衣所でも浴衣着てたから下着姿とか見てなくて、ほぼ今日初めて見たんだけど……撫子さん、見えないトコまで徹底してるんだなぁ、っていうか」

「そうかしら~? 私は単に自分の好きなのとか、セイくんが好きそうなのを身に着けてるだけなんだけどね~。パルちゃんはランジェリーとか拘らないタイプ?」

「ああ、うん。あんまり拘ったことはない、かな……」


 思えば学生時代は他の趣味とかに金を使いたかったし、便利屋を始めてからは手足が潰れたり胴体が吹き飛んだりも日常茶飯事だったから、服なんてものは大体古着とか安物とか、自作したようなのばっかり着てるんだ。

 実際今着てる下着だってその辺で買い溜めしたような質素なデザインの安物だし――まぁ~、ダイちゃんはそんな質素な安物でも『貴女が身に着けているからこそ素晴らしい』って絶賛してくれるんだけどネ。


「例えば、昔付き合ってた彼氏の中には気前いい子が居てさ。

 『着て欲しいから』『似合うと思って』とかって、たまに服とか買ってくれたりしてね。

 あたしが高い服を着るってなると大体そんなんなんだけど、そういう子ほど好きで好きでたまらなくなっちゃって、つい求め過ぎて逃げられて……苦しめちゃった元カレからのプレゼントを、自分なんかが持ってちゃいけないんだとか思い込んで、

 せめてこんな奴じゃなくて、もっと相応しい誰かの手元にあるべきだ〜って、結局手放したりしちゃうんだよね~」

「パルちゃん……」

「でも、そんな思い込みの方がよっぽどダメなんだろうなってのも薄々思っててさ。

 もうちょっとお洒落に気を遣おうっていうか、着飾るって行為を楽しんでみようかなってね……。

 撫子さんのお陰で踏ん切りがついたよ、ありがとう」

「ん、それは良かったわ~♪ ま、私だって自分のやりたいようにやった結果がコレなだけなんだけどねっ☆

 それにパルちゃんの下着姿もステキよっ♪

 スタイルいいし、肌キレイだし、おっぱいもお尻もおっきいしっ☆

 下着が素朴で無難なデザインな分、素材の良さが引き立ってるって言うかぁ〜♪」

「そういうもんかな〜。でも正直、撫子さんみたいな下着もいいなぁと思うんだよね〜」

「あら、そうかしら?」

「そうだよ〜。旦那さんの好みで選ぶこともあるって聞いた時、ふと思ったんだよ。

 『もしかするとザイちゃんもこういうの好きだったりするのかなー』ってねぇ〜」

「んん〜なるほど〜♪ 確かに私もこれ買う時ショップの店員さんから『男性の潜在的欲望を刺激するデザイン』ってオススメして貰ったし、悪くないかもしれないわねっ☆

 丁度森翠にもいい感じのランジェリーショップがあるし、良かったら案内するわよ?」

「それは有り難いや。是非ともお願いするよ」


 長々と話し込んだあたし達は程なく下着をも脱ぎ捨て水着に着替え、いよいよ屋内プールへと繰り出していく……ワケなんだけど、この"水着への着替え"ってのがまた驚きだったんだ。

次回、いざ水着に着替えて屋内プールへ!

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