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第二十七話「腹立たしいことだが、職場の上司からのハラスメントは異世界にも存在する」

明確に記憶にはないんですけど、

特にファンタジーものとか平成期の東映特撮とかだと、

こういう「視聴者にとって不愉快なムーブをかます味方キャラ」って居たと思うんですよ。

でまあそういう奴らって大抵何やっても「味方だから」「事情があるから」とかそういうクソみたいな理由で許されて

何の制裁も受けずいつの間にか主人公から大切な仲間認定されてたりするので、

じゃあどう扱うのが妥当なのか? って考えるとこのぐらいが妥当かなぁと。

 読者の皆様、毎度お世話になっております。

 前回に引き続き、七都巳大竜がお送り致します。

 


「ようこそ、財王龍ツァイ・ワンロンくん。

 丸致場亜主マルチバアスは君を心より歓迎するでぇ~」

「光栄に御座います、源元ギルド長……!」

「頑張ろうねザイちゃんっ!

 なんかあったらあたしもサポートするからさ!」


 ギルド『丸致場亜主マルチバアス』の長、

 元魔王の源元殿と面会し

 正式に同ギルドへの在籍が認められた自分めは、

 これにて一先ず一件落着かと安堵しておりました。


(冒険者……一体どんな仕事が待ち受けているかはわからんが、

 ヴァルスメイトの神々より授かった力と、

 そして何よりパル殿のお力添えがあれば如何な苦難も乗り越えられるであろう……)


 然しこの直後……

 執務室へ入って来られた方々との邂逅により、

 事態は思いがけぬ展開を見せるので御座います。



「ほな、手続きは済ませとくさかい。

 とりまその携帯にギルドの公式アプリ入れといてな?

 容量そこまで食わんし、

 仕事の手続きとかめっちゃ楽なんねん」

「畏まりました」


 といった具合に、

 源元ギルド長との面会も終盤に差し掛かった頃でした。


 コンコンッ、と何やら執務室のドアをノックする音が。

 ギルド長は声を聞く迄もなく相手が誰かを察したようで、

 視線も動かさず『入りぃ』の一言で片づけてしまわれます。

 そして……


「あぁ~らぁ~♥ その子が新入りちゃんね?

 なぁんてアタクシ好みなのかしらっ♥」

「ほわぁぁ~♥

 こりゃまた予想外のイケメンさんですねぇ~♥ 眼福眼福っ♥」

「ほう、君が例の……実に素晴らしいっ。

 まさに我らがギルドに相応しい至高の逸材だな……!

 実に興味深い……新人の顔を見ただけで

 こんなにも()()()が粟立つのはいつ以来だろうねェ!」

「おやおや、君でしたかっ!

 これはまたなんともはや、

 素質と才能に溢れ未来への可能性を感じられてっ……

 最高ォォォォォッ!」


 ぞろぞろと部屋の中へ入って来られましたのは、

 ギルド『丸致場亜主マルチバアス』の幹部格として

 ギルド長を補助する要職に就いておられる

 通称"四宝傑しほうけつ"の皆様方に御座いました。


「初めまして新入りちゃん♥

 四宝傑のリーダー、バーゲスト・美代子よっ♥」


 スキンヘッドと軍服が特徴的な

 所謂オカマ・オネエ系の中年と思しき殿方……

 人間サピエンスの"オカマ軍曹"バーゲスト・美代子殿。


「どもです、新人さん♥

 四宝傑の紅一点、ゾーイ・エヴァンスと申します~♥」


 桃色のロングヘアを棚引かせる

  ――パル殿には遠く何恒河沙光年と及びませんが

   実際一般的価値観に基づけばかなりの美人であらせられる――

 ワンピース姿の御婦人……

 サキュバスの"お色気ヒロイン"ゾーイ・エヴァンス殿。


「四宝傑、参謀の時任ときとうウンガだ!

 早速だが君、老いとも飢えとも病とも無縁の肉体というのに興味はあるかね!?

 いや、無理強いをするつもりはないし、真剣に悩んだりせず答えて頂きたいのだがね!」


 やたらハイテンションなこちらの方は、

 中性的な少年と思しき風貌の"天才剥製職人"時任ウンガ殿。

 種族はリビングタクシダミト……

 即ち読んで字の如く"生ける剥製"に御座います。


「はいっ、どぉぉもぉ~っ!

 私、褒め上手系ギルド幹部の

 大良正男おおらまさおですッ

 ――最高ォォォォォッ!」


 事あるごとに突拍子も無く叫んでおられるのは、

 一見肥満の人間中年男性にしか見えず、

 常に笑みを崩さない"褒め上手"大良正男殿……

 尚後に知ることとなりますが、

 種族はヒューマノイド・ローパーであり、

 人間中年男性としての姿は擬態に過ぎないのだそうです。


(なんとも癖の強い……

 とはいえギルドの傘下で世話になる以上、

 彼らとも良好な関係を構築せねばならんな)


 そう考え、あくまで友好的に振る舞おうとしたのですが……

 彼ら四宝傑、実力は申し分ないものの

 聊か人格に難ありな方々のようでして……


「あぁ~んもうっ♥

 ガマンできないっ、キスしちゃう♥

 ムッチュゥゥゥ~ッ♥」

「あっ、ミヨねーさんズルい~っ!

 それだったらゾーイも色々ヤッちゃお~っと♥」


 手始めに本性を現されたのは、

 バーゲスト殿とエヴァンス殿……

 バーゲスト殿は醜く下品に唇を尖らせ自分めに接吻を迫り、

 エヴァンス殿も便乗してか

 何やら不埒な行為へ及ばんと迫って来られました。


(……出会って数分でセクハラか。

 冗談じゃない。幾ら付き合い切れん)


 当然自分としてはそのような接触行為など

 不本意この上ない訳で御座いますからして……

 無駄のない動作で回避させて頂きました。


「チュゥゥゥゥ~ッッ♥」

「うっふふへへへぇ~♥」

「……」

「あらっ――ごがえっ!?」

「えっ――ぎゃひいっ!?」

(……間抜けが)


 結果、お二方は壁や家具に激突し盛大に自爆……


「オウやめろや、新人に何しとんねん」

「ちょっとお二方? あたしの男に手ぇ出すのやめてもらっていいですかねぇ?」

「やめ給えよ君たちィ! はしたないな全く!」

「あなた方のような方々のせいで

 同性愛者やサキュバス族の評判が落ちてるんだって自覚しましょうねぇ~!」


 挙げ句、残る四名から痛烈に批判されますが……

 何処吹く風といったご様子で揃って逆上する始末。


「痛ッ、たァァァ~~……

 ちょっとぉ!? アンタなに避けてんのよっ!

 新入りが幹部に楯突いていいと思ってるわけ!?」

「こんなに可愛いゾーイちゃんを避けるとか、

 オトコノコとして最低じゃないですかぁ~?」


 最早このような態度を取られた時点で

 お二方への敬意は四割から六割五分程"ガオン"と削り取られておりましたが、

 とは言え曲がりなりにもこれからお世話になる職場の幹部格……

 上辺だけでも敬意を払わねばなりません。


「申し訳御座いません、お二方。

 然し自分めには心に決めた方がおられます故、

 何卒そのような行為は御遠慮願えればと……」


 可能な限り紳士的な返答で場を丸く収めようとしましたが、

 残念乍らお二方からの納得は得られず……


 挙句

 『新入りが必ず受ける通過儀礼だ』

 『同性なんだから何をしようと問題ない』

 『この程度なんて軽い遊びなんだから許せ』

 等の暴論を展開する始末。

 挙句……


「通過儀礼だって、言ってるでしょーがぁぁぁぁ!」

「ちょっとくらい遊んだっていいじゃないですかぁぁぁぁ!」


 などと喚き散らしながら掴みかかって来ました。

 然し、お二方が自分めに触れたその瞬間……


「ぎゃっばらびえええええ!?」

「ぶびょらっばあああああ!?」

「!?」


 突如、お二方は出所不明の高圧電流に見舞われ……


「ぐごぉぉぉ……」

「ふぎゅぅぅ……」


 黒焦げで倒れ伏し、そのまま意識を失ってしまわれたのでした。


(……なんだこれは?

 まるでギャグ漫画で電撃や爆撃を喰らったかのような……)

次回、変態クズ幹部二人を襲った電撃の正体とは!?

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