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58.幸運の女神

次の日は、早起きをして学園の正門へと向かった。


クロードと待ち合わせをし、図書館に服の作り方などの指南本がないか探すためだ。


こういうとき、スマホがあれば簡単に検索できるのにな、とレベッカは思うが、一昔前の人たちはみんなこうやって自分で本を探してページをめくって覚えていたんだ、と気を引き締め直す。



「おはよう」



私服のクロードが、いつも変わらず身だしなみを整えた完璧な姿で、涼やかに立っている。


寝癖がついていたり、服にシワがある姿を一度も見たことがないな、と礼節を重んじる公爵家出身はさすがだなと尊敬する。


二人並んで園庭を歩いていく。青々と茂る草木が風に揺れる音が聞こえる。


永遠に続くループの始まりの場所である、ベンチの横を通り過ぎる時、クロードはわざと視線を逸らし、唇をキツく結んでいた。


トラウマであるその場所を、直視したくないのかもしれない。


違う道から行けばよかったかな、と配慮が足りず申し訳なく思ったレベッカの前に、一人の青年が歩いてきた。



「やあ、おはよう! クロードとレベッカじゃないか」



片手をあげて爽やかに挨拶してきたのは、ユリウスだった。



「ユリウス、どうしてここに?」


「いや、リリアと待ち合わせをしてて。

 ……これからデートなんだよ」



最後は声をひそめて、秘密話をするようにクロードに耳打ちするユリウス。まさに仲のいい男友達同士、といった様子だ。


どうやらユリウスとリリアも順調に仲を深めていっているようだ。



「君たちもずいぶん仲が良いんだな!

 休みの期間、3番街に服屋を開いたって聞いたぞ」


噂はすぐに回ってしまうらしく、ユリウスの耳にも入っていたようだ。



「すごくセンスよくて愛想のいい店人がいるって、セリーヌさんが喜んでいたよ」



彼の言葉の中に、聞き覚えのある名前があった。


セリーヌというのは、確か昨日ライム色のワンピースを借りてお茶会へ行った、感じのいい貴婦人の名前ではなかっただろうか。


同じことをクロードも思ったのだろう。


知り合いなのだろうか。それにしては、さん付けで親しげだ。



「なんで、ユリウスがあのお客様のことを知っているんだ?」



親友の言葉に疑問を唱えると、彼はとんでもないことを口にした。



「なんでって。セリーヌさんは俺の叔母だからさ」




ユリウスが頭を掻きながら当たり前のように告げる。



俺の叔母?



皇太子であるユリウスの叔母ということは。




このテイラー王国皇帝の、妹君?




目を見開いたクロードと、口を大きく開けた固まったレベッカが、顔を見合わせた。




「すごくよかったから、友達みんなに勧めるって言ってたよ」




金髪をなびかせたユリウスの言葉は、完璧に分岐点となっていた。




幸運の女神は、意外と身近にいたらしい。


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