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54、記念すべき一人目

もちろんどうぞ、と喜んでその婦人を店の中へと案内する。


日傘を畳み、ハンカチで額に浮かぶ汗を押さえた婦人は、そっと店の中へと入った。



「あら……素敵な服ばかりね」



店内に飾られているドレスやワンピースを見ながら、婦人は感嘆の声を上げる。



「このドレスなんて、刺繍がとても細かくて綺麗だわ。あなたが作ったの?」


「は、はい! そうなんです」



結局授業を受け、開店準備をしながらでは1週間で一着しか作れなかった。


美女と野獣のヒロインをイメージして作ったイエローのドレスを、店に入ってすぐの目立つところに飾っておいたのだが、婦人はすぐに目に留め誉めてくれたのが嬉しかった。


一番時間がかかった胸元の刺繍も褒められ、レベッカは内心ガッツポーズを取る。



「今日はドレスは着ないから、また今度かしらね。ワンピースを見せてくれるかしら」


「こちらへどうぞ」


店の入り口から見て左手に、シンプルから華やかな様々な形のワンピースが飾られている。



「お客様は本日はどのようなご用事ですか?」


ワンピースを眺めていた婦人にレベッカが問いかける。



「わたくし、これから旧友の皆様と久しぶりにお茶会ですの。

すごく楽しみなんだけれど、わたくしももういい歳なので、何を着ていけばいいかわからなくてね……。

カジュアルなワンピースが思いつかなくて、無難な白にしたのよ」



婦人は見たところ、40代後半から50代前半といったところだろうか。


上品な仕草と、育ちの良さが滲み出ている言葉遣いで、高貴な出身だと見て取れる。


目尻に皺はあるが、きめ細やかな肌や艶やかな髪はよく手入れされていて、柔和な美人である。



「でも、どうせならもっと明るい色の服が着たくてね。後ろ髪を引かれていたら、あなたの声が聞こえて」



楽しみなイベントがある日に、服装がいまいち決まらないと、気分が上がらないのは女性にはよくあることだ。


ぜひ、彼女の機嫌を上げて、旧友たちと楽しい時間を過ごしてほしい。


そう思ったレベッカは頷き、婦人の姿を改めて観察する。



(チャコールブラウンの髪色に、同じ色の瞳。目は大きく、少したれ目の顔立ち。

パーソナルカラーはイエベ春ね。原色とアースカラーは似合わない)



頭の中で、素早くコーディネートを組み建てていく。


レベッカは、相手に一番似合う服装は何かを考えている、この時間がすごく好きだった。



(肩幅は細く、くるぶしや腕の筋も出ているほど華奢。

すとんとしたIラインのワンピースじゃ貧相に見えてしまう。

かといってAラインは少し子供っぽい。彼女の雰囲気に合う、上品で優雅な、それでいて暖かく華やかな……)



ハンガーにかけて飾ってある数多くのワンピースの中から、似合うものを探していく。


ドット柄のノースリーブではない、コーラルピンクは甘すぎる。黒はシックすぎて、お茶会にはそぐわない。


ピンときた、一つのワンピースを手に取った。



「お客様には、こちらが似合うと思います」



レベッカが手に取ったワンピースを、婦人は少し驚いたような顔で見た。



「ライム色のマーメイドワンピースです」



自信満々に、レベッカはその服をお客様の前に掲げた。

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