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51、自分の店を

「レンタル?」


聞き馴染みのない言葉に、クロードは首を傾げる。



「貸し出す、という意味です。売り物として売るのではなく、少額で貸して、後日返してもらうというやり方です。

今回は準備期間も出展期間も短いし、お客様のパーソナルカラーや骨格を見て、似合う服を貸し出すお店にしましょう!」



我ながら名案だと、レベッカは頷く。



「それは確かに興味深いな。そんな店、聞いたことがない」


「買うとなると高価なお洋服を、試しに着ることができるのはいいと思うんですよね」



実際レベッカも、前世で友人の結婚式の二次会にレースのワンピースを着たいけれど、買うと高いし、何度も機会がなくタンスの肥やしになるだけなので、レンタルをしていた。


令和の日本では、忙しく働く女子たちに、好きなブランドの服が毎月届くサブスクや、感染症の流行で店まで買いに行くのが億劫だったため、返品可能な通販なども増えたものだ。


異世界の乙女ゲーム内でも、需要があるに違いない。試してみる価値はある。



「クローゼットの中に、着る機会がない服が多くて勿体無いので、それを活用できそうです」


「そうだな。俺も一度自分の屋敷に戻って、使えそうな服がないか見てくるよ」


「ありがとうございます!」



店の前で、暗い店内を窓から覗き込みながら、この間取りならあそこに棚を置いて、テーブルはここで、外から見えるようにドレスを飾ったほうがいいな、などと考え出す。


インテリアも凝りたいし、季節に合わせた色合いのドレスを全面に出したい。


アパレル店員時代の店舗運営の癖で、頭をフル回転させていると、横でクロードが小さく笑っているのが聞こえた。



「ふっ、やはり君は、服のことを考えている時が一番輝いているな」



初めて2人で会話をした園庭で、急にブルベ冬だと言い出し彼の体のサイズを測り出したレベッカのことを思い出しているのかもしれない。



* * *



店を借りるため、隣の家に住んでいる大家を尋ね、学園が休暇中の期間だけ契約をした。


テナント契約料はレベッカが払うと言ったが、クロードが俺も手伝うのだから、と半分払ってくれた。


令嬢とはいえ学生の身だ。それほど自由に使えるお金を手元に持っているわけではないため、大損をしない程度には稼がねばいけない。


大家の主人は、ドレスを貸し出す店など初めて聞いたと、サインを書く2人を見ながら不思議そうな顔をしていた。


手続きが終わった頃には、陽は傾いていた。




街の外れにある大きな公園。噴水の前のベンチに、2人並んで座る。


そういえばデートの最中だったのだが、急遽思い立った開店作業でバタバタしてしまった。



「お店を契約してしまいましたわ……。後に引けませんわね。うう、ドキドキする……!」



1週間後には、もう異世界にて自分の店を開店する、なんて思ってもみなかった。


噴水が吹き上がり、夕焼けの光を受け水飛沫がオレンジ色にキラキラと輝く。


クロードはベンチの背もたれにもたれながら、なんてことはない、と構えている。



「大丈夫。成功しようが、失敗しようが、『休暇中に挑戦したこと』について書く課題が出ていたから、その題材だと思えば良い」


銀髪を掻き上げながら、クロードが言った台詞に、レベッカは納得する。



「……確かに、それもそうですわね」


レポートや作文が苦手なレベッカは、課題を出された時に何を書こうか途方にくれていたが。これもある意味自由研究の一種かもしれない。


成功するに越したことはないが、失敗してもそれはそれで経験となり、レポートの良いネタとなるだろう。



「気が楽になったか?」



クロードはふっと微笑み、緊張していたレベッカの気持ちをほぐす。



「ええ。……ありがとうございます」



面白い発想で緊張を解いてくれたのも、自分の夢を叶えてくれたのも、感謝しかない。

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