雷神の託宣
夏の夕暮れ時、美しい宮殿が雷鳴と共に突然に煌々と輝く閃光に包まれた。その直後、轟音が響き渡り、まるで天空からの神の怒りが宮殿に降り注いでいるかのように見えた。村々に広がる災害を予知する者たちは、この事件を清涼殿落雷事件と名付けた。
事件の後、宮殿の廃墟には驚異的な異常現象が発生していた。生い茂る植物の中に、なんと生き生きと輝く「雷光樹」と呼ばれる奇妙な樹木が姿を現していたのだ。それを目の当たりにした者たちは、その存在が何か重要な意味を持つことを感じ取っていた。
蒼井翔太は、清涼殿落雷事件の瞬間に偶然にもその場に居合わせていた。翔太は一七歳の高校生で、少し変わった感性を持っていたが、日常の生活に特別な出来事はなかった。だが、事件の光景を目にした瞬間、彼の心に何かが刺激されるような感覚が走った。彼は幼い頃から雷に対して特別な感覚を持っていた。落雷事件から自分に何かが求められていると感じるようになった。
宮殿の廃墟を訪れるうちに、翔太はひょんなことから「雷光樹」の近くに立つと、体内で微かな電気のような波動を感じ取ることができることに気付いた。それは、彼にとって初めての経験だった。彼は何度も試してみるうちに、なんとその波動を自由に操ることができるようになっていた。
驚きと戸惑いを隠しながらも、翔太は自分の特殊な能力について友人の中沢真理に相談する。真理はいつも翔太のサポート役であり、彼の話を真剣に受け止める。だが、二人はこの能力の正体や由来について全く分からないままだった。
日々の生活の中で、翔太は「雷光樹」との交流を深めていく。それとともに、宮殿での出来事が彼にもたらした違和感や妙な予感が次第に強くなっていった。彼はそれがただの偶然ではないことを確信し、清涼殿落雷事件の謎を解明することを決意するのだった。
翔太は、清涼殿落雷事件を巡る不思議な体験を胸に秘めつつ、日常の生活に戻っていた。心の中でいつも事件のことが引っかかっていた。その謎めいた力や雷光樹との繋がりに対して、彼はますます興味と不安を募らせていった。
ある夜、翔太はふとした瞬間に眠りについた。すると、夢の中で幻想的な光に包まれた空間に身を置いたような気がした。そして、その中に不思議な存在が現れた。それは長い銀髪に身を包んだ美しい少女の姿をしていた。
「ようこそ、蒼井翔太。私は雷神。お前こそ、雷神の末裔であり、その遺産を引き継ぐべき者だ」
その少女が雷神の名前を口にした瞬間、翔太の心に強い衝撃が走った。彼が感じていた微かな電気の波動と、この少女の存在が明確にリンクしていることが分かったのだ。
「雷神の末裔……?」
翔太は困惑しながらも、少女の言葉を受け止める。彼女は雷神の遺産を引き継ぐことで、人々を守る守護者としての役割を担うことを伝えた。
「でも、私はただの高校生です。なぜ私が雷神の末裔なんですか?」
「過去に起きた何かが、お前にこの力を与えたのだろう。それがどういう経緯であるか、私にも分からない。だが、それは運命の力だ」
雷神の言葉に翔太は心の奥底で何かが引き寄せられるような感覚を覚えた。彼は自分に特別な力が備わっていることを否定することはできなかった。翔太は、自分が雷神の末裔であるとの衝撃に揺れ動きながらも、使命を受け入れる決意を固める。




