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林田力 短編小説集  作者: 林田力
短編2
91/103

お前、真面目だな

「お前、真面目だな」

「ええ。阿良々木先輩に褒められると嬉しいです」

「褒めてねえよ! ていうか、もういい加減、そのネタから離れろ!」

「照れる必要なんてないじゃないですか。阿良々木先輩はわたしのことを可愛いと言ってくれたのですよね?」

「言ったけど、それは社交辞令だ!」

「社交辞令ですか。そうですね、確かに、阿良々木先輩は、わたしのような小学生を本気で口説いたりはしないですもんね」

「そ、そんなことは言ってないぞ!?」

「いえいえ、隠さなくていいんですよ。阿良々木先輩みたいな高校生にとって、小学生は恋愛対象にはならないですからね。まあ、わたしとしては、阿良々木先輩の気持ちはわかるつもりですが」

「何がわかんだよ」

「ロリコン」

「お前、本当に小学生かよ!」

何だこの会話。全然噛み合ってないぞ。

「冗談ですよ。それにしても、阿良々木先輩も、本当にお変わりになりましたね。昔はあんなに、優しくしてくれたというのに……」

「私を陥れようとするのはやめろ! ていうか、優しいって何だよ。僕はいつだって優しかっただろうが」

「えー。そうですかあ?」

「そうだよ!」

どうやら、昔の私は、八九寺に好かれていたわけではなかったらしい。ていうか、今更ながら、戦場ヶ原の友達っていうのが信じられなくなってきた。

「お前は私のことを嫌いなんじゃないか?」

「え? どうしてそう思うんですか?」

きょとんとする八九寺。天然なのか、こいつは。

「阿良々木先輩こそ、ひょっとして、自分に気のある女を相手にする時には、わざとそういうふうな態度を取って、嫌われようとしているんじゃないでしょうね?」

「そんなわけあるか。ていうか、そんなことしたら相手に悪いだろ」

「はい。阿良々木先輩ならそう言うと思っていました。安心しました」

「…………」

ううん……、よくわからない奴だな……、こいつ……。


「ところで、阿良々木先輩」

「今度は何だよ」

「さっきからずっと、わたし達、同じ道をぐるぐる回っている気がします。気のせいですか?」

「…………」

えっと。僕は携帯電話を取り出してみた。アンテナは三本立っている。圏外ではないようだ。

「道、間違えたかな……」

「地図アプリで確認してみてはいかがですか?」

「そうだな……」

言われなくてもそうするつもりだったが、一応、八九寺の方に確認してみる。

「なあ、八九寺」

「はい」

「お前、ここら辺に住んでるんだよな」

「はい。この近くですね」

「どの辺りだ?」

「すぐ近くですよ」

「じゃあ、この道を真っ直ぐ行けばいいんだな」

「はい」

「わかった。ありがとう」

「いえいえ。それでは阿良々木先輩、またお会いしましょう」

「ああ。じゃあな」


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