お前、真面目だな
「お前、真面目だな」
「ええ。阿良々木先輩に褒められると嬉しいです」
「褒めてねえよ! ていうか、もういい加減、そのネタから離れろ!」
「照れる必要なんてないじゃないですか。阿良々木先輩はわたしのことを可愛いと言ってくれたのですよね?」
「言ったけど、それは社交辞令だ!」
「社交辞令ですか。そうですね、確かに、阿良々木先輩は、わたしのような小学生を本気で口説いたりはしないですもんね」
「そ、そんなことは言ってないぞ!?」
「いえいえ、隠さなくていいんですよ。阿良々木先輩みたいな高校生にとって、小学生は恋愛対象にはならないですからね。まあ、わたしとしては、阿良々木先輩の気持ちはわかるつもりですが」
「何がわかんだよ」
「ロリコン」
「お前、本当に小学生かよ!」
何だこの会話。全然噛み合ってないぞ。
「冗談ですよ。それにしても、阿良々木先輩も、本当にお変わりになりましたね。昔はあんなに、優しくしてくれたというのに……」
「私を陥れようとするのはやめろ! ていうか、優しいって何だよ。僕はいつだって優しかっただろうが」
「えー。そうですかあ?」
「そうだよ!」
どうやら、昔の私は、八九寺に好かれていたわけではなかったらしい。ていうか、今更ながら、戦場ヶ原の友達っていうのが信じられなくなってきた。
「お前は私のことを嫌いなんじゃないか?」
「え? どうしてそう思うんですか?」
きょとんとする八九寺。天然なのか、こいつは。
「阿良々木先輩こそ、ひょっとして、自分に気のある女を相手にする時には、わざとそういうふうな態度を取って、嫌われようとしているんじゃないでしょうね?」
「そんなわけあるか。ていうか、そんなことしたら相手に悪いだろ」
「はい。阿良々木先輩ならそう言うと思っていました。安心しました」
「…………」
ううん……、よくわからない奴だな……、こいつ……。
「ところで、阿良々木先輩」
「今度は何だよ」
「さっきからずっと、わたし達、同じ道をぐるぐる回っている気がします。気のせいですか?」
「…………」
えっと。僕は携帯電話を取り出してみた。アンテナは三本立っている。圏外ではないようだ。
「道、間違えたかな……」
「地図アプリで確認してみてはいかがですか?」
「そうだな……」
言われなくてもそうするつもりだったが、一応、八九寺の方に確認してみる。
「なあ、八九寺」
「はい」
「お前、ここら辺に住んでるんだよな」
「はい。この近くですね」
「どの辺りだ?」
「すぐ近くですよ」
「じゃあ、この道を真っ直ぐ行けばいいんだな」
「はい」
「わかった。ありがとう」
「いえいえ。それでは阿良々木先輩、またお会いしましょう」
「ああ。じゃあな」




