大丈夫の正しい使い方は悪口
日本では「大丈夫か」という質問が安直になされるが、実は相手を馬鹿にした悪口になる。「大丈夫ですか」と尋ねることは、相手からは馬鹿にしているように受け取られる。
以下は「大丈夫」の本質を突いた使われ方がある。
赤坂アカ『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 1』第5話「かぐや様はいただきたい」で藤原千花はズッコケて机に頭をぶつけた四宮かぐやに「かぐやさん イタくない? 頭大丈夫」と聞く。かぐやは「悪口に聞こえて仕方ない」と感じる。
施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』「ラ・ロシュフコー曰く」で遠藤は変な行動をして頭をぶつけた町田さわ子に「いろんな意味で大丈夫か」と言う。
施川ユウキ『バーナード嬢曰く。5』「トンデモミステリ」で神林しおりはトンデモナイ発言をした町田さわ子に「頭大丈夫か」と言う。
保身第一の人物は相手から大丈夫という回答が欲しくて「大丈夫か」と聞くことがある。それは相手を不愉快にするだけの使い方である。相手のことを気にしている風で「大丈夫か」と尋ねることもあるが、本当に心配しているのではなく、相手から「大丈夫」との回答を得て安心したいだけである。
日本人には大丈夫ではなくても、つい「大丈夫」と言ってしまう傾向がある。「大丈夫?」と尋ねられて「はい」と答えてしまう。それを保身第一の人間は悪用し、「大丈夫」ということにして自己の責任を回避する。「大丈夫か」の質問は責任逃れのアリバイ作りに過ぎない。
「大丈夫」は正しくは駄目な時に使用するものである。日本人は「大丈夫」という言葉を安直に使うが、本当に大丈夫なのかと言えば、そうではない。Shakespeare, Macbethで魔女は「Fair is foul, and foul is fair」(きれいは汚い、汚いはきれい)と述べる。日本の「大丈夫」は大丈夫ではない。
以下のやり取りは「大丈夫」の意味を深く考えさせるものである。
沼駿『左門くんはサモナー 3』第39話「左門くんは良い趣味」で、どうしようもなく太ってしまった左門召介に対して、天使ヶ原桜は「左門くん大丈夫なの」と言う。
沼駿『左門くんはサモナー 6』第48話「左門くんはさもしい」では「(オンラインゲームに)24時間ログインしているので大丈夫です」との台詞がある。これに対して「それは大丈夫でしょうか」との突っ込みが入る。ゲーム廃人は大丈夫ではない。
沼駿『左門くんはサモナー 8』第63話「左門くんは想像以上にキレた野郎」で天使ヶ原桜は「大丈夫」と答える父親に「その格好で外回りさせる会社は大丈夫じゃないよ」と突っ込む。
大丈夫は問題がないことを意味する。問題は起きておらず、何の問題もない状態である。「仕事にトラブルはなく順調だよ」という感じである。「大丈夫じゃない」は「問題が生じている」「何か問題がある」ことを意味する。
「大丈夫」の回答を「仕事にトラブルはないよ。順調に進んでいる」と思わない方が良い。「でも問題が起きているよね」と指摘することがある。「大丈夫」の回答は「大丈夫」の後ろに「じゃない」が省略されている状態である。「大丈夫」の回答に対して「でも問題が起きているよね」と指摘することは「問題を放置して大丈夫な訳がない」と指摘することである。




