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林田力 短編小説集  作者: 林田力
短編2
86/103

俺の部屋には突然サンタが現れたのだ

目を覚まして最初に感じたのは寒さだった。布団を被らず寝てしまったせいだろう。

体を起こしながら枕元に置いてある時計を見ると時刻はすでに午前10時を過ぎている。普段であれば完全に遅刻だが今日に限って言えば違う。なぜならば俺は休みなのだから。

「……あれ、そういえば昨日は何してたんだっけ?」

確か昨日の夜はいつも通り家に帰って、風呂に入って、飯を食って、テレビを見て、それから……。

「あっ、そうだ! 思い出した!」

昨日の晩、俺の部屋には突然サンタが現れたのだ。それもトナカイではなくソリに乗って空を飛んで来たというおまけ付きで。

最初は夢だとばかり思っていたのだが、部屋中に撒き散らされたプレゼントやら手紙やらを見れば嫌でも現実だということを思い知らされてしまう。手紙の内容はこうである。


"あなたへ"

拝啓 あなたの日々の生活において少しでもお役に立てているでしょうか。

この度は私からのささやかな贈り物をお受け取り頂けたようで幸いです。

このプレゼントはあなたにとって非常に有益なものになるはずなので、ぜひ有効活用してください。

もし何か困っていることがあるならば遠慮なく相談しに来てください。可能な限り力になりますよ。


「……うん、間違いなくあいつの仕業だな」

このふざけた内容の手紙を書いた犯人に心当たりがありすぎるほどにある。というより一人しかいない。そもそもこんなことをするのはアイツ以外に考えられないしな。

「それにしても一体どうやってウチに入り込んだんだか」

いくら鍵を掛け忘れていたとはいえ、まさかあの野郎が侵入してくるとは思いもしなかった。しかもわざわざソリまで用意するとかどんだけだよ。

まあそんなことはどうでも良くて、問題はどうしてあんな真似をしたのかということである。

「とりあえず電話するか」

もしかしたらまだ家にいるかもしれないと思い、スマホを手に取って電話をかけようとしたその時。

「ピンポーン」

インターホンの音が部屋に鳴り響いた。……誰だ? 宅配便が来る予定はないはずだけど。不思議に思って玄関へと向かう。覗き穴から外の様子を窺ってみるとそこには見知った顔があった。

「おーい、起きてるかー?」

「ああ、今行く」

ドアを開けるとそこに立っていたのは予想通りの人物、俺の親友にして悪友でもある男――天川祐希だった。

「よう、久しぶり」

「おう、元気にしてたか?」

「まあまあかな」

「そうか、なら良かった」

「ところでお前、なんでここにいんの?」

「なんでって、そりゃお前に会いに来たからに決まってんだろ」

「なんのために?」

「なんのためって、お前……」

「…………」

「……あー、悪い。今のはナシだ」

「いや、別にいいんだけどさ」

「なんかお前のそういう反応を見るのが新鮮だったからついな」

「なんだそれ」

「それよりほら、中に入れてくれよ」

「あ、ああ」

「おっじゃまっしま~す」

「適当に座っててくれ」

「あいよ」

「コーヒー飲むか?」

「砂糖とミルクたっぷりで頼むわ」

「了解」

「あ、そういやお前に渡すもんがあるんだった」

「ん?」

渡された袋の中には大量のお菓子が入っていた。

「これ全部くれるのか?」

「おうよ。クリスマスだから奮発したんだぞ」

「ありがと」

「気にするなって」

「それで?」

「ん?」

「なんでまた急に訪ねて来たんだよ」

「あぁ、それはあれだ。昨日渡せなかったプレゼントを渡しに来ただけだ」「えっ? あ……」

言われてから思い出したが確かに今日はクリスマスだった。

「すっかり忘れてたよ」

「だろうと思ったぜ」


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