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林田力 短編小説集  作者: 林田力
神崎透
81/103

ええと、ここが部室か

「ええと、ここが部室か……」

翌日の放課後。俺は、とある部屋の前まで来ていた。

「おーい、来たぞー!」

「お、待ってました。ささ、早く中に入ってくれ」

「ああ」

「えーと、まずは何をするんだ?」

「まあまあ、とりあえず席に座って落ち着いてください」

彼に促されるまま椅子に座ると、目の前には様々な種類のボードゲームが置かれていた。

「これは一体何のゲームなんだ?」

「まあ簡単に説明すると、チェスみたいなものだよ」

「へえ、そうなんだ」

「というわけで早速始めようと思うんだけど……ルール分かる?」

「いや全く分からない」

「OK、なら説明しよう。……このゲームでは、プレイヤーは駒を動かし、相手の王将キングを取ったら勝ちになる」

「なるほど」

「ちなみに、駒にはそれぞれ役割がある。例えばこの歩兵は、敵を倒すことができる。そして、王様を守る騎士は、敵の攻撃を防ぐことが出来る。他にも、魔法使いは魔法を使って相手を攻撃する事が出来る。そして、僧侶は回復することができる。といった具合にね」「ほう、なかなか面白いじゃないか」

「だろう? よし、それじゃあ始めるぞ」

こうして始まった勝負だったが……結果は惨敗だった。

「くっそー、もう一回!」

「いいぜ、かかってこい!」

その後も何度も挑戦したが、結局一度も勝つことが出来なかった。

「はぁ、はぁ……もう無理だ……」

「ははは、まだまだだな」

「うーん、やっぱり強いな。……ところで、どうしてそこまで強くなったんだ?」

「そりゃあ、毎日のように練習してるからな」

「そ、そうなのか……」

「おう。ちなみに俺の得意分野は将棋だ。いつかお前にも勝てるようになるかもしれないな」

「楽しみにしてますよ」

「そういえば、どうして俺なんかに声をかけてくれたんだ? 正直言って、俺ってあんまりパッとしないだろうし……」

「いやいや、そんなこと無いよ」

「え、マジで?」

「うん、マジで」

「……ありがとう」

「いえいえ」

「……ところでさ、今更な質問で申し訳ないんだけど、どうして俺のことを誘ってくれたんだ?」

「う~ん……そうだなぁ……。……強いて言えば、君に興味があったからかな?」

「そうなのか?」

「うん。だってさ、普通あんな風に話しかけられたら警戒するじゃん。でも君は全然そんな素振りを見せなかった。……だから、ちょっと気になったんだよ」

「そうか……。……あのさ、俺からも一つ聞いてもいいか?」

「おう、何でも聞いちゃって下さい」

「……どうしてお前も俺のことを助けてくれるの?」

「……それはね、俺が君のことが好きだからだよ」

「……え?」

「あ、もちろん友達としてじゃないよ? 恋愛対象的な意味で好きってことだから」

「ちょ、いきなり何を!?」

「いや、別に隠すことでもないからさ。それに、いずれバレることだし」

「いや、そういう問題じゃなくてだな……」

……その後、しばらくの間沈黙が続いた後、彼は再び口を開いた。

「……ねえ、君はさっき『助けてもらった』と言ったよね?」

「ああ」

「その言い方だとさ、君は今まで誰かに助けを求めたことが無かったのかい?」

「……そうだな」

「そうか。……実はさ、俺は昔いじめられてたんだよ」

「えっ、そうなのか?」

「うん。まあ中学の頃の話だけどな。それで、高校に入ったら絶対にイジメられないようにしようと思って、必死に勉強したんだ」

「へぇ、すごいじゃないか」

「まあな。おかげで何とか志望校に合格できたよ。……ただ、今でもたまに思い出すことがある。もしあのまま学校に行ってたらどうなってたんだろうってな」

「……」

……きっと、辛い思いをしていたに違いない。

「……なあ、これからは何かあったらすぐに言えよ。俺はいつでも力になるから」

「……分かったよ」

「よし!……じゃあそろそろ帰るか」

「そうだな」

こうして俺は、新しい友人と共に帰路についた。


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