表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
林田力 短編小説集  作者: 林田力
神崎透
77/103

というわけで、これからよろしくお願いしますね

「というわけで、これからよろしくお願いしますね、先輩!」

「……えっ!?」

突然の出来事に、俺はただ唖然とすることしかできなかった。

「ちょっと待て!! どういうことだよこれは!?

俺の名前は神崎透かんざきとおる。どこにでもいる普通の高校生だ。

そんな俺の前にいるこの女の名は高梨愛花たかなしまなか。高校一年生になったばかりのピカピカの一年生であり、俺の後輩でもある。

「だからですねー、私も先輩と同じ学校に入学したんですよ」

「なんでわざわざ同じ学校に来たんだよ……」

こいつは何を考えているのかわからないやつなのだが、今回は特に意味がわからなかった。

そもそも、なぜこんなことになったかというと……話は数時間前にさかのぼる。


「先輩! おはようございます!」

朝っぱらから元気よく挨拶をしてきたこいつこそ、高梨愛花だった。

「おう、おはよ……って、誰だよお前!?」

思わずツッコミを入れてしまったが、それも仕方ないだろう。なぜなら目の前にいる少女は、昨日までとはまるで別人のように変わっていたからだ。

まず目につくのはその髪の色だろう。黒かったはずの彼女の髪の毛は、なぜか真っ赤に染まっていたのだ。それだけではない。顔つきまで変わっている気がするし、背丈だって少し大きくなっているような気さえしていた。

さらに服装までも違っている。制服姿なのは変わらないものの、スカートの長さが明らかに短くなっていたり、胸元が大きく開いていたりしている。おまけに化粧をしているらしく、唇にも赤い口紅のようなものがついているように見えた。

正直言って、どこから見ても完全なギャルになっていたのだ。

「いや~、実は私、髪を染めちゃったんですけど、それが思ったよりも似合っちゃいまして……。それで調子に乗ってメイクとかもし始めてみたら、なんかもう楽しくなってきちやって……。そしたら身長も伸びてきて、ますます可愛くなってきた感じなんですよねぇ~♪」

「…………」

もはや何も言えなかった。まさかここまで変わるなんて思わなかったからである。

「それじゃあ行きましょうか、先輩!」

「ちょっ、引っ張んなって!」

そして俺は強引に手を引かれる形で教室へと連れて行かれることになったのであった。


「おっす、神崎!」

「よう、神崎くん」

「ああ、おはよう」

教室に入ると、いつも通りクラスメイトたちが話しかけてきた。どうやら今日も平和な一日になりそうだと思ったその時、一人の男子生徒が声をかけてきた。

「おい神崎、その子は誰なんだ?」

「その子?……あっ」

そこでようやく気づいた。そういえばまだ紹介していなかったことに。

「えっと……彼女は高梨さんといって、俺の後輩みたいなものだ」

「初めまして!私は高梨愛花です!」

すると高梨さんは笑顔で自己紹介した後、「先輩の彼女です」と言い放った。その発言を聞いた瞬間、クラスの空気が変わった。

「へぇ~そうなんだ~」

「なるほどね~」

「いや違うから!! ただの後輩だから!!」

「え~、でも先輩、私のこと好きじゃないですか~」

「いやまあ確かに嫌いではないがそういう意味で好きなわけでは……」

「ほ~らやっぱり!」

「いやだから違うんだって!!」

「はいはいわかりましたよ~」

「わかってくれたか」

「先輩ってば照れ屋さんだな~」

「全然聞いてねえ!?」

……ということがあったわけだ。ちなみにその後すぐに誤解を解くことができたのだが、その時にはすでに遅かったようで、俺と彼女が付き合っているという噂が流れてしまっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ