表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
林田力 短編小説集  作者: 林田力
林田港
70/103

林田神社の境内には大きなクスノキがある

林田神社の境内には大きなクスノキがある。樹齢は約700年だという。この木の下で結婚式を挙げるカップルが多いらしい。

「縁結びの神さまでもあるんですよ」

巫女姿の千佳子が言う。

「へえー、そうなんだ」

「私もここで式を挙げたんです」

「それは知らなかった」

「お兄ちゃんが結婚するときは、私が仲人を務めますよ」

「ありがとう」

「ところで、お兄ちゃんは何歳なんですか?」

「今年で24歳になるかな……」

「私は22歳です」

「そうだね」

「お兄ちゃんって呼んでもいいですか? なんか、お姉さんっていう感じじゃないし」

「いいけど……でも、俺には妹はいないぞ」

「じゃあ、私のことは千佳子とかチカとかチイコと呼んでください」

「わかった。これからよろしくね、千佳子」

「はい! こちらこそ!」

千佳子は元気よく返事をした。

「千佳子のお父さんとお母さんはどうしたの?」

「母は亡くなりました。父は再婚して新しい母と一緒に暮らしています」

「そっか……。ごめんなさい」

「気にしないで下さい。もう5年前ですから」

「今は一人で暮らしているのか?」

「いえ、友達の家に居候しています。その人の家に下宿しているのです」

「友達というのは女の子なのか?」

「はい。同じクラスの美香という娘です」

「ふうん……」

「どうかしましたか?」

「いや別に何でもないよ」

「変なお兄ちゃん」

千佳子が笑う。

「それで、今日は何を作るつもりなんだ?」

「カレーライスを作りたいと思います」

「それなら簡単だな」

「材料を買ってきましょう」

二人は商店街に向かった。


林田家の台所では、千佳子がタマネギを切っていた。

「お兄ちゃん、ニンジンを切り終わりました」

「よし、次はジャガイモを切ってくれ」

「わかりました」

「包丁を使うときは猫の手を忘れるなよ」

「はーい」

千佳子は手際良く野菜を切る。

「なかなか上手いな」

「料理は得意な方ですよ」

「俺は不器用だから羨ましいよ」

「お兄ちゃんは不器用ではないと思うけどなぁ」

「そうか? まあいいか。あとは炒めれば完成だな」

「そうですね」

鍋に油を入れて火にかける。そして肉を焼く。

「これで牛肉のステーキの完成だ」

「すごいです。美味しそうです」

「さて、ご飯の準備をするかな」

炊飯ジャーを開けると、炊きたてのお米があった。

「ちょうどよかった。米も炊けたみたいだし、後はルーを入れるだけだな」

「楽しみです」


林田家の食卓は、いつも賑やかな雰囲気になる。

「やっぱりカレーは最高だよ」

「そうですね。スパイスが効いてます」

「そういえば、千佳子は辛いものが苦手だったっけ?」

「そうでもないですよ。このくらい平気です」

「そうか。それなら良かった」

「それにしても、お兄ちゃんは料理が得意なんですね」

「そんなことはないよ。ただ慣れているだけ」

「それでも凄いです。私も見習わないといけませんね」

「千佳子にだってできることがあるはずだよ」

「例えば何ですか?」

「う~ん……。そうだな……」

「何か思いつきましたか?」

「掃除とか洗濯はどうだろう?」

「家事のことですか?」

「ああ。千佳子は一人暮らしをしているんだろ。自分でやらないといけないんじゃないか?」

「そうかもしれませんね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ