あのさ、ちょっといい
「あのさ、ちょっといい?」
帰り道の途中、彼女は唐突に話しかけてきた。何かあったのだろうかと思いつつ返事をする。
「どうしたんですか?」
「実は、君に伝えないといけないことがあるんだ……」
何やら深刻な顔をして言うものだからこちらも緊張してしまう。一体どんな話をするつもりなんだろう。
「実は、その、私……」
彼女はそこで一度言葉を区切ると深呼吸をして再び口を開いた。
「君のことが好きなんだ!」
「えっ?」
「ずっと前から好きだった。でも、こんな気持ちを伝えても迷惑になると思ってたし、それに今の関係を壊すことになるんじゃないかと思った。だけどやっぱり自分の本当の想いを隠したまま過ごすなんて無理なんだ。だから伝えようと思う」
「…………」
突然の出来事に頭が追いつかない。まさか告白されるとは思っていなかったからだ。しかし、いつまでも黙り込んでいるわけにはいかない。
「あなたの気持ちはとても嬉しいです。正直言ってすごく驚いています。でも……」
「わかってる。私のことなんか眼中にないんでしょ?知ってるよ。だって君はいつも他の女の子のことばかり見ているもの。だから私は諦めることにしたんだ。君の幸せを願っているよ。それじゃあ、さよなら!」
「待ってくれ!」
彼女は走り去ろうとしたがすぐに足を止めてくれた。振り返った彼女は泣いていた。
「ごめんなさい。本当はもっと早く伝えるべきでした。あなたを傷つけてしまったことは謝っても許されません。それでも言わずにはいられなかったのです。それだけ伝えたかったんです。では失礼します。どうかお元気で……」
そう言い残すと今度こそ彼女は去っていった。一人残された僕はその場に立ち尽くすしかなかった。頭の中では先程のやり取りが何度も再生されていた。
家に帰ってからもしばらくは何も手につかなかった。それほどまでに衝撃的だったのだ。
「はぁ……どうしてこうなったんだよ」
思わずため息が漏れる。
「まあ、悩んでいても仕方ないか」
とりあえず寝てしまおう。そして明日になったら考えればいい。ベッドに入ると目を閉じた。
「んぅ……」
「おはようございます」
「あれ?ここは……」
「俺の家だよ」
「あ、ああ!そうだよね。昨日泊まったんだっけ」
「そうだよ。まったく朝になっても起きないんだもん。心配になって起こそうとしたけど全然ダメでさ」
「そうなんだ。ごめんね」
「別に気にしないでくれ。それよりそろそろ支度しないと遅刻するぞ?」
「うわ、もうこんな時間!?急がないと!!」
「はい、タオル」
「ありがとう」
「じゃあ俺は先に学校に行ってるから」
「うん、わかった」
「それと、今日も一緒に帰ろうな」
「……うん」
彼は部屋から出て行った。
「よし!準備完了っと。さて、行きますか!」




