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林田力 短編小説集  作者: 林田力
林田港
62/103

晴れた日の花火大会

僕はバイト先に電話をかけた。

『もしもし』

「おはようございます。昨日シフトを入れた者なのですが……」

『ああ!君か!』

「はい。その節はどうもすみませんでした」

『いや、気にしないでくれ。それよりも体調の方は大丈夫なのか?』

「ええ。すっかり元気になりました。それで本題に入るのですが、今日の夜、出勤してもいいでしょうか?」

『もちろんだとも!!』

「ありがとうございます。それともう一つお願いがあるのですが……」

『なんだね?遠慮せずに言ってくれ給え』

「実は友達を連れて行ってもいいですか?」

『構わないぞ。むしろ大歓迎だ。賑やかな方が楽しいしな。それに君の知り合いならば信用できるし問題ないだろう。ただし、変なことだけはしないように頼むぞ。わかったか?』

「はい。承知しております。それでは失礼いたします」

電話を切った。これで問題は解決した。あとは彼女を待つだけだ。

「お待たせ。待ったかい?」

「全然。今来たところですよ」

「そっか。よかった」

「じゃあ、行きますかね」

「うん!」

こうして僕らは花火大会へと向かった。花火会場へと到着するとすでに多くの人で溢れかえっていた。人混みの中をかき分けながらなんとか前に進むと、ちょうどいいスペースを見つけたのでそこにレジャーシートを敷いて腰掛けた。

「ふぅ……やっと一息つけたよ?」

彼女は大きく伸びをしながら言った。

「そうですね。ここなら落ち着いて見られそうだ」

「ねぇ、飲み物買ってくるけど何飲む?」

「お茶あります?」

「あるよー」

「じゃあ、それをください」

「了解しました」

彼女は立ち上がると近くの自動販売機まで歩いて行った。

そしてペットボトルを持って戻ってくると僕に渡してくれた。

「はい、どーぞ」

「ありがとうございます」

キャップを開けるとゴクッという音を立てて中身を飲み干す。冷たい液体が喉を通っていく感覚はとても心地よいものだった。

「ぷはぁっ!!生き返る!!」

「おっさんみたいだよ……」

「だって暑いんだもん。仕方ないじゃん」

「まあ、確かに今日はいつもより気温が高いよね」

「そうなんですよ。だから余計に暑く感じるんです」

「わかるわー」

れからしばらく二人で雑談をしているうちに時間になったのかアナウンスが流れた。

『まもなく開始時刻となります。皆様準備の方よろしくお願い致します』

いよいよ始まるようだ。最初の一発目が打ち上がると同時に大きな歓声が上がった。

「始まったな」

「綺麗だね」

周りを見渡すとみんな立ち上がって空に向かってカメラを構えていた。おそらく写真を撮っているのだろう。僕たちも同じように立ち上がった。

「さて、私達も撮りましょうか」

「そうですね」

スマホを取り出すとタイマー機能をセットする。3秒後にシャッターを切るように設定してから構えるとカウントダウンが始まった。

3・2・1……カシャリ!軽快な音が鳴って写真の撮影が完了した。

「よし、うまく撮れたかなっと……おお!?これはなかなか良い感じじゃないですか?」

次々と打ち上げられていく花火を見て僕は思った。この光景をしっかりと目に焼き付けておかなければ勿体無いのではないかと。

「ねえ、見て」

不意に声をかけられたのでそちらに目を向けると、そこには夜空に浮かぶ色とりどりの花があった。それはまるで宝石のように輝いて見えたのだ。

「とても美しいです」

「うん、本当に」

「うん、また一緒に連れて行ってくれる?」

「もちろんですよ。約束しちゃいましたからね」

「ありがとう」

花火の音を聞きながら僕らはしばらくの間、夜空に浮かび続ける花々に見惚れ続けていた。


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