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林田力 短編小説集  作者: 林田力
林田港
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雨の中の花火大会

花火大会は雨の中、開催された。傘を差しながら花火を観た。

「あと少しで始まるらしいぞ」

「へぇ……そうなんだ。知らなかったよ」

「俺も昨日知ったばかりなんだが、どうやら毎年恒例らしくてな。今年から規模を大きくしたとかなんとか聞いた気がするぜ」

「なるほどね。それで人が沢山いるわけか」

「そういうことだ」

「しかし、まさか花火大会の日にバイトとはなぁ……」

「お前にしてみれば好都合じゃないか」

「まあ、確かにそうだが……」

「せっかくの機会なんだし楽しめばいいだろ」

「それもそうだな。よし!頑張るか!」

「おう!」

花火は断続的に打ち上げられており、待ち時間が結構あった。

「そういえば、君はどうやってこの花火大会に来たんだい?」

「タクシーに乗りました」

「ああ……なるほどね」

「電車も混んでるだろうし、タクシーの方が早いかなって思って」

「確かにそうだよね。でも、タクシー代高かったんじゃないのかい? 君、お金持ってたっけ?」

「あー……それは大丈夫ですよ。あなたに借りたので」

「え!? なんで!?」

「だって、いつも奢ってくれますから」

「そっか……じゃなくて!ちょっと待ってよ!」

「はい?」

「そんな話聞いてないんだけど!?」

「あれ? 言ってませんでしたっけ?」

「聞いてません!!」

「まあまあ、いいじゃないですか」

「よくありません!! いつの間に……」

「ほら、私のこと好きみたいだし」

「なッ……!?」

「だから、お礼も兼ねてってことです」

「ぐぬぬぬ……」

「それにしても、綺麗ですね~」

「うわぁ……すごい迫力だねぇ」

「はい。とても感動します」

「うん。本当に凄いなぁ……」

「あの……さっきから私ばっかり見てませんか?」

「ごめん……。つい見惚れちゃったんだよ……」

「もう……仕方のない人ですねぇ」

「でも、こんなに近くで見られるなんて思わなかったよ」

「ふふん。そうでしょうとも」

「来年もまた一緒に行きたいなぁ……」

「……はい」

「ん?何か言ったかい?」

「いえ、何も言ってませんけど?」

「そうかな?……気のせいだったのか」

(まったく……)

「ところで、今日は何時まで起きていられるんですか?」

「うーんと……日付が変わる前には寝ようと思ってるよ」

「わかりました。では、それまで楽しみましょうね」

「うん」

それからしばらくして花火が終わった。

「終わったね」

「終わりましたね」

「終わっちゃいましたね」

「終わってしまいましたね」

「……」

「……」

「帰ろうか」

「帰りましょう」

「また明日会えるといいね」

「きっと会いに行きますよ」

「うん。僕も行くつもりだよ」

「それなら安心しました」

「心配性だね」

「当たり前のことです。大切な人のことは何よりも大切にしたいのですから」

「ありがとう。嬉しいよ」

「こちらこそ。ありがとうございます」

「よし!帰るとするか!」

「はい!」

二人で帰宅した。


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