私は好きな人がいました
「私は好きな人がいました。でも……」
「でも……?」
彼女は真剣な眼差しで私の話を聞いていた。
「でも、その人とはもう二度と会うことができないんです……」
「そうですか……」
彼女は私の手を握ってきた。
「あなたは辛くないんですか?」
「辛いですけど、仕方がないことだから……」
「そうですか……」
彼女は寂しそうに言った。
「あなたは強いですね……」
「そんなことはありません……」
私は首を横に振った。
「あなたは、これから先も生きていけますよね……」
彼女は私の目を真っ直ぐに見据えて言った。
「はい」
私は力強く肯いて言った。
「それを聞いて安心しました。私はあなたのことが心配だったんですよ……」
彼女は優しく微笑みかけてくれた。
「ありがとうございます。私は大丈夫ですよ。私よりも、彼女の方がずっと苦しんでいるはずなので……」
私は彼女の優しさに感謝した。
「その方は今どこにいらっしゃるんですか?」
「分かりません。多分、天国にいると思います。彼女にとって一番幸せな場所だといいなって、思います。そこは、とても綺麗で素敵な場所です。空気が澄んでいます。空はとても青くて、太陽が眩しいほど輝いているのです。花畑があって、色とりどりの花が咲いています。小鳥たちが歌を歌って、蝶々が舞っている。そんな場所です。そこで彼女と再会できたらいいなと思っています。いつか、彼女と会える日が来ると信じたい。それが、私の願いです」
「会えますよ。絶対に会えます。私が保証します。だって、その方が望めば、いつでも会えますからね。その方も、あなたに会いたがってるんじゃないでしょうか? その方の分まで、あなたは生き続けなければなりません。その方に恥ずかしくないように生きてください。その方は、ずっと見守ってくれているはずですから……」
彼女は私に語りかけた。まるで自分の子供に対して言うような口調だった。
「はい……」
私は泣きながら答えた。
「さあ、行きましょう」
彼女は私に向かって手を差し伸べてきた。
「どこへ行けばいいのか分からないんです……」
「じゃあ、一緒に探しに行きましょう」
彼女は私の手を引いて、歩き出した。
「はいっ!」
私は彼女の後についていった。
「あなたの名前は何というんですか?」
「私は……」
私は彼女と一緒に旅をすることにした。
「私の名前は、美緒と言います。よろしくお願いします」
「こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します」
私は彼女にお辞儀をした。
「あの……」
「どうされましたか?」
「あなたの名前を教えていただけませんか?」
「私の名前ですか? 私は……」
私は彼女に名前を告げた。
「そうですか。いい名前ですね。私、その名前好きになりました」
「本当ですか? 嬉しいです……」
私は照れながら言った。
「私は精一杯生きていこうって思ってるんです。そして、私と同じように生きている人たちのために何かできることはないかなって考えてるんです。私、今まで何もできなかったので……。だから、今度は私にできることを探していきたいって思うんです。私、自分に自信がないんです。私って、本当に駄目な人間だと思うんです。でも、私にできることって、きっとあると思うんです。私は、自分にしかできないことを探し出して、それを一生懸命にやっていきます。きっと、それは誰かの役に立つことだと、私は信じてるんです」
「そうですか。素晴らしい考えですね。あなたならきっと、できますよ。応援しています」
「ありがとうございます。私、あなたに出逢えて良かった。あなたのおかげで、元気が出てきました。お互いに、自分らしく生きていけたら、それで幸せだと思います。私、あなたみたいになりたいです。私も、私も、あなたみたいな優しい人になれれば、どんなに素敵だろうと思います」




