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林田力 短編小説集  作者: 林田力
短編
6/103

疑問

「どうしたんだ?」

「あのさ、その前に少し話をさせてくれないかな?」

「話? 別に構わないけど」

「ありがと。実は俺には昔付き合っていた人がいたんだけどさ、その人はある日突然居なくなってしまったんだよ。それ以来ずっと会っていないし連絡もない。だから俺は今でも彼女が忘れられなくて辛い思いをしていたんだ。そんな時に出会ったのが君達なんだよね」

「…………」

彼女は黙って聞いてくれている。

「それでね、彼女に会いたいなって思った時に、ふと思った事があるんだ。それはもし彼女と再会できたら何をしたいのかっていうことなんだよね。最初はただ会いたかっただけだった。だけど今は違う。俺は彼女の笑顔を見たいし声を聞きたい。一緒にご飯を食べたり買い物をしたり映画を見に行ったり旅行したり遊園地や水族館にも行きたい。他にも色々やりたい事が沢山あるんだ。そういう事を彼女にお願いしたら迷惑になるかもしれない。嫌な顔をされるかもしれない。でもそれでもやっぱり諦めきれないんだ」

そこで言葉を止める。これ以上言うと止まらないからだ。

「分かったわ。もう言わなくても大丈夫よ」

「そっか。良かった。分かってくれたみたいで嬉しいよ」

「ううん、まだ分からない事もあるけれどね。例えば貴方はその人と付き合いたいと思っているわけじゃないんでしょ?」

「うん、そうだね。恋人になりたいとか結婚して欲しいとは思わないよ。もちろん結婚したいと思う人もいるけどね。でも一番大切な事は、また以前のように仲良くなりたいということだと思ってる」

「なるほどねぇ」

「でも、それが叶わない願いだという事も分かっているつもりだよ。だからこそせめて思い出だけでも大切にしようと思っていたんだ。でも昨日は本当に楽しかった。久しぶりにあんなに楽しい時間を過ごしたよ。今までで一番幸せな気分になれた。ありがとう」「いえ、こちらこそ。おかげで良いものを見せてもらったわ」

「えっと、それじゃあそろそろ良いかな?」

「はい。ごめんなさい。引き留めちゃって」

「いやいや全然気にしないで。それじゃあ行ってくるよ」

「行ってらっしゃーい」

外に出て鍵をかける。そのままアパートに向かって歩き出した。

「ふぅ。まさかこんな展開になるとはなぁ」

予想外だった。まさか告白されるとまでは思ってなかったな。

「まあでも悪い気はしなかったな。むしろ嬉しかったかも」

それにしても、まさかあの子達が元カノさんと知り合いだったなんて思いも寄らなかった。世の中は狭いというか何と言うか。まあでもこれで一つ謎が解けたな。どうして彼女がここに引っ越してきたのか。多分あれは偶然なんかじゃなく必然的なものだったんだろう。

「しかし一体どういう関係なんだろうな。あの二人」

少なくとも友達ではないだろう。それどころか知り合いですらなさそうだ。そもそも名前すら知らないと言っていたし。

「もしかすると親戚なのかもな。もしくは遠い親戚とかな」

でもそうなると今度は別の疑問が出てくる。何故わざわざ同じ時期にこの部屋を借りたんだろうか。


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