表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
林田力 短編小説集  作者: 林田力
林田港
59/103

私は自分が許せなかった

私は自分が許せなかった。私は彼女に会えなくなってから、ずっと考えていた。そして、ある結論に達した。そうだ……、私も死ねばよかったんだ……。私も彼女と同じように自殺をしよう。それが一番、彼女のためになるはずだ。


私は死ぬことにした。私はマンションの一室で、包丁を手に持って立っていた。これで、やっと彼女と同じになれるのだ。私は安堵していた。これで、ようやく彼女に会うことができる。私は深呼吸をした。そして自分の胸に向かって刃を突き刺そうとした。だが、その直前で、手が止まった。私は躊躇していた。私は怖かった……。


私は死にたくはなかった。私は生き続けたかった。私は生きたかった……。私は生きるために、今まで必死に努力してきた。私は自分なりに精一杯、頑張ってきたつもりだ。しかし、それでも私は無力だった。私は無力だ……。私は自分を責めていた。


私は無力だ……。私は自分に問いかけるかのように言った。

私は無力だ……。私は自分自身を嘲笑うように言った。

私は無力だ……。私は何度も繰り返した。

私は無力だ……。私は声を張り上げて叫んだ。

私は無力だ……。私は涙を流しながら、その場に崩れ落ちた。

私は一体、どうすればいいのだろう? 私はどうしたらよかったのだろう? 私はどうするべきだったのだろうか? 私には分からない……。私は頭を抱えて、考え込んだ。


その時、玄関のチャイムの音が鳴った。私はビクッとして顔を上げた。こんな時間に誰だろうか? 私は恐る恐るドアスコープのところまで行って、外の様子を窺ってみた。そこには一人の女性が立っていた。女性はスーツを着ていた。年齢は二十代後半くらいに見える。


彼女は私の顔を見ると、微笑んで手を振ってきた。私は慌てて、部屋の中に引っ込んでしまった。彼女はしばらく、そこに佇んでいた。私は彼女が立ち去るのを待って、外に出ることにした。私はゆっくりと、慎重に外に出た。彼女はまだ、その場に留まっていた。私はホッと息をつくと、彼女に話しかけた。

「あの……」

「こんにちは」

彼女は笑顔で挨拶してくれた。

「こ、こんにちは……」

私は緊張しながら、返事をした。

彼女は私のことを見つめると、悲しそうな表情になった。

「あなたは、どうして泣いているんですか?」

「えっ?」

私は驚いて、頬に手を当ててみた。確かに涙が流れていた。私は驚いていた。どうして、私は泣いているんだろうか?

「私にも話してくれませんか?」

「えっと……」

私は戸惑っていた。どうして、この人は初対面なのに、私なんかのことを気にかけてくれるんだろう? それに、どうして私はこの人の前だと、素直に話すことができてしまうのだろう?

「実は……」

私は彼女に全てを話すことに決めた。この人になら、話してもいいと思った。この人には、きっと分かってもらえると思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ