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林田力 短編小説集  作者: 林田力
オムニバス
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息子との料理教室

ある日のこと、オーキャラは王宮に招かれた。そこには王女の姿があった。彼女は元気そうな様子であった。

「久しぶりですね。お元気で何よりです」

「はい! あなたのおかげですよ」

「それは良かった。ところで、今日は何用でしょうか?」

「実は相談したいことがありまして……」

王女の話によると、最近になって息子が勉強嫌いになってしまったらしい。それで困っているそうだ。

「なるほど……。そういうことなら任せて下さい」

オーキャラは早速息子の部屋に向かった。彼はベッドの上で寝転んでいた。

「やあ、こんにちわ」

「誰だよお前?……って、まさか!?」

「うん。君の父さんだよ」

「父さんだって!? 本当か!!」

シンヤは父に会うことができた喜びを感じていた。一方、父は少し複雑な気持ちを抱いていた。というのも、自分が死んだことになっているため、シンヤにとって自分は初対面の存在になっているのだ。

「ああ。本当に父さんだぞ」

「そっか……。会いたかったぜ!」

シンヤは嬉しさのあまり泣き出してしまった。すると、母も部屋に入ってきた。

「あらら……。どうしたのかな?」

母は優しく声をかけた。

「何でもないんだ……。ただ、嬉しいだけなんだ……」

「そうだったのね……。よかったわね」

母はシンヤを抱き締めてあげた。その様子を見て、オーキャラは微笑ましいと思った。しばらくして落ち着いた後、シンヤはある疑問を抱いた。

「そういえば、どうして俺に会いに来たの?」

「それはな……。ちょっと頼みたいことがあるからなんだ」

「えっ、どういうことだ?」

「実はだな……。料理を教えて欲しいんだ」

「料理を?別にいいけど、なんで急に?」

「まあまあ……。詳しいことは話せないんだけど、とにかく教えてくれないか?」

「分かったよ。でも、ちゃんと約束してくれないとダメだぜ」

「もちろんだとも。約束する」

こうして料理教室が始まった。最初は不安だったが、意外にも飲み込みが良く、すぐに覚えることができた。更に、新しい料理を作ることもあった。

「今日はここまでにしておきましょう」

「ありがとうございました」

「うむ。また明日会おう」

オーキャラはそう言うと帰って行った。

(料理を教わるというのは楽しいものだな)

オーキャラは満足していた。そして翌日になり、再びシンヤの部屋を訪れた。しかし、そこにいたのは別人だった。

「あれれ?君は誰だい?」

「僕はシンヤですよ」

「へぇー……。じゃあ、昨日会った人はどこにいるんですかね?」

「さぁ?知りませんよ」

「ふぅん……。嘘ついてるんじゃないだろうね?」

「そんなわけないじゃないですか!失礼ですね!!」

「おっかしいな……。確かにここに来たはずなのに……」

オーキャラは首を傾げていた。その様子に苛立ちを覚えたのか、シンヤは不機嫌になっていた。

「もう帰ってくれ!!あんたなんか大嫌だ!!」

「あっ、おい待て!!」

オーキャラは慌てて追いかけたが、既に姿はなかった。結局、シンヤを見つけることはできなかった。その後、彼は王宮の人達に尋ね回ったが、誰も彼のことを知らなかった。


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