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林田力 短編小説集  作者: 林田力
短編
16/103

銃撃戦

「ねぇ、知ってたかい。この世界は誰かが作った箱庭だってこと」

突然、目の前にいる男がそんなことを言ってきた。俺は眉をひそめながら男の顔を見る。

「いきなり何を言ってるんですか。ここは現実ですよ」

「いやいや、違うって。この世界は作られた物なんだよ。つまり、ゲームみたいなものってことだ」

男は楽しそうに笑い出した。

「そんな馬鹿な事があるはずがないでしょう。大体、この世界に来れただけでも奇跡なのに、その上、ゲームの中に入れるなんて信じられないです。きっと夢を見ているんですよ、俺達は。早く目を覚まさないと」

「いやいや、これが本当の出来事なんだよ。ほら、ここに証拠があるだろう。この世界はプログラムで動いているんだ。この世界のどこかには、本物の人間がいるはずだよ。そして、僕らはその人達に会う為にここまで来たんじゃないか。忘れちゃったのかい?」

そう言われても全く実感がわかない。そもそも、本当にここがゲームの中なのかすら怪しいものだ。でも、もし男の言うことが本当だったとしたら、一体誰がそんな事をするんだろう。そんな事を考えていると、急に大きな音が聞こえてきた。

「うわっ!?」

思わず声が出てしまう。音の正体は銃声で、その方向を見ると、そこには大勢の人がいた。彼らはこちらに向かって走ってくる。

「おい、逃げるぞ」

「えっ、あっ、はい」

訳が分からないまま走り出す。

「こっちだ」

「はい」

「よし、このまま真っ直ぐ行けば外に出れる」

「分かりました」

そのまま暫く走っていると、前方に光が見えた。出口だ。

「もう大丈夫だな」

「はい」

「いやー、危なかったぜ。まさかあんな所に隠れていたとはな。もう少し遅かったら見つかっていたかもしれない」

「そうですね」

確かに、あの場所には誰もいなかった。隠れられそうな場所もなかった。あれが偶然とは思えない。

「しかし、驚いたよ。いきなり銃撃戦が始まるんだからさ。しかも、結構リアルなんだもんな。まるで本物みたいだ。もしかしたら、本当に俺たちはゲームの中に入ったのかもしれんな。まぁ、そんな事はありえないけどさ。はははははははは!」

「はは……はははははは……」

乾いた笑みを浮かべることしか出来なかった。


「さて、これで僕の話は終わりだよ。どうだい、面白かったかい?」

「ああ、とても興味深い話だったよ。ところで、どうして君はそんな話をしてくれたのかな?」

「それは、君にお願いを聞いて貰おうと思ってね。僕からのささやかなプレゼントだよ」

「なるほどね。でも、どうしてその話をしたのかな。別に僕に話す必要はなかったんじゃないのかな」

「ふふ、確かにそうだね。でも、君なら分かってくれると思ったんだよ。それに、この話が本当かどうか確かめたかったしね」

「へぇ~、それはどういう意味かな」

「言葉の通りの意味だよ。僕は君の事をよく知っているからね。そして、だからこそ、この話の真偽を確かめる必要があったんだ。だから、僕はあえて嘘をつくことにした。君の反応を見て、それが本当か確認しようと思ったんだ」

「へぇ~、それはそれは。なかなか面白い考えじゃないか。それで、どうだった?」

「ふふ、もちろん、君の言った通りだったよ。いや~、凄いな!よくそこまで調べ上げたもんだ。正直、感心してしまったよ」

「ふふ、ありがとう。褒めてくれて嬉しいよ」

「それで、僕の願いは聞いてもらえるのか?」

「まぁ、とりあえず約束通り君のお願いを聞く事にしようかな。僕は君の物語が好きだし、それに君は僕に会わせてくれた恩もあるしね」


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