表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
林田力 短編小説集  作者: 林田力
短編
10/103

タイムスリップ

二人は手を繋いだ。すると、再び時空が歪んだ。そして……

「うわっ!!」

「きゃっ!?」

二人の目の前には中年の人物がいた。

「あっ!父上!」

「えっ!? 左門!?」

隠岐守は驚いた顔で息子を見た。

「うわっ! 本当に左門だ!」

「初めまして、林田力と申します。よろしくお願いします」

「こりゃどうも。某は林田隠岐守と申します」

「ところで左門、どうしてここにいるんだ?」

「実はですね……」

左門は事情を説明した。

「なるほど。そういうことだったのか」

「はい」

「しかし、よくワームホールが開いたものだ」

「あの、もしかすると、この世界ではタイムスリップができるのでしょうか?」

「いや、普通はできないはずだ」

「でも、実際にこうして来てしまったわけですし……」

「それは確かにその通りだ。おそらく、何か原因があるはずだろう」

「その原因とは一体何なのでしょう?」

左門は首を傾げた。

「実は私にも見当がつかないのだ」

「そうですか」

「ということは、やはり原因は不明ということになりそうだな」

「そうかもしれませんね」

「うーん、困ったなぁ」

「まあ、いいではありませんか」

「えっ?」

「左門の言うように、あまり気にする必要はないということですよ」

「そうかな?」

「はい」

「うん、分かった。左門の言葉を信じることにしよう」

「ありがとうございます」

左門は頭を下げた。

「いや、礼を言うのはこちらだよ」

「そうですか?」

左門は首を傾げた。

「そうですか?」

左門は首を傾げた。

「ああ、そうだとも」


「力殿はこの時代について詳しいようだね」

「いえ、それほどでもないと思います」

「そうなのか?」

「はい」

「それにしても、まさか左門が未来から来た子だとは思わなかったよ」

「はい、私も驚きました」

「まあ、未来の技術があれば、そんなことも可能になるかもしれないけど」

隠岐守は顎に手を当てながら言った。

「うーむ、そうかも知れぬな」


「もし、よろしければ、左門君にいろいろ聞きたいことがあるのですが」

「はい、いいですよ」

「まずは、国のことについて聞かせてくれないか?」

隠岐守は尋ねた。

「分かりました」

左門は歴史の授業をするかのように語り始めた。

「今、我が国はフォーラーと呼ばれています」

「フォーラー? それが国名かい?」

隠岐守は不思議そうな顔をして聞いた。

「ええ、そうです」

「変わった名前だねぇ」

「ええ、僕もそう思いますよ」

「なるほど。それじゃあ、全部でいくつの国があるんだい?」

「はい。現在、八つの国があります」

「へぇ~、結構少ないんだね」

「ええ、そうですね」

「その国々はどこも仲が良いのかね?」

「いえ、そういうわけでもありません。特に大陸の方では、しばしば戦争が起こっております」

「ほう、そうなのか。それで、その戦争で勝ったり負けたりしたらどうなっているんだい?」

「はい。基本的には、領土を広げた方が勝ちになります」

「そうか。それは大変だな」

「ええ、本当に大変なんです」

左門は大きくため息をついた。


「ふむ。左門君の時代にもワームホールは存在するのですか」

「はい。僕の時代では、ワームホールの研究が進んでいて、タイムマシンを作ることもできるんですよ」

「ほほう! すごいじゃないか!」

隠岐守は目を輝かせた。

「はい。でも、まだ実用化はされていません」

「そうか。残念だなぁ。でも、いずれできるといいね」

「そうですね。僕もそう思っています」

「ところで左門君はタイムスリップをして何をするつもりなんだい?」

「それは、この時代について詳しく知りたいです。しかし、僕がいた時代では実はワームホールを使って過去に行くことが禁止されています」

「禁止?」

隠岐守は驚いた表情を見せた。

「ええ、過去に干渉することは許されないことなのです」

「ふむ、なるほどね」

隠岐守は腕組みをしながら考え込んだ。

「しかし、それを分かっていながらも、左門君はこの時代に来てしまったということだね?」

「はい、そうです」

「ふむ、困ったなぁ」

隠岐守は再び顎に手を当てた。

「まあ、仕方がないですよ」

左門は苦笑しながら言った。

「うーん、そうだなぁ。まあ、確かに左門の言う通りかもしれないな」

隠岐守は渋々納得することにしたようだ。

「ありがとうございます」

左門は頭を下げた。

「いやいや、礼を言うのは私の方だよ」

「え?」

「左門のおかげで、とても楽しい時間を過ごせたからな」

「そう言ってもらえると嬉しいですよ」


隠岐守は大きく何度もうなずいた。そして、何かを思い出したように話し始めた。

「そういえば、左門に一つ聞きたいことがあったんだよ」

「何でしょうか?」

「左門の時代のことについてだよ」

「はい、いいですよ」


「ありがとう。最初に力殿の時代では、どんなものが流行っているんだい?」

「流行っているもの? そうですね……、例えば、スマートフォンとかタブレット端末なんかが人気ですね」

「すまあとおぶたっど?」

隠岐守は不思議そうな顔をした。

「はい、簡単に言えば、遠くにいる人と会話をしたり、調べものをしたり、音楽を聴いたりすることができる機械のことです」

「へぇー、そんな便利なものがあるんだねぇ」

隠岐守は感心するように言った。

「まあ、便利と言えば便利ですね」

「そうなんだ。他には?」

「そうですねぇ。パソコンやテレビゲームもあります」

「ほう、そうなんだ」

「ええ、そうです」

「ふむ。なるほどねぇ。ちなみに、その二つは何が違うのかな?」

「はい。まず、パソコンはキーボードと呼ばれる文字を入力する装置があって、そこに指を走らせることで操作します。一方、テレビゲームは、コントローラーと呼ばれるものを使います。どちらもコンピュータですが、操作方法が異なります」

「なるほどねぇ。その二つの違いというのはよく分かったよ。それで、その二つはどちらの方が優れているんだい?」

「ええっと、一概には言えませんが、パソコンの方が進んでいます」

「ふむ、そうなんだね。それじゃあ、その二種類以外の物はどうなんだい?」

「そうですね……。携帯電話は、電話の機能とメール機能を持っているので、とても便利です。それに、インターネットにも接続できますし」

「ほほう! それはすごいなぁ!」

隠岐守は興奮気味に身を乗り出した。

「それで、その携帯電話というものも、左門君の時代にもあるだよね?」

「ええ、ありましたよ」

「そうか。ということは、力殿の時代には、交通手段はどうなっているのだい?」

「色々あります。たとえば、飛行機もありますし、電車もあります」

「ほう! それはすごいなぁ!」

隠岐守は目を輝かせた。

「それで、その乗り物はどういう仕組みになっているんだい?」

「えーっとですね……」

林田力は説明を始めた。隠岐守は熱心に耳を傾けていた。そして説明が終わると、隠岐守は大きな声で言った。

「ほほう! すごいなぁ!」

隠岐守は感嘆の声を上げた。

「なるほど、なるほど。左門君の時代にも、そういった技術があるんだね」

「はい。でも、僕がいた時代では、それらの技術を軍事目的で使うことは禁止されていました」

「ふーむ。なぜだろうね」

隠岐守は腕組みをした。

「おそらく、平和を維持するためでしょう」

左門は答えた。

「ふむ。そういうことか。しかし、それでも、少しくらいは使ってもいいんじゃないかと思うんだけどね」

隠岐守は不満げな表情を見せた。

「まあ、そうかもしれませんが、僕がいた時代では、そういう決まりだったんですよ」

「そうかぁ。それは残念だなぁ」

隠岐守はため息をついた。

「まあ、仕方がないですよ」

左門は苦笑した。


「貴重な話を聞かせてくれて、本当に感謝しているよ」

隠岐守は深々と頭を下げた。

「いえ、そんなことありませんよ」

林田力は慌てて手を振った。

「頭を上げてください」

「ありがとう」

隠岐守は頭を上げると、微笑んだ。

「では、そろそろ失礼しますね」

「ん? もう帰るのかい?」

隠岐守は意外そうな顔をした。

「はい。あまり長居しても悪いですから」

「ふむ。それもそうだねぇ。まあ、またいつでも来なさい」

「分かりました。それじゃ、今日はこれで帰ります」

「分かったよ。気をつけて帰ってね」

「はい、ありがとうございます」

林田力は立ち上がると一礼し、部屋を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ