2/12(土) 4
開いて下さりありがとうございます。
誤字や間違いがあったら教えていただけると嬉しいです。
江口さや:ヒロインで百合。
クラリネット後輩:恋人(?)黒髪ロング宝塚系イケメン美少女。
岡村みなみ:さやの幼馴染
こころ、杉山:さやの親友
杉山視点
江口から預かったレシートをこころと岡村に渡して、そのまま奥の席に着く。戦場からうまく離脱できたみたいだ。岡村は基本無表情だが、どす黒いオーラが漂っている。確かに幼馴染の色恋沙汰に巻き込まれたら機嫌も悪くなるか。
そして、クラリネット後輩の話に入るとさらに暗黒オーラになった。
「私は先輩と5日の9:15分に駅に集合しました。一緒に電車で隣町に行き、10:00から12:00まで練習を先輩としました。そのあとサイゼに行ってミラノ風ドリアを頂き、その後一緒に楽器屋さんに行きました。リードを選ぶのに付き合ってもらって。それで、おそろいのストラップを買いました。2/6の夜には、その。一緒にお散歩したり、先輩のおうちにお邪魔しました。」
「私は2/6の夜、先輩と……。家族が旅行に行っているから泊まりに来ないかと先輩に誘っていただいたんです。夜21:00頃に伺ったので、私もその……。そういうつもりだったので、お風呂を済ませたのですが。呼び鈴をおすのに、すごい勇気が必要で。震えながら押しました。」
岡村、般若のような形相。無表情キャラどこ行った。
「私の髪が濡れていたので、先輩はタオルをもって玄関でお出迎えしてくれて。手を引いておうちに入れてくれました。そのあと、
暖かい先輩のお部屋で抱き合って。こんなに楽しく幸せな時間を過ごしていたんですよ?
忘れてしまったのは仕方がないにしても、少し、いや。とっても寂しいです。」
切なげにさやを見つめるクラリネット後輩。普段きりっとした彼女が目を潤ませる様子にはきゅんと来てしまう。
ここで童貞全開で赤面死していたオカ研が立ち上がる。
「クラリネットさん。隣町のイタリアレストランって「カーザミーヤ」?ピザがおいしいと評判のところでしたか?」
「ええ。」
「そこのリストランテ、毎週月曜日は定休日です。本当に彼女と付き合っていたのですか?」
え、嘘なの?ここまで詳細に話しておきながら?うそでしょ?ウソ泣きなの??女こわー。岡村ももはや怒髪冠を衝いちゃってるよ。ゴン様一歩手前だよ。怖すぎるわここ。
「付き合っていました。先輩はピザを着るのがすごく下手で切り口が変なカーブになってしまうんです。いろんな種類のピザを食べたくって、店員さんにクオーターにできないのか駄々をこねていました。」
岡村
「さやは不器用で基本我儘だから。それを顔の良さでごまかそうとする。でも、きちんとクオーターにしようとしたところは成長したと思う。」
……。まさかの見方からの攻撃。確定じゃないか。
とどめと言わんばかりにクラリネット後輩はポケットから何かを取り出した。
「先輩。これ覚えていませんか?唇が切れたときに先輩がくれたリップクリームです。」
ひょっとして、レシートに記載されてたミルク風味のリップクリーム?!
え、唇を私の好きな味にしといて?いっぱいキスしたげるね♡」みたいな?ひくわー。その思考回路ひくわー。めちゃめちゃむっつりじゃん。
その後、クラリネット後輩は、江口に頼まれたらしいバレンタイチョコレートを机に置いて去って行った。
これは決まったんじゃないか?ってあれ?オカ研がまだ残っていやがる。
あれ、江口がこっちに向かっってきたと思ったら……。トイレに逃げた。戦略的撤退だ!!
☆
5分後。彼女の中で譜が完成したようだ。奥村を引き連れ、オカ研の前に立った。
「私、今神からのお告げをトイレで受け取ったわ。オカ研は前世の許嫁だったでしょ?でもこの新しい人生では私のパートナーは別にいるらしいの。それがこちらよ。確かにオカ研の顔はタイプよ。とってもかっこいいわ。でも、絶望的に価値観が合わないと思うの。これはきっと、来世で巡り合うべきだという神からの意思だわ。だからこそ、今回の世ではこいつを最上級に愛そうと思うわ!私の演奏に合わせられるのはこのオーボエしかないの!!」
あ、岡村の顔が緩んだ。
「そうだね。さやと合わせられる人間なんて希少種だもんね。幼馴染にしかできないよ。」
デレた。あの鉄仮面岡村が満面の笑みだ。そうだな。二人の演奏はとても美しいもんな。よかったな。あれ、なんだろう……。前がかすんで見えないや……。
「お話は分かりました。神の碁石ならばしかたがありません。これもまた試練として受け入れましょう。ただ……。」
「ただ?」
「最後に僕が諦められるよう、誓いのキスをここで見せていくれませんか?」
ぶっふぁwwwwwwwwwwなんだこの急展開wwwwwwwwwwww
俺とこころは爆笑した。
ガッ!ブチュー!!
江口に遠慮とか情緒とか、そういう言葉はなかった。
オカ研は納得したのかそそくさと退出。岡村はその場で石化し、全く動かなくなってしまった。
「ふふふ。本当にキスすると思った?いやだなあ。この私があなたにキスするわけないじゃない!だってみいみ、ファーストキスでしょ?さすがにこんな所で大事な幼馴染のはじめては奪えないかなー。
あ、もしかして、私みたいな美少女とキスしたかった?
この先することないかもしれないもんね!あ~あ~。千載一遇のチャンスだったのにねえ。」
「……。」
岡村、全速力で逃走。
「え、みいみ?!どうしたの??!!ごめん!!言い過ぎました!!!調子に乗り過ぎました!!!待ってー!!!!」
それを追いかける江口。いや、お前は本命彼氏(彼女?)を追いかけろよ。
☆
とりあえず、1件落着と。俺は帰路に着こうと、あいつらの置いていったトレーを片付け、席を立とうとしたところをこころに止められる。
「待って杉山。私、一つ引っかかっていることがあるの。まず、何でクラリネット後輩の着信履歴やトーク履歴がないか。」
「それは部活で毎日会っていたからだろ?」
「うーん。それでもなんか少し不自然なんだよね。例えば家に遊びに行くとき。一報入れるもんじゃないかしら。あと5分で着きますよーとか。それに、もしクラリネット後輩が恋人ってわかっているなら、「彼氏候補」じゃなくて「恋人候補」っていうんじゃないかな。
加えて最後に。クラリネット後輩は黒髪のロングヘア―のはずよね。今の季節は冬。しかも夜に髪が湿ったままの状態で外に出るかしら。髪が濡れているなんてもんじゃなく、霜がついたり、冷え切っているだろうから玄関でイチャイチャしている場合じゃないと思うんだけど。」
「え?じゃあなんでクラリネット後輩は、ここまで詳細に語れたんだ?」
まさかのストーカーだった!!




