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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

アンデッドの門番は今日も平和です

作者: ブリツナ缶

 かつて大陸一の王族が住んでいたとされるウィンザ城。

 他の国々を制圧し、大陸を統一した王族が建造したとされている。

 しかしそれは500年も前のこと。

 今はその見る影もなく、廃墟みたいな見た目になっていた。

 所々、崩壊している箇所が多く、堀の水も苔が生え汚い。

 気味悪い空気が漂い、年中暗い雲が多いかぶり太陽の光は届くことはない。

 人間が住むにはとても無理難題である。


 だがこの場所を好むのも少なからず存在する。

 アンデッドだ。奴らは基本的に暗い場所を好み、太陽の光を苦手とする。

 つまりこの城はアンデッドにとっては最高に適した住処である。


 現在はアンデッドの王、ワイトキングが王座につき日々城の管理を統一している。

 そして部下も勿論アンデッドであり城を守るために日々精進しているのだ。

 がいこつA「ウィッス」

 がいこつB「お疲れっす」


 彼ら……というか二体は門番である。

 二人はほぼ同時にアンデッド化し、話も会うため中のいい同僚だ。


 がいこつA「お前一か月前勇者に首の骨切られたって? 大丈夫だったか?」


 がいこつB「そうなんだよ。勇者の野郎俺の首切りやがって。環椎やられると頭くっつけるの大変なんだよ。次合ったら覚えてろ」


 がいこつA「でも俺らは首切られても死ぬことはないけどね」


 がいこつB「てか俺ら死んでるやん」


 がいこつA「まあねー」


 がいこつAB「「アッハッハッハ!!」」


 どうやら彼らはアンデッドジョークでも盛り上がっている。うん、つまらない。


 がいこつB「でもどうせならもっとカッコイイ姿で復活したかったけど」


 がいこつA「例えば?」


 がいこつB「デュラハンとかな」


 がいこつA「確かにかっこいいよな。騎士団を形成してるし。聞いた話だと今度魔王軍として人間に侵攻する時のキーパーソンとして働くんだとか。頭片手で持ってるけど」


 がいこつB「でも確か生前偉大をなした冒険者や騎士団のエリートがなるんだろ。俺らには無理じゃね?」


 デュラハンは首がなく頭を片手に持つ騎士のアンデッド。上位種になると馬に乗っていることが多く、魔王軍の中には将軍にもなっている個体もある。

 生前が大体騎士かごくたまに冒険者がなることもある。騎士の場合はエリートや実績がある者がなりやすく、聖騎士、暗黒騎士問わない。

ウィンザ城では騎士団を結成しており侵攻から防衛まで戦闘においてはなんでもこなすアンデッド最強クラスの存在である。

 また、ワイトキングからの信頼が厚くデュラハン達自身も忠誠心が高い。


 がいこつA「まあな。俺なんて生前も門番だった」


 がいこつB「生前も門番だったのかお前。さぞつまらない人生だったろうな」


 がいこつA「うっせーやい。話戻すけどあれは? レイスソード」


 がいこつB「あれも生前が確か冒険者やエリート剣士じゃないとなれないだろ」


 レイスソードは幽霊のアンデッドで体の実体がなくマントと剣しか見えない。大半は生前に冒険者を行っていた人がなりやすく、特に剣使いはなりやすいとされている。中には剣に魔法を施して戦う個体もあり並みの冒険者なら歯が立たない。透明なので奇襲して襲うことも出来るが常にフェアな勝負を好むので絶対に行わない。相手を死に至らしめる事は行わず見逃す、自分が負けた場合は使っていた剣を相手に託すこともする。


 がいこつB「でもあいつら案外モテたりするのよ」


 がいこつA「えっマジ?マントと剣取ったら何も見ないだろ」


 がいこつB「雰囲気イケメンってやつよ。生前が冒険者とかだから気配りとか優しい奴、あとは結構仲間を大事にしてるやつが多いのよ。あと戦闘だろうと遊びだろうと常にフェアを求めるからな。潔さがあるもあるし」


 がいこつA「あーそれ男でも惚れる奴だわ。気配り上手って合コンとかいったら注目されるわな」


 するとがいこつAが少し考えこみこんなことを言い出した。


 がいこつA「まあでもさ、ゾンビやグールよりかはいいかもな」


 がいこつB「それは確かに。中途半端に腐敗してるから外見は気持ち悪いし結構臭いし」


 がいこつA「そもそもあいつらの違いって何なの?見た目一緒じゃん」


 がいこつB「お前それ本人達に言うなよ。前に言った同僚の亡霊魔導士がグールにボコボコにされて全治4ヶ月のケガしたんだぜ。まあ俺も知らないけどね」


 亡霊魔導士は生前に魔法を使っていた魔導士や魔法使いがなりやすいアンデッド。ローブを着ており腐った体や骨は魔法を使い再生し青白い肌を肌を除けば人間に近い見た目をしている。闇魔法や攻撃魔法が得意な個体が多いが回復やバフやデバフを得意な個体も多く中々あなどれない。中には人間に友好に接したり交流を行う個体も多く、冒険者や勇者に助言や魔法を教えたりする個体も多いる。だが生前が魔法を悪事を使う物は大体命を狙って来る。


 ゾンビは体が腐っている状態で呪術や何かしらの魔法で蘇った個体であり、日頃から生きている個体を捕食するために動いているアンデッドだが意思疎通ができない個体がほとんどで大体がそこらへんを徘徊している。

 一方グールは悪霊が死体に取り付くが知識が高く、中には会話が普通にできたりする。魔法や武器を使用する個体もおりデュラハン程ではないが中々の強さを持っている。


 だが見た目が結構似ているので知らない冒険者や勇者が中には一緒の個体に扱われていることもある。ちなみに他のアンデッドでもあまり違いが知られていなく、亡霊魔導士のように扱い方によってはひどい目に合う。

 そんな雑談しているうちに今度は生前にやり残した話をし始めた。


 がいこつA「俺さ、結婚したかったんだ。いいお嫁さん見つけて子供作って末永く幸せに暮らして」


 しみじみと顔を上げながら話すがいこつA。彼は生前ずっと門番として城を日夜守っていた真面目な人間だった。常に真面目に業務に励んだため結婚はおろか彼女はすらできなかった。一応女性経験は娼婦相手にはあるが残念ながら死ぬまで彼女が出来なく生前を終えている。


 がいこつA「けど気づいたら60歳過ぎててさ、門の前でアークタイガーの餌になって今じゃただの骨だぜ」


 がいこつB「俺もなぁ。もう少し口調と女っぽい行動すれば良ければいい旦那さんを貰えたかもな。ま、今じゃどうでもいいか」


 がいこつA「おいおい。お互いに死ぬまで独り身って悲しいもんじゃないのよ……んっ?」









 がいこつA「……お前今旦那っていったよな。もしかしたら女性だったの?」


 がいこつB「何をいまさら。こう見えて昔は美人鍛冶屋として武器とか有名だったんだぜ。ちなみに150年ぐらい前に勇者の剣も打ったこともあるんだぞ。エクスカリバーっていうんだけどよ。今じゃ人間界だと国宝級扱いされている代物だ。どうだ~凄いだろ~」


 がいこつAはしばらく脳がショート(実際は脳がありません)して考えが追い付かなくなっている。

しばらくほうけて数秒間たったあとハッとなり意識(実際は意識なんてありません)が気づいた。









 ………………ハァァァァァァ?お、おおおおおんな?女だったんか!?

 そういえばこいつ前にスイーツの話とかしてたけどやけに語っていたしよく見たら骨盤も広いような……。

 というかエクスカリバーって勇者アレフがつかっていたというあの!? えっ何?実はこいつ滅茶苦茶すごいんじゃ。

 えっとととととと落ち着け。勇者がスイーツ使って打った剣の国宝級扱いの名前がアレフのエクスカリバーという名前のスイーツの名前の。

 よし!冷静になっとぞ。


 がいこつB「いや~でもまさか国宝級になってるなんてなぁ。自分でもびっくりだぜ。……ってどうした?急に黙ってそんなに見つめて?」


 がいこつA「えっと……今度さ、その……あの……ご一緒にお食事もでもいかがでしょうか」


 がいこつB「……え?」



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  とても平和。 [気になる点] 勇者:遊びにきたよ! アンデットの皆様:くんな  魔王がいなくなったとしても勇者になって地方のダンジョンにくる勇者はいるようだ。
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