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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.8 エルヴァスティ王国

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第94話 王都への道

王都へ向け颯爽とカッコよく出発した俺。

愉快な仲間達と仲良く楽しく、俺達に喧嘩を売ってきた奴を探しに行くのだ。

ブロロローー……


 俺が運転するトラックは、順調に王都を目指していた。

 バイクのライネとペトリが先行して、何か異常があれば俺達に連絡がくる手筈になっている。

 今の所、連絡もないし平和そのものですよ。

 いや!

「油断してる時が一番危ないっていうし、気を抜かないように、しっかり運転だ!」

 俺は油断しそうになる自分に喝を入れ、真剣に運転をしようと思った。


「お出かけは、楽しいのじゃ!」

「……」

 うん。

 スナック菓子をぼりぼり食って楽しそうだな、ラージャ。

 コイツ緊張感の欠片も感じられない。


「……おい、一人で食ってないで、皆にもあげなよラージャ」

「うむ! 我は優しいから皆に振る舞うのじゃ!」

 ラージャが駄菓子をだして、みんなに配っている。

 小分けになってるからいろんな味を楽しめて良いだろう。

「それから、俺と皆にコーラ出して」

「飲み物なら、俺はコーヒーね」

 ラージャの出してくれスナックに手を伸ばしながらミカエルが言った。


「我は、オレンジジュースにするのじゃ」

 ライネとペトリには悪いが、なんだか楽しいな。


「何コレ?! ちょっと、美味しいじゃないの!」

 後ろからセリアの声がした。

 何で、ちょいキレ気味なんだ。

「ズルいぞ、カズヤ! お前達だけでこんな旨い菓子を食ってたのか!」

 チョ〇バットを食いながら抗議の声を上げるルーカス。


「なぁ、ラージャ。 王都に着いたら、ルーカス達にお土産でお菓子をあげてくれ」

 うん。

 嫌な顔をするんじゃない、ラージャ!

「後でちゃんと買ってお菓子の補充してやるから我慢しろ」

「それなら、解ったのじゃ」


「それなら、昨日の酒も一緒にくれ」

 なんだ、ルーカス。

 昨日の…… ああ、日本酒か?


「って事でラージャ、日本酒も追加で頼む」


「解ったけど……

 お前、厚かましいのじゃな?」

 ラージャ。

「ちょ、ちょっと、ラージャ!」

 ほら、ミカエルが慌ててる。

「一応、そいつ王子だから厚かましいとか言わないように」

「す、すまん」

 ルーカスが素直に謝ってきた。

 今まで人に厚かましいとか言われたことないのだろうに。

「気にすんな。

 俺達は友達なんだから、好き勝手言い合えば良いんだよ!」


「ふざけんな、少しは、気にしろ!

 甘っ! 何コレ! シュワっとして旨いじゃねぇーか!」

 セリアがお菓子を頬張り、コーラを飲みながら怒っているが、食うか怒るかどっちかにしてくれ。

 

ブロロローー……

・

・

・



◇◇◇


トラックの荷台――


「……」

「……」

「……」


 無言のサニー、オスモ、騎士達。

 荷台に乗せられた男達は気まずい思いをしていた。

 なぜなら、

 田舎領主のオスモは、王子直属の騎士達に対してどう接すれば良いか解らないから。

 騎士団の方は、王子が直々に取り立てるというオスモに同士接すれば良いか解らないし、みんな無口だったから。

 サニーは、他人事という事と、男などには興味が無いからだ。


「い、いやぁ~、王都に行くなんて何年ぶりかなぁ!

 どうです、王都はやはり賑わってますかな?」

 オスモが勇気をもって近くの騎士に声をかけた。

 騎士は、オスモを少し見ると視線を外し、

「ええ、まぁ」

 とだけ答えた。


「……そ、そうなんだ」

(く、くそぉ! 会話が続かねぇ!)

 オスモは、サニーをみる。

 カズヤの仲間だから、彼奴も頭がおかしいかもしれないが、いや、確実におかしいだろうけど会話くらい出来るだろうと、揺れる荷台の上をサニーの方へ這っていった。


「おい、おっさん。

 揺れるから危ないぞ!」

 走っている最中に移動しだしたオスモにサニーが注意したが、構わず進むオスモ。


「お前も、おっさんじゃねぇか!」

 オスモが悪態をつきながらサニーの近くまで何とかたどり着いた。


「おい、サニーだっけ?

 なんで、こんな事になってるんだ?」

「俺が知る訳ないだろう!」

 自信満々で答えたサニーに少しイラっときたオスモだが、暇な事もあり会話を続ける事にした。


「フジノ街で何かあったのか? ホテルに戻ってきたと思ったらいきなり出発って?!」

「豚の化け物と緑色したのが王子やカズヤ達を襲ったくらいで、何もない」

「そうか、何もないなら、なんで俺が王都に行くって話にな…… ちょっと待て! 今、王子が襲われたとか言わなかったか?!」

 普通のトーンで言うからスルーしかけたオスモが慌ててサニーに詰め寄る!

「フフフ、俺の空手でイチコロよ!」

 ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、サニーが答える。

「何を意味不明な事を言ってるんだ、お前は!」

 

(それなら、何故、王子は俺を王都に連れて行って部下にするって……

 はっ! 俺を王都に連れて行くって、粗相の責任を取らされるって事なんじゃないか!)

 最悪の想像をしたオスモは血の気が引いていくのが自分でもわかった。

 しかし、自分一人の命で領地を守ってくれるならば! と、素早く気持ちを切り替える。

 こんな田舎領主一人の命で領地を存続させてくれるなんてと、王子に深く感謝するのであった。


「お前、ユリアナちゃんのお父さんだろ?」

「ユリアナ? ユリアナは俺の娘だがなにかあったか?」

「結婚してあげていいぞ」


「……」

「……」


「いや、ほんと、お前何言ってるの?」

 真顔で聞いてきたサニーにオスモが言った。

「年齢のせいか?」

「いや、年齢以前の問題だろ? 結婚したい相手の父親に、お前とか無いだろ?」

「そうか?」

「そうかって…… ホントに大丈夫か? 気づかないって、不安になるレベルだぞ、おい」

 心配そうな顔をするオスモにキョトンとした顔で答えるサニーであった。

・

・

・


◇◇◇



ブロロローー……


 俺の運転するトラックは、相変わらず順調に進んでいた。

 もう何時間走ってるだろうか?

 疲れてきたな。


『カズヤさん、一旦、休憩に入りたいと思いますが、良いですか?』

 トランシーバーからライネの声が聞こえた。

 ナイスタイミング!

「ああ、そろそろ俺も休憩を考えてたから、ちょっと休もう。

 どこにいる?」

『まっすぐ走ってきてください。 湖にはいる手前の道で待機してますから』

「このまま、まっすぐ道なりにすすんでいけばいいんだな? 了解だ!」

『カズヤ様、まってるよ!』

 おっと、ペトリの声も聞こえた。

 二人とも元気そうだ。

 やっぱ、若いって素晴らしい。


「って事で、みんな、もうちょっとで休憩すっからね」

 笑顔で車内の皆に声をかけると、アクセルを踏む足に力を込めた。

 早く、ライネとペトリに会いたい。


「カズヤ、休憩は良いのだが、大丈夫か?」

 ルーカスが聞いてきた。

 クーデター騒ぎの後、直ぐに出発しないで一泊してから出発したから心配なのだろう。

 敵の連絡網がどれほどのモノかは知らんが、既に失敗の件も俺達が王都に向かっているのも報告に向かっているのかも知れない。

 少なくとも行動前、王子がオールストレーム領にやってくるってのを事前に金髪豚野郎達は知っていたハズだ。

 連絡が入っていたから、行動を起こせた。

 って事は、情報の運び屋がいるって事ただからな!

「心配したとこでどうなる、ルーカス。

 敵が俺達に何か用事があんなら、向こうから来るだろ? そん時に心配すればいい」

「お前は、バカそうだから気楽でいいな」

 ルーカスに言ったのに、セリアが俺に文句を言いやがった。

 いちいち気にしないけどね。


 無視だ!


ブロロローー!

・

・

・



◇◇◇



ライネとペトリ――


 ライネとペトリは、バイクを降りてカズヤ達の到着を待っていた。


「なあ、ライネ。 特に何もなさそうだし運転変わってもらうか?」

「それもそうだね。

 カズヤさんも心配性だから、僕達に先行させてたけど、特に怪しいとこも無かったしね」

「そうそう、そういう事。

 山賊の一人でも出たら違うんだろうけどね、暇だよ」

 二人は、そう言って笑いながらペットボトルのお茶を飲んでいた。

 その時である。

 ライネが何かに気づいた。


「どうした?」

 道の向こうを真剣な顔で見ているライネにペトリが声をかけた。

「いや、向こうの方で音が聞こえた気がしたんだけど……」

 ペトリの方に顔を戻してライネが答えたが、何か嫌な予感がした。

 言われたペトリも向こうを向いて耳を澄ませたが、特に異常は感じない。

「なぁ、気のせいじゃないのか?

 って、ライネ! お前、もう直ぐカズヤ様達が来るんだぞ!」

 ペトリが振り返るとライネがバイクに乗りエンジンをかけるところだった。


「ちょっと見てくるから、ペトリは、カズヤさん達を待ってて!」

「お、おい、ライネ!」


ブオォォォーーン!


 ペトリの制止も聞かずライネは、バイクを走らせた。

全く、ラージャは緊張感と言うものが無い!

俺の様に、常に周りに気配りの出来る大人にならないと。

しかし、皆でお出かけなんて、遠足みたいで楽しいな。

はて、俺達は何をしに出掛けたんだったかな?

って事で、次回も、乞うご期待!

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