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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.8 エルヴァスティ王国

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第92話 尋問が終わった

クーデターを起こそうとした一味のゴーブが、殺されると思って全てを白状した。

ホントかどうか解らないけど、まあ、喋ってくれた。

 俺達を裏切ってクーデターを起こそうとしたゴーブは全てを白状した。

 ちゃんと話をしたので、命は許してやる事にするか。


「……しかし、大変な事になってたんだな?」 

 ゴーブが語った事は、俺やこの街の事だけじゃない、ルーカスにも関係する事だった。

 ルーカス関係って事は、そう、このエルヴァスティ王国に関する事だ。

 大変な事態になってしまったな。

 いや、でも……

「やっぱ、信じられない」

 いや、信じたくないって思っているのかも。

 王都のイルボ商会が関係してるって話なんて信じられないよ。


「……あ、あの。

 カズヤ様、全部話をしましたが? その……」

 ん?

 考え事をしていたらゴーブが俺に聞いてきた。

 ああ、そうか。

 そりゃ、心配だろう。

「ゴーブ、ちゃんと話が出来たから、俺は、お前を生かそうと思う」

 俺の言葉を聞いたゴーブは、安堵の表情を浮かべている。

「生かすけど、許した訳では無いので、その点は注意するように」 

「はい、わかっておりますのじゃ。

 今回の行動を悔い、今後は、カズヤ様の為に誠心誠意尽くす所存ですしゃ」

 しおらしい感じで言ってるが、どうだか?

 まあ、次は無い。


 おっと、相変わらずセリアは不服そうだな。

 俺が甘いと思ってるんだろうけど、事実そうなのだろう。

 ルーカスの方は、どうでも良いみたい。

 何か上の空の様子。

 ゴーブの話を聞いて、それどころじゃないってとこだろう。


「カズヤ、殺さないのは正解なのじゃ!

 ゴーブも金髪豚野郎もテイカーも我等の仲間なのじゃからな!」

「そうか、解ってくれたかラージャ!」

 俺の独断でゴーブを生かす事を決定したのだが、賛同が得られたようで良かった。

「良かったねカズ君」

「ああ、ボリス」

「しょうがないよね、俺も解ったよ」

「ペトリ……」

 お前は刺されたのに…… ありがとう。

 心が広いね。


 っと、ライネは……


「……」


 無言でニコニコしていた。

 無理しているのだろう。

 何時もの笑顔と全然違う。

 そりゃそうだ。

 うん、そうだよな。

 金髪豚野郎に酷い事言われたんだから、裏切り者達を生かすっての不満だよね。

 それなのに、俺に気を使わせまいと必死に感情を押し殺している。

 全く、ライネの奴め。

 強がったところで、夫だからね、解るよ。

 ライネは何も悪くない。

 多分、ライネの反応の方が正常なのだろう。

 セリアも裏切り者は殺した方が良いって考え見たいだし。

 だから、変わってるのは俺やラージャ、ペトリの方だよな。


「カズヤの言う通り、殺して溜飲を下げたところで、我等になんの得にもならないのじゃ!

 だから、強制労働施設に入れて、タダでこき使えば良いのじゃ!」


 ……ん?

「ラージャ? 俺が、何時そんな事を言った」

 何を言い出すんだ?

 強制労働施設って?

「それ、良い考えですよね! 流石、カズヤさん!

 確かに殺してしまうのはクソ野郎とは言え、余りに可哀想ですよね。

 使い物にならなくなるまで生かしてあげましょう! 強制労働施設で」

 ライネ?

「さっすが! カズ君、ナイスアイデア!」

 ボリス?


「いや、だから俺は何もそんな」

 なんだよ、強制労働施設って? そんなもん街にあったっけ?

「そっか、殺しちゃっても一銭の得にもなんないけど、タダでこき使えば、得って訳だね! カズヤ様」

 ペトリ、お前もか!

「得とかそんな、だから、俺は言ってな」

「流石、カズヤ。

 裏切り者に対して、辛辣じゃな!

 その容赦の無さは、どうかと思うが、死ぬまで苦しめつつ、街の発展の為の労働力にしてしまう事を選択するとはな!」

「全部お前が言ってんだろう、おい、ラージャ!」

 全く、そんな事を考えてもいなかったよ!

「そんな事より、強制施設で働かすっていっても、生かすって事は、経費が掛かるだろう?

 裏切り者達の為に街の金か、お前等の資産から出すのかは知らんが、良いのか?

 それなら、火と思いに殺した方が、今後のランニングコストの面から良いんじゃないの」

 セリアが家族の会話に入ってきた。

 それは別に良いのだが、なんで、俺の話を誰も聞いてくれないんだ?

 同じ言葉を話しているハズなのに、俺の言葉が伝わらない。


「経費の件ならさ、大丈夫じゃない?

 だって、こいつ等の財産は当然没収するんでしょ?

 その金があればランニングコストの何年分かくらいあるでしょ。

 それにかかる経費つったって食事と監視の日当ぐらいでしょ?

 奴等の資産から監視の日当をだすとして、食費は、一日一食、それも街で出た残飯から支給すれば金とか掛からないんじゃないかな?」

「いや、ペトリ、お前、何を言って……」

「そうだよペトリ!」

 流石にライネもそう思ったか?

 そうだよな、酷い話だぜ。

 全く。

「カズヤさんはね、一日一食だなんて甘やかす事ないって言ってるんだよ。

 そうだな…… カズヤさん、労働させないといけないから二日に一回は食事を与えても良いですよね?」

「あれ?」

 ライネが、とんでもない事を言い出した。

 ペトリに注意はしたが、思ってたのと違う注意だった。

「なるほど!」

「なるほどじゃないだろう、ボリス! お前達の中で俺ってどんな人間って思われてるの? 怖いんだけど!」

「カズヤ、ライネの案で妥協してくれなのじゃ。

 甘いと思うかもしれんが、そこがライネの優しい良い一面なのじゃ」

「もう、ラージャちゃんったら」

 ライネが照れている。

 俺がおかしいのだろうか?

「ダメだ。 会話が成立しない」

 強制施設も、食事の件も俺が考えたみたいになってるし……

 金髪豚野郎達の事、いっそ殺してやった方が奴等にとって良かったのでは?


 ……いや、命は尊いものだ。


 大体、殺すなんて事が俺に出来るか?

 誰かが言ってたけど、生きてるって素晴らしいらしいからな、うん。

 あいつ等、生かされる事になったんだから、良かったんだよ。

 死ぬまで満足に食う事も出来ず休みなしの重労働だろうが、生きてるんだから!


 チラッと見たら、金髪豚野郎、ゴーブ、テイカーは、この先待ち受ける地獄のような未来に顔を青くしていた。

 うん。

 当然、良くないよな。


「良かったな、三人とも。

 食事が与えられる上に、仕事まで世話してもらえるなんて、最高じゃないか。

 カズ君の慈悲に感謝しろよ!」

 ボリス。

 こんな状態のコイツ等に向かって感謝しろとは……

 しかも、俺に。


 金髪豚野郎達の憎悪の視線が俺に集まっていた。

 なんで俺一人?

 しかし、強制労働や食事云々は考えるにしても、はいそうですかって明日から仲良くしましょうねっての無理だからな。

 刑務所には入ってもらう。

 もう、諦めたから恨むなら恨め。

 ちゃんと俺達が笑って話が出来るようになるには、どうせ時間が必要だ。


 外の金髪豚野郎の兵士達が、カズヤ近衛兵団によって鎮圧、拘束されていた。


「カズヤ様、ご無事ですか?!」

 近衛兵団が部屋に入ってきた。


「ああ、俺達は大丈夫だ。

 首謀者とその仲間は、そこに拘束してあるから連れて行っちゃって」

「はっ!」

 近衛兵は、俺に敬礼すると兵団員達と金髪豚野郎達を立たせる。

 そして、特に抵抗する素振りなく金髪豚野郎達が連行されていく。


「金髪豚野郎、ゴーブ、テイカー」

 連れてかれるあいつ等に声をかけた。

 彼奴らの足が止まる。

「お前達が心配する程、俺は甘くないしこの街を守る為に必死になるから…… その、安心しろ」

 それだけ伝えたかったから言ったが、金髪豚野郎達は行ってしまった。

 まぁ、独房で今回の件を少しは反省してくれたらそれでいいや。


 金髪豚野郎達が消えた部屋の中は静かになった。

 みんな思う所があるのだろう。

 一緒い頑張ってきた仲間に裏切られたのだから。


 さてと、

「そんじゃ、明日にでも王都に出発するぞ!

 ライネとミカエルは、オスモ達に連絡しといてくれよ!」

 ライネとミカエルが頷いてくれた。

「弥助とマルコは、エルモと協力して俺達の留守を頼む」

「カズヤ様、お早目にお戻りください」

 弥助がゴチャゴチャ言わずに理解してくれた。

 俺達不在の時に金髪豚野郎の他の奴が蜂起なんてしたら、弥助の武力に頼るしか無いからな。

 その他の事務的な事とかは、マルコに任せるとして……


「……カズヤ、すまん」

「おっと、頭を下げるんじゃないよ、ルーカス。

 俺達が王都に行くのは、俺達の為でもあるんだからな!」

 考え事をしてたら、ルーカスが頭を下げそうになったので俺は慌てて言った。

 事実、俺達の為なんだから。

「フフ、そうだな」

 ルーカスが少し笑った。

 結構可愛い顔をするんだな。

 ん?

 おっと、いかんいかん。

 ルーカスには、セリアがいるんだ、そういう目で見ちゃいけない。


「そんじゃ、待ってろよ。 今回の黒幕さんよ!」

 俺は、やる気に満ちて言ったのだ。

 大事な仲間をそそのかしてくれた礼もしないといけないし、忙しくなってきたぜ!

俺達は、こうして王都へ向かう事となった。

何かの間違いだと思うが、イルボ商会の件もあるしな。

さてと、俺達に舐めた真似をしてくれた黒幕とやらに挨拶に行きますか!

って事で、次回も、乞うご期待!

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