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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.3 異世界 恋人獲得
5/105

第5話 俺と閻魔と異世界と

異世界。

フフ、やっとか。

4話ほど費やした気がする。

兎に角、ファルガが約束を守ってくれたようだ。

 異世界にやってきた。

 気がついたら地獄じゃない違う場所にいたからね、多分ここは、異世界に違いない。

 きっとそうだ。

 そうに決まってる。

 どうやら天上界監察部のファルガってのが、約束を守ってくれたようだ。


「さてと……」

 何をしていいのか解らないが現状の確認といきますか。

 俺は……

 銀行強盗にあったあの日の服装と同じだ。

 たすき掛けしたバックもあの日と同じ。

「服は、クリーニングしてくれたみたいだな」

 撃たれた痕も俺の血もついていない状態。


 現在地は、山の中なのか?


「木が沢山ある」

 涙が出そうだ。

 何年振りの緑の樹木だろう。

 あの三途の川や地獄の風景とまるで違う。

 周囲をぐるっと見渡した!

 懐かしい木々の緑。

 ロリっ子閻魔。

 そして、見た事も無い植物。

 いや、別に俺は植物学者でも何でもないので、地球に同じような植物があるのかも知れないね。


「いや、そんな事はどうでもいいんだよ!」

 まずは、アレでしょ!

「ステータスオーブフォオオオオーー!!」

 ゲホゲホ噎せた。

 ステータスの確認をしようと思ったのだが、ちょっと待て!

「なぜ俺の目の前に、あのロリっ子閻魔がいる?!」

 俺の目の前に……


「貴様のせいで、我は、こんなとこに飛ばされたのじゃ!」

「おいっ!」

 驚いている俺に向かって、ロリっ子閻魔が棒みたいので殴りかかってきた!

「や、やめろ!」

 何の事か知らんが、大人しく殴られてたまるか!

 ロリっ子閻魔の攻撃を華麗に躱す!

 ……いや、勝手にロリっ子閻魔がコケた。

 なんだ、コイツ?

「お、おい。 大丈夫か?」

 豪快にすっ転んだ閻魔に声をかけたが、ホントに大丈夫か?


「ううぅ、貴様のせいなのじゃ!」

 うつ伏せのままの閻魔から責められた。

 勝手に転んだだけじゃないかと思うが……

「と、兎に角落ち着こう。 な、なっ!」

 俺は、ロリ閻魔に声をかけていた。



 俺は今、ロリっ子閻魔が向かい合って座っている。


チラッ


 ロリっ子閻魔は、怒っているようだが話が出来るくらいには落ち着いてきたみたいだ。

 さてと、この目の前にいる珍獣は、俺を冤罪で地獄に落としてくれた張本人なのだが、どう接したらいいんだ?


「あ」

 噂では冤罪判決出したせいでコイツ、左遷されてたって話だったよな?

「おい、お前がなんでここにいるんだよ?」

 声をかけるとロリ閻魔が立ち上がった。

「お前のせいなのじゃ!

 それと、我は、お前じゃないのじゃ。

 ラージャという立派な名前があるのじゃ」

 そう、ラージャね。

「いや、全く意味が解らない。

 何を言ってるんだお前?

 ちなみに、俺の事を覚えてるか? 藤野 和弥だけど」

 別に来て欲しいなど考えもしない俺のせいだと?


「天使に聞いたのじゃ!

 貴様は、我が左遷された原因の男なのじゃ!

 でも、貴様がこの世界で一人で生きていけるようになったら、復職させてくれるって話なのじゃ!」

 まるで俺が悪いみたいな言い方だな、おい。

「お前が俺を地獄に落としたからだろ?

 それと、なんでさっき俺を殺す勢い向かってきた?

 俺を守る為に来て、俺を殺そうとしたって事だよね?

 頭おかしいの?

 ねぇ、大丈夫?!」

 いや、ホントに大丈夫か?


「痛めつけるだけだったのじゃ!」

 うん。

「そういう事を自信満々で言うんじゃない!」

 呆れた!

 全く、暴力的でいかん。


 ふう……

「まあ、いいさ。

 過去の事をいくら言ったところで、どうしようもない。

 お互い、異世界に来たんだから仲良くしよう。

 宜しくな、ラージャ!」

 旅は道連れ世は情け、宜しくな!

 俺は、ニッコリ笑って手を差し出し

「フンッ!」

 ラージャがそっぽを向きやがった!

 普通に考えて俺の方が怒る場面だと思うのだが、この娘は。

「いいよ、別に」

 俺は、手を戻した。


「なぁ、多分な、お前は天上界の不祥事の口封じの為に飛ばされたのだろうから、帰れないぞ」

 ラージャの話を聞く限り、何か変な期待しているようなので教えてあげた。

 ファルガが言ってた処理って、お前の事だったんだな。

「あ……」

 ラージャの顔色が変わった。

 気づいたか?

「まぁ、二人とも殺されなかっただけ良かったじゃん。

 そういう訳だから、ラージャは、俺の事を気にしないで好きに生きてくれ。

 俺も好きにするしな」

 はい、話は終わり。

「俺は、女騎士とかと仲良くならなきゃいけないので忙しいからな、もう行くぞ」


「そんな事無いのじゃ!」

 立ち上がった俺にラージャが言ってきた。

 やれやれ、

「じゃぁ、帰れるのか? どうやって?」

「神の力で戻してもらうのじゃ」

「それ多分無理。

 この地に来たら、この地の神の支配下に入るらしいから迎えに来れないって。

 ファルガが言ってた」

 教えてやったら、ラージャが目を見開き肩をワナワナ震わせていた。


「だ、だまされたのじゃ……」

 がっくり肩を落としたラージャ。

「ラージャ……」

 ……なんだか、可哀想だな。


 よし! 俺が励ましてやる!


「ラージャ、騙され慣れてるじゃん、お前」

 俺は、ラージャの肩に手を置いて励ましてやった。

「ふ、ふっざけんな! 貴様に言われたくないのじゃ!」

 なっ!?

 ラージャが俺に殴りかかってきた!

 なんじゃコイツ!



 俺とラージャが殴り合いをして、二人、大の字になって倒れていた。


「ハァ、ハァ、ハァ。

 ラージャ、もう異世界に来ちまったんだから、諦めろ

 それとも、向こうに家族とか何か大事な繫がりのある人とかいたのか?」

「ハァ、ハァ、ハァ。

 そ、そんなもん、いないのじゃ!

 我は、我を利用した奴等を見返してやりたかっただけなのじゃ!」

 帰りたい理由って、それだけかよ!


「……諦めろ」

「諦められるか! なのじゃ」

 ラージャが言ったけど、確かにそうかもしれないな。

 俺は好きで異世界に来たけど、コイツは違うもんな……

 まぁ、俺も好きで地獄落ちした訳では無いのだが。

「ラージャ、そんな考えしててもつまんないんじゃないの?

 それよかさ、こっちで楽しもうって思う方が全然良いと思うけどな俺は。

 大体、帰れないんだから」


「悔しいのじゃーー!」

 ラージャが泣き出してしまった。

 も、もう! こんなとこ誰かに見られたら、まるで俺が小さい子をイジメていると思われるじゃないか!

 慌てて辺りをキョロキョロ見たが、当然人影など無かった。

 よし、コイツはほっといて、もう行こう。


「……」


「……なんじゃ、行かんのか?」

 ラージャが聞いてきた。

 だよな、俺もそう思う。

「……」

 もうっ!


「決めろ、俺と一緒に楽しくのほほんと異世界ライフを満喫するか、ここでいじけて一生を過ごすのか」

 俺は、言っていた。

 俺を地獄に落とした憎いであろうこのチンチクリンに。

 だって、森の中にチビッコを捨てて行く訳にいかないじゃん!


「……ぇえ」

 うん、ラージャ。

 嫌そうな顔をするんじゃ無い。

 カッコつけて言った俺がバカみたいじゃないか!


「……仕方ない奴じゃの。

 貴様一人だとすぐ死にそうだから、ついて行ってやるのじゃ」

 ラージャが向こうの方をむいたまま言った。

 まったく、素直じゃない奴だ。


「そんじゃ、行こうか!」

 俺は、強引にラージャの手を取った。

 そうと決まったらモタモタしてらんないしな。

 ほら、立って!

「あっ、引っ張ると痛いのじゃ」

 わがまま言うんじゃない。


 ん?


 間近で見たら、お前、結構可愛い顔してんな。 

 あっ!

「ラージャ、お前は何歳だ?」

「なんじゃ貴様! レディに年齢を聞くなど!」

 真っ赤になって可愛いとは思うが、そんな事言ってる場合じゃ無いって!

「ラージャ、大事な事なんだ」

 真剣な顔で言った。

 そう、とても大事な事だからね。


「えっ? ……308歳じゃが?」

 あまりにも俺が真剣な顔で聞いたからか、ラージャは、素直に教えてくれた。


「……そうか」

 可愛い顔してるけど、かなり年上なんだな。

 閻魔大王なんてやってるんだから人間じゃないのだろう。

 性格は、かなり難がありだが、結構可愛いし未成年じゃないなら問題ないだろう。

 一緒に行動している内にラージャが俺に惚れて彼女にして下さいと言ってくる可能性が大いにあるからな。

 告白されても俺はロリコンじゃないからな、未成年だと断らないといけない。

 だから年齢を聞いたのは大事な事なのだ。

 フフ、俺にも、彼女が出来るのか……

「ウフフフフフ」

「おい! 人の顔を見て気持ち悪い笑いはヤメロ」

「なっ!

 お前な、そんな事言ったら、彼女にしてやらないからな!」

 全く困ったもんですよ!


「ああぁん?

 貴様、顔だけじゃなく頭まで悪いのじゃな?」

 コイツ、蔑みの目で俺を……

「う、うるさいな!」

 やめて、そんな目で見られると俺、泣いちゃうから!


「おい、カズヤ。

 我は今、猛烈にお前と一緒に行くのが不安になってきたのじゃが」

「ラージャ、心配するな!

 俺に任せておけば大丈夫!

 何故なら、俺は、異世界物のラノベを3冊も読んだ専門家だからな。

 って事で、まずは、人のいるとこを目指そうぜ!」

 ラージャが凄く不安そうな顔をしているように見えるが、俺の気のせい!  


 チビッコを捨てて行けない正義の男である俺は、ラージャを連れて歩き出した。

 フフフ、ラージャ。

 俺がそんな優しさ溢れる男で良かったな。

 さぁーて、この先どんな事が待ち受けてるのか、希望が膨らむぜ!

せっかく異世界にやって来たのに、おまけつきかよ!

俺がお人好しなのを良い事に地球の天使め、俺に押し付けたな。

閻魔大王ことラージャ! 俺の邪魔をするなよ。

俺は、女騎士とキャッキャウフフしないといけないし、忙しくなるんだからな。

……まぁ、お前もちょっと可愛いから、お前がどうしてもと望むなら、あれだ、彼女にしてやってもだな、うん、考えてやってもいいんだぞ。

兎に角、俺を蔑む目を止めてください、お願いします。

傷つきますから。

って事で、次回も、乞うご期待!

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