第23話 俺のお仕事
彼女か彼氏か知らんが、恋人が出来た。
恋人というか、嫁。
まだ嫁さんじゃないが、嫁だ!
何を言ってるのか、アレだが、兎に角、ライネに俺の働く姿を見せる。
そして、惚れ直してもらって、もっと好き同士になるのだ!
山猫亭の前――
貴族のような服装に着替えた俺、カッコいい。
ラージャも何時もの服装と違って、フリフリの豪勢なドレス姿に着替えてきたようだ。
何時もの閻魔様みたいな着物みたいなのも良いが、西洋風の恰好もお人形さんみたいで可愛いじゃないか。
「なんじゃ、お前?
人の事をジロジロと、スケベな目で見るのやめてくれませんか? なのじゃ」
「なっ、おまっ」
コイツは、喋らなきゃ可愛いんだが……
「おーい、ライネ、何してんだよ? 行くぞ」
山猫亭の玄関から出てこないライネに俺は、声をかけた。
ライネは、俺の彼女。 いや、彼氏なのか?
「恥ずかしいよ~。
ホントに、この恰好で行くの?」
メイド服に身を包んだライネが恥ずかしそうにスカートを掴んで股間を隠すように出てきた。
「ライネ、手を離してもパンツ見えないから大丈夫だよ。
とっても似合ってる。
この街で一番可愛いよ!」
「そ、そんな事ないよ」
恥ずかしそうにして、俺の趣味丸出しの恰好をしてくれるライネは、俺の大事な恋人だ。
男だが、関係ない。
俺は、ライネが好きだし、ライネは、俺が好き。
だから、なんの問題もない。
部屋の中だと平気だったけど、女装して外にでるのは抵抗があるのかもしれない。
「自分の殻を打ち破るんだ、ライネ」
俺は、キリっとして言ってやった。
「お前の趣味に付き合わせるなんて、酷いのじゃ」
ラージャが呆れている。
だって、ニーハイ好きなんだもん。
「ラージャちゃん。
……実は、実家に居た頃は、お母様の服を着たり、その、…女装してた」
バッ!
「なにッ!」
俺は、即座に反応した!
小さい時のライネが女装したら、フランス人形の様に可愛かったに違いない。
その姿が観たかったぜ!
ライネも望んでるし、俺も嬉しい。
俺とライネって最高の組み合わせじゃん!
「へへへ、ラージャ?」
「ま、まぁ、本人が良いなら我がどうのこうの言えぬが……
カズヤ、その勝ち誇った顔を止めるのじゃ! なんかムカつくのじゃ!」
「さてと、ラージャが理解したとこで、行くぞ!」
俺達は、颯爽と歩き出した。
馬車など持ってないからな、当然、徒歩だ!
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「よし! イルボ商会に到着だ! みんな、ついて来い!」
俺は、豪華な造りのイルボ商会へと足を踏み入れた。
「あれ? おいちょっと、カズヤ、どこに行くのじゃ?」
ラージャが何時もの様に買い取りカウンターに向かっていたが、俺が別のとこに移動しているので焦って聞いてきた。
俺がどこに向かっているかだと?
「大事な事がまだ、残っているからな!」
俺は、店の中をズンズン歩いて行った。
そして――
「似合う!」
イルボ商会で取り扱っている靴の中から、黒のテカテカした厚手の靴底でヒールのある可愛い靴をライネに履かせてた俺は、思わず声が出てしまった。
正直な感想だ。
「カズヤさん、服だけじゃなくて靴までプレゼントしてくれるんですか?!」
「その服装に合う靴を履いてもらいたかったからね。
とっても似合ってるよ。 凄く可愛い」
「そ、そうかな?」
ライネが照れてて抱きしめたかったが、人の目があるし我慢した。
俺は、常識人だからな。
「お前、ライネの為に靴を選びに……
仕事が先じゃないのか? 優先順位がおかしいのじゃ!」
ラージャがゴチャゴチャ言ってうるさいが、俺は、ライネに似合う靴を見つける事が出来て大満足だぜ!
靴は、やっぱ履いて決めないと。
さてと、
「ラージャ、勘違いしないで欲しい!」
「な、なんじゃ?」
「ライネは、何事にも優先される!」
キリッとして毅然と説明した。
「は?」
ラージャは、ポカーン。
「カズヤさん、僕、嬉しい!」
「ウヒョ?!」
ライネが俺に抱きついてきた。
コレは…… くっ!
「キスは、お預けだよ、ライネ。
仕事が残っているからね」
紳士な俺は、紳士的にライネに言った。
「そ、そうですよね、ごめんなさい」
「すまん、ライネ。
公私混同しない男、それが俺だから」
「カズヤさんって、仕事に厳しい方なんですね」
「いや、お前ら、何言ってるの?
もの凄く公私混同してるのじゃ!」
「ラージャ、お喋りしている暇などないぞ、仕事だ!
それと、空間収納にライネが履いてきた靴を仕舞っといてくれ。
ライネが今履いてる靴を買い取ったから」
「お願いします」
ライネがラージャに靴を渡す。
「……お前ら、後でぶっ飛ばすからな。
と言いつつ、律義に靴を仕舞ってやる我も人が良いというか情けないのじゃ」
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買い取りカウンターに向かって歩いていると、番頭のフローラさんがいた。
(相変わらず、胸がデカいな)
「フローラさん、会頭います?」
「ああ、カズヤさん。
……どんどん恰好が凄くなっていきますね?
成金趣味丸出しですよ」
「ハハハ、この服の良さが分かりますか!
なにせ服屋で高くて金持ちそうに見えるのくれと言ったら、コレをくれましたからね。
どうです? 似合っているでしょう!
服屋の主人も似合う似合うと喜んでましたよ!」
俺は、フローラさんにポーズをとってみせた。
「いや、カズヤ…… お前、褒められて無いから、それ以上言うな。
聞いてて可哀想になってくるのじゃ」
「今日も、商品を売りに?
カズヤさんの卸してくださる品は、品質が高く人気があるので助かります」
フローラさんが、胸をブルンとさせて言ってくれた。
やはり、大きい。
「カズヤさん、さっきからどこ見てるんですか!」
ヤベッ! ライネに注意された。
どうやら、自然とフローラさんの胸に視線がいっていたようだ。
「ハ、ハハハ……」
とりあえず笑っといた。
ライネの目が怖い。
「おや? そちらの方は?」
フローラさんがライネに気づいて聞いてきた。
「俺の恋人、フィアンセ、愛する人です。
これからは、一緒に行動するので、宜しく」
可愛いライネは俺の自慢だ。
どうだ、まいったか!
「可愛らしい方ですね。
お若いけど、お幾つ?」
「俺は、25歳です」
地獄では歳をとらなかったからな、25歳と言っても良いだろう。
「カズヤ、フローラはライネに聞いておるのじゃ」
確かに。
うーむ、ライネに笑われた。
「ライネ・オールストレーム 18歳です。
カズヤさんがいつもお世話になっております」
ライネが頭を下げて言った。
「ライネは、礼儀正しくて可愛くて最高の恋人だぜ!」
どうだ、まいったか!
「貴族のご令嬢とは知らず失礼いたしました」
フローラさんが頭を下げた。
なんで?
「ああ、頭をお上げください。
貴族と言っても、オールストレーム男爵家は、田舎の貴族ですので。
ですから、ライネとお気軽にお呼びいただいて結構です」
ライネが恐縮してフローラさんに言っている。
「そうですか? でも、貴族のご令嬢の相手が…… アレで良かったんですか?」
フローラさんが俺を指差してる。
俺の扱いって……
「僕が望みました。 カズヤさんを愛してますから」
ライネ……
「俺も愛してるぞ!」
可愛いし、俺を愛してくれてるし、ライネは最高だ!
どうだ、まいったか!
しかし、そうか、ライネって男爵家の息子だったんだ。
なんで騎士なんてやってるんだろう?
「って、お前の家、貴族なの?!」
聞いたら、ライネがキョトンとしていた。
「そうだよ? 僕、苗字があるでしょ? それに、騎士だって貴族なんだよ」
そうなの?
さっぱり解らない。
まぁ、ライネが可愛いから何でも良いけど。
可愛いは、正義だからな。
「なんでも良いけど、早く取引するのじゃ」
「そうだ、貴族とか言われてもさっぱりだし、さっさと済まそう」
俺とラージャは、貴族とか言われても話についていけないしな。
俺に解るのは、ライネが可愛い事とフローラさんの胸がデカいって事だけだ。
「では、こちらに」
フローラさんに案内され、買い取りカウンターへと向かった。
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「そんじゃ今日は、塩、胡椒、あとご依頼の砂糖を多めに持ってきましたから、査定を願います」
ラージャが手際よく空間収納から荷物を取り出し、俺とライネでカウンターに載せたる。
品質と重さを測り、フローラさんに金額を提示された。
「今回は、こちらの金額でよろしいですか?
よろしければ、サインを願います」
提示されたのは、1,200ゴールド。
まぁ、砂糖が少し多かったけど、こんなもんだろう。
「いつも買い取ってもらってるので、この金額で構わないですよ」
俺は言って、売買契約書にサッとサインした。
「凄い。
あっという間に大金を……」
ライネが驚いている。
俺の良いトコを見せれたと思うと、なんだか気分が良い。
「カズヤ!」
呼ばれた!
この声は……
「ヒィッ!」
俺の目の前に会頭のイルボが立っていた。
会頭なので、奥に居てくれたら良いのに!
ベタベタ触ってくるし、苦手なんだけど……
「会頭、こちら、カズヤさんのフィアンセのライネ・オールストレーム様。
オールストレーム男爵のご令嬢です」
フローラさんが言ってくれた。
「俺のフィアンセのライネです!」
ライネを抱き寄せ言った。
だから、セクハラしないでねって事だ!
「オールストレーム? ああ、男爵の……
オールストレーム男爵の領地は、私の出身のオリアン男爵の領地の近くでしたね」
イルボ会頭は、明らかにテンションの下がった感じでライネに挨拶していた。
「カズヤ、金額に間違いは無い。
取引終了したから、帰るのじゃ」
ナイス、ラージャ!
「そうだな。
って事で、イルボ会頭、フローラさん。 今日は、ありがとうございました。
何か入用でしたら山猫亭の方へご連絡ください。
俺の方も良い商品を仕入れましたらお知らせいたしますので」
そう言って頭を下げると、ライネの手を取った。
指を絡ませ握り合う。
恋人つなぎ、勿論、イルボ会頭に見せつける為である。
イルボ会頭が残念そうな顔をしているが、俺に好意をもってくれていたのだろうか?
セクハラしてきてたし。
なぜか、おっさんに好かれるな俺。
こうして、イルボ商会を後にした俺達が次に向かうのは、ライネの職場。
退職願を出しに行くために。
そう、エルヴァスティ王国騎士団の元へと向かうのだ。
よしっ!
俺のカッコいい所を存分に見せる事が出来たな。
後は、ライネの退職届を持って行って終了。
俺とライネとラージャで生活したら、きっと楽しいぞ!
って事で、次回も、乞うご期待!




