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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.3 異世界 恋人獲得
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第21話 錬金術

俺は、ライネが好きだ。

ライネがどんな奴だったとしても気持ちは変わらない…… と思う。

むしろ、俺が嫌われる可能性の方が高いな。

いやっ! 嫌われないように自分を変えなければ!

生活を変えるのだ。

プラプラ仕事もしないで遊んでる、この生活を!

 朝、目を覚ますと俺の腕の中でライネが小さく寝息をたてていた。

 どうやら座ったままで寝てしまっていたようだ。

 辺りは、まだ薄暗い。


「どうやら、少し早く起きすぎたようだな」

(無邪気な寝顔だな……)


 俺は、腕の中で眠るライネにキスをした。


 うん。

 友達同士の挨拶のキスだし、肩にしたから全然大丈夫。

 セーフだ。


「森の中で不用心じゃないのか? なのじゃ」

 不意に声が聞こえ、見上げるとラージャが俺を見下ろしていた。


「あわあわあわあわ」

 どうしよう!

 汗がドッと噴き出した。

 

(ラ、ライネ! ライネを守らなきゃ!)


「おい、動くな。 動いたらライネを起こしてしまうのじゃ」

「へ?」

 ラージャに言われ、俺は動きを止めた。

 どういうつもりなんだ?

 あ?

 俺の肩に毛布が掛けられているのに今気が付いた。


「コレって」

「ライネが風邪ひくと可哀想だからなのじゃ」

 プイっとしてラージャが言った。


「ありがとな、ラージャ」

 安心した俺は、もう少し寝よ

「おいっ! 二度寝するななのじゃ!

 我は、ずっと起きて火の番をしながら周囲を警戒してたのに、なのじゃ!」


「そうか、お前…… やっぱ、良い奴だな」

「なっ! 我は、お前を冤罪で地獄にやったのに良い人な訳がないのじゃ」

「……そんな事ないぞ、お前も騙されてたんだし、昔の話だ」


 ラージャが何か言いたそうだが、やめたみたいだ。


「カズヤ、その…… ライネの事?」


「すまん、ラージャ。 俺は、コイツが好きだ。

 今は、友達として付き合ってるが、互いの事をもっとよく知って、それでも気持ちが変わらなかったら、正式に付き合うつもりだ。

 もちろん、恋愛感情のある恋人同士になるって事だ」

 キリッ!

「……毎日、プラプラしてるくせに? なのじゃ」

「俺は、働くのが嫌いだ!」



「は?」

 ラージャが固まっている。


「お、お前……」

「待て! それでも、俺は働く。

 ライネに嫌われないような、しっかり自立した男になるんだ」


「異世界にきて、やっとやる気になったようじゃの。

 我の事は気にするな。

 ライネの事は、ちょっと可愛いから遊びたかっただけなのじゃ」


(それもどうかと思うが、ラージャが平気そうで良かった)


「冒険者になったんだから、依頼をこなして稼ぐって道もあるし、何とかなる!

 てか、俺は、そんなに不安に思っていない。

 なにせ俺には、信頼出来る力強い仲間がいるからな!」

 俺は、ラージャに向かって言った。

「……まぁ、地獄からの縁じゃしの、頼むぞ、相棒! なのじゃ」 


(ラージャ、頼りになる奴だよ、お前は)


「ところで、街までの道ってわかる?」

「え゛? お前、知らないのか?

 おっさん帰ったからわからないのじゃ」




 遭難した俺達が、ボリス団長率いる救援隊に救助されて数日が過ぎた。


 ライネは、相変わらず騎士団で訓練の毎日。

 アイツが頑張ってるのに俺が遊んでいる訳にもいかないって事で、冒険者の仕事をするようになっていた。

 薬草の採取したり、他の冒険者の荷物持ちなどしつつ、冒険者の仕事がどんなものかを学んでいく。

 この世界で生きていけるようにだ。

 騎士団で稼いでるライネのお荷物になったらいけないしな。

 まぁ、俺のやれる範囲でだが、相棒のラージャと一緒に頑張っている毎日って事だ。

 ライネと一緒にご飯食べたり、今日何があったとかって、たわいもない会話をしてると頑張ろうって思えるから辛い事があっても耐えれる。


【 森 】


「カズヤ~、ネット通販で塩を買って、売ろうなのじゃ~」

 薬草採集に飽きたラージャが言ってきた。

 何時もの事だ。


「馬鹿野郎! 日本円が減るじゃないか!

 イザって時の為に、日本円は節約します!」

「また、それなのじゃ!

 いまが、その、イザって時なのじゃ!」

「ええーい、うるさい。

 口より手を動かせよ!」

 俺は、ラージャを窘めつつ、籠の中に薬草を詰めていく。


「もう飽きたのじゃ!」

 ラージャは、カズヤに隠れてコッソリと空間収納を開く。

 そして、カズヤの財布を選択――


「出来ないのじゃぁぁぁぁあああ」


 コソコソとしていたラージャが叫んでいる。

 またか。

 ……限界のようだな。

 ライネの集めた分と俺の分を合わせたら薬草の量は十分だろう。


 俺は、ラージャの元へ歩いて行った。

 

「ったく、堪え性がないな、お前は!」

 空中に表示されている空間収納のパネルを触る。

(俺の財布を選択っと!)

 空中に別ウインドウが開く。


「カズヤは、やさしいのじゃ!」

 ラージャの顔がパッと明るくなった。

 現金な奴だな。

「お菓子買ってやるけど、100円だぞ」

 ネット通販のお菓子を選択。


 画面にお菓子が沢山表示された。

 ラージャが凄く嬉しそうだ。


「200円なのじゃ!」

「100円!」

「190円でいいのじゃ」

「100円です!」

「180円なのじゃ」

「刻んでくるんじゃないよ、150円な、これ以上ダメ」


「粘り勝ちなのじゃ」

 嬉しそうに言ったラージャが真剣に画面を見ている。

 時間がかかりそうだし、俺はポケットのタバコを取り出し火を点けた。


「決まったら、教えてね」

 そう言って、少し離れたトコでタバコを吸った。


 はぁー、落ち着く。

「こっちの金は残り、200ゴールドくらいか……

 今回の薬草の依頼こなして8000ギル、それと余剰分を買い取ってもらって合計で1ゴールドってとこかな?

 ラージャと二人だからな、節約しないといけないか」

 ボケ―っとしながらタバコを吸いながら、そんな事を考えていた。


「……さてと、決まったかな?」

 俺は、ラージャの元へと戻る事にした。


「うーーん、うーーん」

 鬼の形相で駄菓子を睨むラージャ。

 まだ、決定していないようだ。

 資金が150円だからな、悩むのだろう。


(焦らせるのも悪いな)

 俺は、ラージャをそっとしといて、空間収納に表示されてる俺の荷物をポチポチ触ってみる。

 触って反応するのは、俺の持ち物だけだからだ。

(キャッシュカードとかってもっててもなぁ)

 何気なく触ってみる。


「ん?!」

 俺は、口を手で押さえた!

(ラージャは?)

 ラージャを見たが、駄菓子画面に夢中で気が付いていない。


(よし! ……コレって)

 画面に、『入金』『出金』と出てる。

 俺は、出金と書いてあるのをタッチした。

 すると、残高とテンキーが表示された。

(俺が死んだ時の残高、127,000円が表示されてる!)

 試しに、テンキーで10,000と…… 『決定』を選択。

「あ゛」

 慌てて口を押える!

 17,900円だった財布の金額が、27,900円になった!

(間違いない! キャッシュカードに入ってた金も持ってこれたんだ!)


「……」

(ちょっと待て、じゃあ、こっちの『入金』って?)

 

「クソッ!」

 実験したいが、ラージャの空間収納に入れてる金は、二人の承認がないと動かせない!


「決めたのじゃ!」

 ラージャが叫んで、ビビった。


「お、おう、決まった?」

 俺はぎこちない笑顔で、キャッシュカード画面を体で隠しながら、駄菓子画面を見てやる。


「えっと、これと、こっちと、こいつじゃ!」

 ラージャの指差すお菓子を次々選択してやる。

 これで、丁度150円。

 うん。


「ラージャは、板チョコすきだもんな」

 俺は、追加で板チョコを選択。


「えっ?!」

 ラージャが驚いている。


「決定っと!」

 俺が決定ボタンをタッチすると、日本円が減り、商品が現れた。

 ラージャが落ちてきた駄菓子を必死に拾い集めていた。


「ど、どうしたのじゃ?!

 なんで!

 嬉しいのじゃ!」

 凄い興奮している。

 そこまで?


「どうしてなのじゃ!

 ……もしかして、我の体目当て?!」

 混乱するラージャが、ふざけたことを言ったのでツッコもうと思ったが、そんな場合ではない。

「ラージャ。

 日本円が増えた」

 隠してもしょうがないからな。

「は? なんで?! なにじゃ!」

「これ……」

 俺は、体をどかしてキャッシュカード画面をみせた。


「この、117,000円ってあるだろ? これがキャッシュカードに入ってた金なのだが、出金出来た」

「使える日本円が増えたのじゃ!」

「それに、この『入金』ってあるだろ?」

「あるのじゃ!」

「これにさ、こっちの金を入れたらどうなると思う?」

「解らないのじゃ!」

「俺も、解らない。

 でも、日本円になったら?」

「直ぐ、入れるのじゃ!」

(よし! ラージャがノリノリだ!)

「だから、こっちの金の移動の承認ボタンをタッチしてくれ」

 2,003,800と表示されてる下に二つの『承認』と出ている。

 ラージャは、さっさとタッチしてくれた。

 俺も承認をタッチすると、テンキーが出現。

 これで、金を外に出したり出来るようになった。

「通常なら、こっちのテンキーをタッチして任意の金額を外に出すとこを……」

 俺はキャッシュカード画面の『入金』をタッチ。

「あっ!」

 テンキーが出現。

 試しに、3,800タッチして、決定。

「あれ?」

 何もおきない。

 ん? 決定がもう一つ?

 すかさず俺はソイツをタッチしたが、選択されない。

「ラージャ、コレをタッチ」

「うむ!」

 ラージャがタッチすると、すんなり決定された。

 どうやら、こっちも二人の認証が必要らしい。


「120,800円になった……」

「増えたのじゃ!」

「ハ、ハハハ… 増えたな」

 日本円に変換できた。

 これで、日本円の心配が無くなったって事か?


「よし、全部、日本円にするのじゃ!」

「待て! 全部入れたら、こっちで困るだろ!

 宿代とかご飯とかで金がかかるからな!」

 と言いつつ、1,000,000を入金!

 100ゴールドも残しとけば、暫くは安泰だからな。


 日本円が、1,120,800円になった!


「凄いのじゃ! お菓子が沢山買えるのじゃ!」

「おう! いくらでも買ってやるぜ!

 商品を売って、こっちの金をガンガンかせげば、どんどん増えるからな!

 これぞ、錬金術! うひょぉーーー!」


 森にカズヤとラージャの歓喜の声が響き渡るのだった。

金儲けの道が開けた!

やる気がグングン出てきたぁ!

ライネ、俺、頑張るからな!

頑張って、お前に相応しい男になる!

うん。

何が相応しいのか解らんが、兎に角、勤労意欲に目覚めたのだ!

って事で、次回も、乞うご期待!

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